見出し画像

言語化のススメ~感想を言語化して「面白い人」になる方法~

こんにちは。
作曲家の天休です。

先日投稿させていただいた記事「神様になった日」は何がダメだったのか?を予想より多くの方に読んでいただいたようで、とても嬉しく思っています。

そこで今回は「感想を言語化して面白い人になる」というテーマで書いてみようと思います。
言語化はいいぞ。

1.人間は意外と何も考えていない

画像1

「人間は考える葦である」とはパスカルの言葉です。
人間は「考えることができる」ということが最も偉大なのであるという格言ですが、実を言うと人間は意外と何も考えていません

アニメを見ているとき、マンガを読んでいるとき、YouTubeを見ているとき、SNSを見ているとき……。
ほとんどの人は考えているのではなく、感じて過ごしていると思います。
「面白い」とか「つまらない」とか「なるほど」とか。
外部からの刺激に対して、反応しているだけです。
熱いヤカンを触って手を引っ込めるのと同じような感じですね。

なぜ考えないのかというと考えることはとてもエネルギーが要る作業だからだと思います。
脳は全重量のたかだか2%しかない内臓であるにもかかわらず、全エネルギーの約18%を消費するそうです。
それだけ脳みそを使うのにはエネルギーが必要です。

だから多くの人はちゃんと考えることに向き合わないと、考えないまま一生を終えてしまうかもしれません

例えば「神様になった日」を見て「つまらなかった」と断罪することは誰でもできます。
感じることだけなら動物でもできます。
別にそれで終わってもいいのですが、せっかく人間に生まれたのですから、少し掘り下げて考えることをやってみることをオススメします。
やってみると意外な発見があったりして、面白いと思いますよ。

***

ちなみに言うと、ほとんどの場合「悩んでいる」という状態も考えてはいないと思います。
考えているフリして感じているだけなんじゃないでしょうか?
岡田斗司夫さんの言葉を借りれば、悩んでいるとは悩みの種をジャグリングしている状態です。
頭の中をいろんな悩みの種が飛び交って、グルグルとしている状態です。

しかし、その一つひとつをじっくり見てい見ると、意外と感じているだけであることが多いです。
「昨日仕事でミスしてしまった、どうしよう」と不安を感じているだけ。
「明日のテストの勉強してない、どうしよう」と焦りを感じているだけ。
「人間関係疲れた。アイツと話したくないなぁ」と嫌悪を感じているだけ。
全部感じているだけです。

考えるとは、その悩みの種というボールを机に並べ、一つひとつ真剣に向き合う作業です。
「昨日仕事でミスしてしまった」なら、会社に対してどう責任を取るか、次ミスを繰り返さないようにどうするか、そこから学んだことは何だったのか、次の一手を検討する作業を「考える」と呼ぶのだと思います。

さて、あなたは1日のうちどれくらい「考えて」いますか?

2.感想を言語化する4つの軸

画像2

この「考える」という作業の訓練に向いているのが、感想を言語化することだと思います。

感想とは、先ほど述べた刺激に対する反応に起因するものだと考えています。
彼女にフラれた→悲しい
アニメを見た→面白かった
のように。

感じることは誰でもできます。
なので、その感じたものを使って考える訓練をしてみることをオススメさせていただきます。

といっても何をすればいいのか分からないと思いますので、岡田斗司夫さん著「あなたを天才にするスマートノート」という本から、考え方を引用してみたいと思います。

この本では、次の4つの軸で考えることが重要だと書かれています。

①なぜ?
②ということは?
③過去
④未来

順番に説明していきます。

①なぜ?
そう感じた原因を深掘りしていきます。
例えば「神様になった日」では、僕はつまらないと感じてしましました。
なぜそう感じたのか深掘りしていきます。

つまらないと感じた
→なぜかというと、どうアニメを見て良いか分からなかったから
→なぜかというと、何がアニメの軸となる問題なのか分からなかったから
→なぜかというと、主人公が何も問題を抱えていないから

こんな感じです。
できれば3段階ぐらい「なぜ?」と掘れると良いと思います。
この「なぜ?」は理論のすべての土台です。
この土台がしっかりしていないと、残りの3つの軸もブレてきてしまいます。

②ということは?
これは「なぜ?」の逆です。
「なぜ?」と深掘りしたものを逆にたどって、結論を導きます
「神様になった日」を例にすると、

つまらないと感じた
→ということは、麻枝准の才能は枯れたのか?
→ということは、感動した奴はバカなのか?

