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ITと未来のすがたを語る⑦ リモートってもうオワコンじゃね? それでもオンラインな理由

緩和された感染対策

犬塚 コンサート会場やスポーツ会場での声援が許可されました。ツイッターを買収したイーロン・マスク氏が最初にしたことは、従業員のリモート勤務を禁じることです。それに習ったわけではないでしょうが、一時期は緩和されていた通勤電車の混雑もすっかり元に戻っています。日本企業のほとんどすべてが「リモートは仕事効率を下げる」というマスク氏と同じ考え方を持っていたと見ていいでしょう。
バラエティ番組などでも、人と人の間に設置されていたアクリル板を見ることはすくなくなっています。マスクを着用してない人も増えました。あの、リモート……オンラインって、○●□▲じゃないですか。
竹林 あ?
犬塚 オンラインは○●□▲ではないかと。
竹林 なんでそこに来るとグジュグジュってなるんだよ。これは文字になるんだよ。しっかりしゃべれよ。
犬塚 (意を決して)オンラインは逆風ですよね。オワコンだと言ってもいいと思います。世の中の趨勢に逆行しているのは事実ですし、時代遅れともとられかねません。本日のテーマは、「今なおリモートである理由」です。「今どきリモートなんて流行らねえよ」という意見にたいして、しっかりした回答をお願いします。

オンラインはコロナより前にはじまっていた

竹林 えーと……「長い目で見てください」かなあ。
犬塚 よわ! なんですかそれ。
竹林 仕方ないじゃんそう言うしかないんだから。
犬塚 もっと具体的に語ってください。
竹林 オンラインのメリットとしてよく言われるのは、「距離がなくなる」ということだよね。TENTOには海外や地方から参加してくれてる子もたくさんいるんだけど、それは、リアルの教室では絶対に望めないことだから。
犬塚 「地球上のどこにいても高速なインターネット回線が得られる」は比喩ではなく事実になりつつあります。

その意味では誰もが納得できる意見と思いますが、それで失われるものも多いですよね。リモート勤務がすくなくなってきているのは、その例証と言うこともできます。
竹林 ZOOMみたいなツールを使ってオンライン会議をやる機会はずいぶん増えたよね。コロナ禍によって外出できなかったことが大きな要因だし、終息すればそれも終わると考えられがちだけど、じつはコロナ禍以前にそうなりつつあったんだよ。当時はオンライン会議ではなくてテレビ会議と呼ぶことが多かったんだけど、海外の支社にいる人が、インターネットを通じて東京本社の会議に参加するみたいなことは、すでに一般化していた。オンラインでのコミュニケーションはコロナ禍ともにはじまったわけではないし、それが終息したからといって終わるものでもない。むしろ賢い経営者ほど、対面でのコミュニケーションとオンラインでのコミュニケーション、それぞれをミックスして使っていくことになるんじゃないかな。
犬塚 TENTOではnoizというツールを使ってオンライン講義をしています。

竹林 「オンラインで教室をつくりたい」はTENTOの悲願でもあった。そこには大きなメリットがふたつある。ひとつは、さきに述べたとおり距離がなくなること。もうひとつは、誰でも参加できるということだ。
犬塚 どういうことですか。
竹林 たとえば、教室のようにガヤガヤしていて他人の声が常に聞こえるような環境では何もできなくなってしまう人がいる。そういう人にとっては、教室って苦しい場所でしかないんだよ。プログラミングは、たとえ多数の人間でつくる巨大なプロダクトであっても、作業は常にひとりでおこなう。教室のような場所はまったく必要ない。ガヤガヤしてるのが苦手な人は、通常の教室では耳をふさぐしかないんだけど、そんなことしたら先生の声もいっしょに聞こえなくなってしまうよね。
ところが、noizならそんなことはない。こいつうるせえなと思ったら、そいつの声だけをオフにすることができる。たとえ複数の人がいる空間でも、先生と自分、ふたりだけの空間を構築できるんだ。それは、ガヤガヤが苦手な人にとっては福音だと言えると思うよ。
犬塚 ガヤガヤって大事なんじゃないですか。
竹林 もちろん。逆に、オンラインでのコミュニケーションではそれが失われてしまうことが多いんだ。ガヤガヤって余計なように見えて、すごく豊かなものなんだよ。友達が何をしているか知るのはとても重要だし、雑談から生まれるアイデアもある。おしっこしたいとか腹減ったとか、今の課題とは異なるくだらない会話をかわすことで得られるものってすごく多いんだよ。むしろオンラインの弱点はそうした「大事だけどよけいなもの」を排除してしまうことにあった。noizはあえて、他のグループで何をしているか聞こえるようにしている。

noiz独自開発の理由

犬塚 noizはイチからプログラミングしたと聞いています。
竹林 オウ、すべてをTENTOでつくった。出来には満足してる。
犬塚 アホかって言われるんじゃないですか? オンラインツールって、便利なライブラリtwilioが有名)がありますよね。それを使えば簡単なのに、あえてめんどくさい方法をとるなんて! 事情を知ってる人ほどアホかだと思いますよ。
竹林 ライブラリはあらゆる環境に対応するために、多くのしくみを備えている。それをひとつひとつ読み込んでいくから、どうしてもパフォーマンスが悪くなってしまうんだよ。オンラインツールにとって、挙動がキビキビしていてレスポンスがいいのは必須条件だ。移動はもちろん、トークの伝達にも時間をとってはならない。そこで、イチから開発してよけいな機能をふくまないようにした。おかげでビックリするぐらいパフォーマンスがよくなった。それができるプログラミングスクールは決して多くないよ。じつはTENTOってすごいんだぜ。思い知ったか。
犬塚 あー、あれですね、誰もほめてくれないから自分でほめるってやつですね。
竹林 うるさいな。


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