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『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』(東京オペラシティ アートギャラリー)

【内容】
イラストレーターの宇野亜喜良の回顧展。

【内容】
イラストレーターの宇野亜喜良の大規模な展覧会開催されているということで、初台の東京オペラシティに行って来ました。

作品のクオリティとオリジナリティの高さと、量の多さに、結構驚かされました。
それに、イラスト、デザイン、絵画、アニメ、演劇の美術…と多彩な分野やメディア…
この人、画力が高く、以上に描くスピードが速いんだなあと感じました。

絵本もかなり描いているのですが、その作品ごとに、狙っているラインの画風を的確に合わせて描いていく…しかも様々なスタイルのものを細かく微調整していて、流石だなあと…

10数年前に、宇野亜喜良のライブペインティングのイベントに参加した時のことを思い出しました。
黒板サイズくらいの大きな白い画用紙の前に立って、観客からモチーフを募って題材を組み合わせて、その場でイラストを描くというイベントだったのですが…
とにかく速いし、リラックスした状態でサラサラ描いていました。
特に印象に残っているのは、観客から提案されたモチーフの一つが、その絵に合わないという話をして、却下していたのが印象的でした。
モチーフを単純に描くのではなく、それぞれ物語を即興で作りながらイラスト描いているんだなあと…

今回の展示で来歴を見ていたら、人形劇団にいたことがあるとの表記がありました。その後のアニメーション制作や、演劇の美術での参加といった活動にも、直接影響を与えてはいるとは思うのですが…
それ以上に、作品世界を作る上で、紙の上で単純にモチーフを描くという以上に、物語を作り出していくといったことをしているのではないかと思いました。

そういえば、以前観覧したライブペインティングの時の観客からの質問で、宇野亜喜良ならではのちょっと病んだ感じの美少女についてどう思うかといった質問が出ていたのですが…
その時の宇野亜喜良の回答が、「あくまでも市場で求められているから描いているだけです」との回答をしていて、正直随分とスカしたこと言ってるなあと思いました。が、今回の展示を観ていて、健康的な子供のための絵本や、大人向きの時代劇の挿絵など、どれも巧みで、変に個性を主張していないようなものを描いていて、あの話は本当にそう思って語っていたのだということがよくわかりました。

若い頃に、シュールレアリズム的な動かないアニメーションを作ったいたようですが…
今の時代だったら、CG技術などを駆使して、独自の凄い作品を作っていたのではないかなあと思ったりもしました。

あと、ここ2〜3年で制作した企業向けのイラスト仕事も、全然90歳前後の人間が描いているようなイラストには見えないもので、凄いなあと感じました。
年齢のことを考えながら、よくよく見ると、多少線が震えていたり、形が若い頃描いたものよりも少しだけ歪んだりしているように感じましたが…
やはり、もともとの画力やセンスが飛び抜けていると、この歳になってもこれだけのもの制作できるんだなあと…

https://www.operacity.jp/ag/exh273/

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