という感じです。
「なぜ?」がしっかり深掘りできていないと考えにくくなってしまいやすいです。
しっかりと「なぜ?」を掘ってから考えるのが良いと思います。

③過去
似たようなことがなかったか、過去と比較することです。
「神様になった日」では、過去作品の「Angel Beats!」「Charlotte」と比較しました。
また、麻枝准さんの話ではリヒャルト・シュトラウスという過去の作曲家の経歴を比較しています。
ここで重要なのは「意外なものが関連するかも」という発想を持っておくことです。
「神様になった日」レビューで「Angel Beats!」「Charlotte」を持ち出すことは誰でもできると思います。
しかし、麻枝准さんとリヒャルト・シュトラウスの経歴を結びつけるのは、少しひねらないと出てこないかもしれません。
意外なものに関連性、類似性があると幅広く考えることが重要だと思います。

④未来
上記の3つの軸から、未来はどうなるのか予想することです。
これはなかなか難しいです。
「神様になった日」レビューでもこれは書いていません。
特に過去について幅広い知見を持っていないと、未来を予想するのは難しいです。
歴史は繰り返すものなので、歴史に詳しい人ほど先を見通すことができるそうです。
例えば今回のコロナ騒動も、過去のパンデミックがどうだったか知っている人は、未来が予想しやすいはずです。
時代が変わっても、人間の思考はそんなには変わらないからです。

***

以上4つの軸を使って、自分の感想を言語化してみてください。

まずは感想を書く。(「面白かった」「つまらなかった」など)
それはなぜそう感じたのか深掘りする
ということは、どういうことが考えられるのか積み上げていく
過去に似たようなことがなかったか比較する
最後に、未来ではどうなるか予想する、です。

3.間違っている理論の方が面白い

画像3

ここでの注意しておきたいのは、間違っている理論の方が面白いということです。

理屈だけで組み立てた話は間違っていないかもしれませんが、ほとんどの場合が面白くありません。
なぜなら、誰もが同じ意見になってしまうからです。

「1+1は?」と訊かれて、理屈だけで語ろうとすると全員が「2」と答えます。
でもそれでは面白くありません。
それよりは、

〇「1+1は10」だって2進法で考えたから。
〇「1+1は大きい1」だって粘土と粘土を合わせたら大きい粘土が出来上がるから。

という回答の方が面白いと言ってもらえることが多いです。
理屈だけではない個人の主観(勝手に2進法で考えたり、勝手に粘土で考えたり)が入っているからです。
「どう感じたか」というあなたの主観=感覚こそが面白いのです。

そして感覚というのは極めて非論理的です。
だから他の人から見たら間違っているように見えることも多々あります。
「1+1は大きい1」なんて数学的には間違っているのでしょう。
でもそれこそが、あなた独自の面白い理論になるのです。
決して間違っていることを恐れてはいけません。

人間の脳みそは左右で役割が違うそうです。
左脳は「理論・分析・デジタル」、右脳は「感情・感覚・アナログ」という特徴があります。
これを上手く混ぜることが重要だと思うわけです。
理屈だけだとつまらなくなるし、感覚だけだと人に共感を与えられません。

4.人に発表してパラダイムを広げる

画像4

自分なりの理論が組み立てられたら、できれば人に発表してみてください

僕はnoteで書いていますが、別に手段は何でも大丈夫です。
YouTubeで語ってみたり、友達に話してみたり……。

なぜ人に発表するのが重要かというと、自分のパラダイムを広げられるからです。
パラダイムとは、個人個人がもっている物の見方、価値観のことです。

自分の理論は完璧に見えても、自分のパラダイムを通して見ているので、必ずどこかが歪んでいるはずです。
人に発表し、リアクションをもらうことで、他者のパラダイムを理解するきっかけとなるのです。

