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北海道周遊記(後編)

北海道も少しずつ気温が下がってきて、日が沈むのも少しずつ早くなってきた。もう夏も終わり。そんなことを考える毎日です。どうもこころ(@onshin222)です。なんだか今年は夏らしいことあまりできなかったなあ、なんて思ったりするけど、その分自分一人の「おうち時間」を楽しんでいます。読みたかった本を読んだり、ちょっと遠くまで散歩したり、興味のあることを調べたり。やりたいことなんて山ほどあるけど、全部やるには人生は短い。だからぼーっとしてる暇なんてない。でも、乗り物に乗ってなんとなく窓の外を眺める時間は好き。時にはぼーっとするのも大事だと思っている。

前置きが長くなるのももう恒例になってきた。今回は、前回書いた「北海道周遊記(前編)」の続きである。

4日目:TABIPPOと札幌

前編の最後にも書いたが、この「北海道周遊」は急遽決めた弾丸旅である。そのため、この4日目の午前中から夕方にかけてはバイトが入っていた。代わりに入ってくれる人を探し、パスするという選択肢は私にはなかった。

だからこの日はバイトに行き、それから札幌に行って、私が去年活動していた学生団体「TABIPPO」の札幌支部のメンバーと会った。


これくらいしかこの日は書くことがないので少しTABIPPOの紹介をしようと思う。

TABIPPOとは「旅で世界をもっと素敵に」という理念を持ち「旅を広める」株式会社である。この株式会社の下で動く学生団体で私は去年1年活動した。




TABIPPOとの出会い



私がTABIPPOの存在を知ったのは高校性の時、世界一周をしたいと思うようになった頃だと思う。とにかく世界一周に関するエピソードや必需品などを検索しまくっていた。そのときに見かけたこのヒヨコ。なんだかよくでてくるなあと思い、会社概要の欄を見てみた。設立メンバーが全員世界一周経験者とあった。それで一気に興味が湧いた。それからTABIPPOについて調べて、学生支部があることを知った。当時受験生だった私は、さすがに断念し、「大学生になったらやりたいことリスト」に入れた。



TABIPPOでの活動



大学生になった私はすぐにTABIPPO学生支部の説明会に申し込み、入ることを決めた。「旅を広める」と言っても実際なにをするの?となるわけだが、活動内容は多岐にわたる。

・イベントの企画、運営
・広報、ウェブマーケティング
・渉外、営業活動
・クリエイティブの作成(デザイン)
・会計
・組織活性
などなどである。

私は主に広報を担当し、TwitterやInstagramの公式アカウントを動かしていた。

旅が好きな人とたくさん出会えるし、みなすごい熱量で活動しているのでたくさんの刺激を受けた。大変なこともあったけど本当に楽しかったし、1年生で参加して良かったと思った。もし参加していなかったらその後の大学生活は大きく変わっていたと思う。興味がある人はぜひリンクから活動をのぞいてみてほしい。


5日目:再来

この北海道周遊の3日目でも行った登別に再び向かう。3日目に行ったとき、登別温泉街の雰囲気がとてもよく、また行きたいと思ったし、まだまだ見たいところがあると気づいたからだ。

以前と同じルートを通りまずは地獄谷へ向かう。相変わらず温泉は湧き出ていてそそり立つ崖が見える。これが峻険な山々というやつなのかな…と考えながら登山道のような山道を辿る。

この日は、地獄谷の先にある「奥の湯」「大湯沼」という湯だまりに行こうと思っていた。登りはじめは良かったがなかなかの傾斜だ。気温は30℃近い。お茶を飲んでも飲んでも一瞬で蒸発するように感じる。

ひええ。登ったと思ったら終わりが見えない階段。一瞬帰ろうかとも思ったが、帰ったら二度と訪れないような気がしていた。階段を上り続け、その先の山道を行くこと30分くらいだろうか。見えてきた。めちゃくちゃでかい湯だまりだ。

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さらにもう少し山道を下ると右手側に「奥の湯」左手側に「大湯沼」が見える。

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近くで見ると迫力満点。深さ22m、最深部130℃というから驚きだ。

この大湯沼沿いに国道がある。なんとなく歩き始める。どうやら大湯沼は湯だまりのあと、川のように流れていき、天然足湯温泉まで続いているらしい。これは行くしかない。ここまで来たのに足湯に入らない手はない。

俄然歩く気力が出てきた。国道は途中から山道に分かれ、私はもちろん山道の方をどんどん進む。少し水色のような鉛色のような温泉は本当に川のようだ。

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山道を削りほんの少しの足場と腰掛け場だけがこしらえられた本当に天然の足湯だった。最高でないわけがない。

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ここまでですでに疲労困憊の足を温泉で癒やす。木陰でほどよく涼しく、また日だまりはあたたかく本当にここまで来て良かったと思った。
ほっとする一時を過ごし次の目的地へと向かう。

次は登別熊牧場を目指す。熊を見たいのではなく(実際行くとしっかり見てしまうのだが)、熊牧場にある倶多楽湖の展望台に行きたかったのだ。倶多楽湖はカルデラ湖で日本でも随一の透明度を誇るらしい。

