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【読書】蜜蜂と遠雷–恩田陸–

こんにちは。
2023年の最初の読書感想物文は、恩田陸さんの蜜蜂と遠雷🐝
直木賞と本屋大賞のダブル受賞、映画化と漫画化など注目・評価されまくりの本書です。

実は1年ほど前に購入していましたが、なんとなく気分にならず積読になってました。正月休みでついに読了!

評価

世間の評価にひたすら納得!
読み始めたら止まらない!

膨大な知識量を丁寧かつ簡潔な解説の技で音楽に疎い読者を離さない。
感動が至るところに散りばめられ、鳥肌間違いなし。

クラシック音楽を題材にした大衆小説でこれ以上のものはないんじゃないかと思いました。
超オススメです!

内容

どの登場人物も輝いてます。

審査員の三枝子とナサニエル

客観的視点、時に冷徹な評論を下しながら、興奮の波に巻き込まれて俯瞰的な考察を提供してくれる。
この立ち位置が超ナイス。
ちなみにナゾに恋愛模様が描かれる。笑
ここは個人的には笑うポイント。

審査員は審査するほうでありながら、審査されている。審査することによって、その人の音楽性や音楽に対する姿勢を露呈してしまう。

奇しくも年末のM-1でも同じことを感じた。
仕事でもそうだな、と。新しい提案に対してどの様な態度で振る舞うかを見られていることもしばしば。
責任とはある種、そういうことなのかもしれない。
望む、望まざるとは関係なく。

天才ピアニストのマサル、亜夜、風間

主役達です。タイトルからするに、風間塵が主役っぽい。ただ描写は亜夜が圧倒的に多く実質の主人公。
まあこの3人の誰が欠けても成立しない物語なので全員が主役。
天才達が低次元で争わないのが非常に良い!!
ライバルというか仲間として高めあってる。
これがこの作品の格を高くしてる。
心洗われます!!

読者に近い存在としての明石

天才に対して凡才という言葉を使うのなら、明石はその立ち位置。
ただし彼も才能溢れている。
彼の努力と挫折に胸が熱くなります。
そして彼もまた真摯な生き方。
男泣きしたくなる。終盤の亜夜とのシーンや、事務局からの電話のシーンは泣くしかないでしょ。

番組製作者の雅美とのシーンが色々良いんですが、終盤、この描写が素敵ですね。
自分が賭けた世界が認められた嬉しさを描くってのはスゴいですわ。

雅美が何気なく漏らした栄伝亜夜の演奏に対する感想が、ただただ嬉しかった。クラシックを聴きつけていない普通の人である雅美が、同じ感動を共有していたという事実が、どうしようもなく彼を感激させていたのだ。

そこからのこれ。明石の飾りない言葉に涙腺が緩む。

コンクールを目指してきてよかった。この一年間、耐えてきてよかった。このコンクールに出てよかった。

クラシック音楽からの感動

これまでクラシック音楽とは無縁の人生だったが俄かに興味が湧いた。
コンサートシーンではYouTubeでその曲を流しながら読んでみた。
わざわざCDを買わずとも聴きたい音楽に触れられるという幸福な環境に感謝。
クラシックに触れると歴史の壮大さと共に自分の小ささ(決してネガティブな意味ではない)を感じる。

本当に、一人の人間のできることは少ない、一人の人間に与えられた時間は短い。

今作では亜夜の演奏シーンでこの回想が入るが、ここに感動のメカニズムが凝縮されている気がする。
そう、自分で言葉に出来ないことが表現されたとき、身震いする感動がある。

そして、彼女は我々を代弁する── 中略
我々が誰かに聞いてほしかったこと。決して誰にも言えなかったこと。日々の生活のうちに押し殺してきたこと。漠然と感じていながらも、言葉にできなかったこと──

以上、拙い感想ですが、間違いなくオススメです!

ぜひ感動して下さい!

Have a wonderful day!!

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