ここで重要なのは、理論の正当性を他人に確認するのではありません。
理論を通して、他者のパラダイムを理解するのです。

自分なりの理論というのは必ず間違っているので、異なるパラダイムを持った人から反論が来ることもあると思います。
そのときに、その人はどういうパラダイムから反論しているのか観察してみてください。
決して自分のパラダイムを押し付けてはいけません
「この人は勉強が足りてないんだな」とか「この人はケチつけるために言っているんだな」といった自分のパラダイムに当てはめてしまっては何も得るものがありません。
その人が何を言おうとしているのか、なぜその思考に至ったのか、その人になったつもりで真剣に考えてみてください。

他人のパラダイムを心の底から理解することで、自分のパラダイムが拡張されていきます
僕もLGBTがこんなに叫ばれなければ、LGBTの人たちを全く理解できなかったと思います。
「身体と精神の性別は一致しているものだ」というパラダイムを持っていたからです。

どんな人でもパラダイムは偏っています。
「20代のうちに結婚しなければならない」
「SNSに不快な画像をあげるなんて、いけないことだ」
「生きるためにはお金を稼がなくてはいけない」
「親には孝行しなくてはいけない」
全て偏ったパラダイムです。
道徳的に良いか悪いかではありません。
偏ったパラダイムしか理解できないと、世界を狭い視野で見ることになります。

そして人間の争いのほとんどは、他人のパラダイムを理解できないことが原因で起こると思うのです。

例えば、最近あった「欅坂46パン屋事件」もそうです。
アイドルがパン作りに挑戦するテレビ番組の企画。
指導していたパン屋の店長さんが、返事をしないアイドルに対して「返事くらいちゃんとしろ!」と怒鳴り、炎上した事件です。

これもお互いのパラダイムの違いから起こっていると思います。
パン屋の店長さんは「返事をするのが社会人としての礼儀だ」というパラダイムを持っているのでしょう。
アイドルは「真面目にやるのが恥ずかしい」というパラダイムを持っていたのかもしれません。
善か悪かではなく、お互いがお互いのパラダイムの違いを理解し、許容することができなかったために起こったんだと思います。
パン屋を炎上させたアイドルのファンも「推しを怒鳴りつけるなんてありえない」というパラダイムを持っていたのでしょう。

他人のパラダイムを理解できるということは、許容できるものが増えるということです。
許容できるものが増えれば、楽しめるものが増えます。

流行しているのが許容できなくて「鬼滅の刃」を読んでいない人、絵柄が許容できなくて「ジョジョの奇妙な冒険」を読んでいない人、ギャグが許容できなくて麻枝准アニメを見ていない人……。
別にそれでも良いんですが、許せるものが増えればもっと楽しめるものが増え、幸せな時間が増えるんじゃないかなぁというのが僕の意見です。

なので、言語化したものをいろんな人に聞いてもらい、どんどんパラダイムを広げていってみてください。
だんだんと見える世界が変わってくると思います。

5.おわりに

この記事を読み終わって「面白い」と感じてくださった方は、さっそく言語化してみてください
何がどう面白いと感じたのか。
「つまらない」と感じた方も、なぜ「つまらない」と感じたのか是非言語化して聞かせてください。

別にこのnoteの感想でなくても構いません。
なぜ最近YouTubeがつまらなくなってきたのか?
なぜ感染者数増加はニュースになるのに、減少は話題にならないのか?
もし、お金のことも時間のことも考えず、何でも好きなことをしていいとしたら、残りの人生を何に使うだろうか?

考えようと思えば、考えられることは幾らでもあります。

できれば頭で考えず、ノートに書きだしてください
先ほども述べましたが「考える」とは非常にエネルギーが必要な作業です。
ナメてはいけません。
頭の中だけで完結できるほど簡単な作業ではないと思っています。
なので、まずはノートに「〇〇〇と感じた」と書いて、そこから「なぜ?・ということは?・過去・未来」の4つの軸を書き足していってみてください。
圧倒的にアイデアが浮かぶはずです。

面白い記事ができたら是非読ませてくださいね。
それではあなたも楽しい言語化ライフを!
レッツ言語化!!

6.参考文献

今回のnoteを書くにあたり、以下の書籍を参考にさせていただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

■あなたを天才にするスマートノート

■完訳 7つの習慣 人格主義の回復

最後の最後に、もしよろしければ下の「サポートする」からご支援いただけると大変助かります……!!
こんなところまでお読みいただきありがとうございました!!

天休ひさし

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?