熊牧場へはロープウェイで行くらしい。ロープウェイ乗り場へ行こうと思ったのだが、またしても立ちはだかる階段…無論終わりは見えない。看板が建ててあり、イラストのかわいらしい熊に「めちゃくちゃ長いよ」とその顔に見合わぬ残酷な事実を告げられた。

やっとのことで登り切ると膝はガクガクだ。日頃の運動不足がこういうところで牙をむく。無事、ロープウェイに乗り上へ上へと運ばれていく。ずいぶんと登るんだなと冷や汗が止まらなくなった頃、ようやく降り場へ到着した。

まずは倶多楽湖の展望台へと向かう。ロープウェイで登ってきてすでに標高は相当高いように感じられる。市街から温泉街ですら上り坂だったはずだ。そこからさらにロープウェイ乗り場まで階段を上ったと思うと納得できる。ようやく見えてきた、倶多楽湖だ。

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確かに綺麗だ。回り道をして国道を行くと倶多楽湖の縁の方まで行けるみたいだが、生憎そんな気力もレンタカーを借りる気も無い。充分すぎるほどに綺麗でしばらく目を奪われてしまった。

海側を見ると登別市街が一望できる。

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ところで登別熊牧場の熊を見たことがあるだろうか。実はこの熊、あることで有名なのだ。

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そう、ここの熊たち、餌を見ると「はーい」と手を挙げてアピールするのだ。熊たちがあちこちで手を挙げてアピールする姿はなんとも言えない可愛らしさがある。言うまでも無く野生の熊は獰猛だが…そこは勘違いしてはいけないポイントなのだ。

熊のかわいさと迫力の余韻に浸りながらロープウェイは下へ下へと運んでく。実はこのロープウェイ、冬になると鮭とば作りに利用されるらしい。冬に来ても楽しめる、北海道ならではのスポットとなっている。行ったのが夏で少し残念に思った。

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やっぱりこの街好きだな、としみじみ何度でも思ってしまう。なにがそう思わせるのか、はっきりとは言えないが。

旅行していてまた来るんだろうな、と思う街とそうでない街がある。なにがそれを分けているのかそれだってはっきりしない。直感と言ってしまえばそれまでだが、きっとなにかあるのだろう。登別に来るとそんなことを考えさせられる。

この日はそのまま旭川へと帰った。

6日目:帰郷

実はこの北海道周遊、最後は出身地の道東のとある港町で終わらせようと思っていた。そのために1日で320キロを移動する計画を立てていた。本当は旭川ー札幌ー釧路で行けば全部特急で行けるし早かったのだが、全私がそれでは面白くないと反抗していた。なので、旭川ー網走ー釧路で行くことにした。問題なのは網走ー釧路で各駅しかないことだ。約140キロを鈍行で移動することになる。しかし、釧路湿原の中を通ってみたかったので譲れなかった。

時間がかかる分早起きしなければいけないのはお察しの通り。そして私は朝が弱い。もはや寝坊は避けられない。わたわたとした一日の始まりだった。バスに間に合うか間に合わないかというところでぎりぎり乗り込む。なんとか今日一日の計画は敢行できそうだ。

駅に着き、またもわたわたと朝ご飯とコーヒーを買い、急いでホームへと向かう。一日の始まりにコーヒーは欠かせない。

席に着くとやっと一息つけた。そして疲労がたまっていたのかいつの間にか眠ってしまっていた。

網走では観光するつもりはなかった。乗り換えまでの時間が短く、この計画を遂行するには近場で時間を過ごすしかなかった。私は、この時間を夏休み明けに控えるテスト勉強に充てた。

…だから網走の写真は一枚もない。文字ばかりになってしまうと読み続けられる人とそうでない人が出てくるのであまり文字ばかりにしたくないのだが仕方が無い。少し無念だ…せめて海に行けば良かった…港町で海からすぐそこに住んでいた私にとって海は大切だ。海を見るとなんだか安らぐ。だから盆地で海のない旭川は少しつらい。たまに、衝動的に海を見に行きたくなってそんな自分を持て余して困っている。

とにかく、鈍行電車に乗り換え約4時間、釧路へと向かう。乗り物の窓から景色をただ眺めるのは何時間でもできてしまうタイプなので苦ではない。途中高校生や登山してそうなアウトドア着に身を包んだ男女が乗ってきたりした。他にも結構乗客はいてまあまあ混んでいた。

音楽を聴きながら窓の外を眺める。よく考えてみれば旅って大体これだ。いや、もちろん目的地に行っていろいろ見たりすることもあるのだが、電車で移動するとどうしてもこの時間が多くなる。でも、この時間にたくさんのことを考えるし、たくさんのことを感じるし、この地域の日常も乗客から少し垣間見えたりして好きだ。この時間があるからこそ目的地に行ったときいろいろなことを高感度に感じられるのかも知れない。

いよいよ、釧路湿原にさしかかる。

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釧路湿原と夕日。ベストショットを撮りたかったが難しかった。

次に帰省するとき、リベンジしたい。

そんなこんなでなんとか釧路駅に着いた。帰郷したときの少し緊張した感じとほっとした安堵の気持ちが入り交じる。懐かしいような、それでいて自分は少し大人になった気さえしている。帰郷するたびに前回来たときとは違う、新しい感覚を味わう。次はどんな感覚だろうか。

楽しみに、そのときまで。

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