アルカラスら新世代の技術革新 〜ベテランとニュースターの競争〜
この記事は、我らが天才「カルロス・アルカラス」を筆頭とした新世代の技術革新について解説する。
常識を疑え
「横、前後ろへの俊敏な動き」、「体幹の強さ」そして、「メンタルの強さ」は、10年前のテニスと今のテニスを比べた時、強い選手たちが持つ不変的なクオリティーだ。
ただ、現代テニス、特に新世代プレーヤーは、この基礎の上に、あと「三つ」要素を持ち合わせている。
これまでのテニスを全て否定するわけではない、ただ、テニスが時代と共に変化していることは疑い用もない。
これまでのテニスが今日通用しないのは、至極真っ当なことなのだ。
『繊細なタッチ』
今でこそ、アルカラスからティアフォーからチチパスまで、新世代ならどの選手も持っている「繊細なタッチ」。
それは、ネットプレーでボレーを打つ際や、ドロップショットを打つ時、または、股抜きショットなどのトリックショットを打つ場面で、重要なテクニックである。
繊細なボールコントロールは、10年ほど前は、あまり重要視されていなかったであろう要素だ。
しかし、選手たちが強靭な肉体を手に入れた現在、ネット際に落とすボレーやアングルのついたショットは、相手が追いつけないように仕向けるため、非常に重要な技術なのだ。
ドロップショットに至っても、打つ直前まで通常のグラウンドストロークの構えをし、相手の予測の斜め上をつかなければ決まらないほどに、プレーヤーの「フィジカル」は今非常に高いレベルに達している。
股抜きショットや背面ショットに至っても、「次どこの打つのか」を隠すことのできるショットであるが故に、多用されているという背景があるだろう。
結論から言うとすれば、現代テニスはこれまで以上にテクニカルで、繊細なタッチが求められているのだ。
そして、コーチである僕はその技術を広めるトレーニングをレッスンメニューに組み込まなければならない。
『サーフェス関係なしのスライディング技術』
これもまた、現代テニスで勝つためには非常に重要なテクニックである。
昔からスライディングはクレーやオムニコートで、遠くのボールに追いつき、返すために広く使われてきた。
ただ、現在はハードコートでも使うほどに、コートカバーリングに役立つ技なのだ。
ジョコビッチが得意としてきたハードコートでのスライディングだが、今ではどのプレーヤーもフィギュア選手のようにコートを滑らかに舞う。
これは、シューズの技術革新や、トレーニングの多様によるおかげだと推測できる。
上記の動画では、現在男子シングルス世界ランク9位のフベルト・フルカチのテクニックが見て取れる。
今年27歳となった彼は、新世代というには歳かもしれないが、ハードコートでの戦いを得意とするプレースタイルで、随所でスライディング技術を駆使し、ディフェンスを測る。
その上に、繊細のタッチ、特に浅く低く滑るスライスショットで、ネットの低いところにボールを通し、相手のオフェンス(攻撃)を阻止しているのだ。
ATP finals にも進出している彼は、現代テニスの筆頭と言ってもいいだろう。
『カリスマ性』
最後に、新世代らに該当する共通項ラストは、なんと言っても彼らの『カリスマ性』だろう。
カリスマとは、、
2023年、Oxford 辞書にも掲載されたとする、若者の間で使われる造語「Rizz」は、この言葉の真ん中三文字「ris」から取ったと言われている。
現代テニスのプレーヤーは、ブレイクポイントを相手に握られた時や、ピンチの場面でも、攻撃的なネットプレーを見せたり、股抜きショットなどを披露したりと、『ビッグショット』を重要な場面で見せる。
それはひとえに、観客を喜ばせる為、スリルを味わいたいが理由に、リスクを負うのだろう。つまりは、「エンターテイナー」的なマインドによるものだ。
また、BIG 3 と対峙する際も、物怖じすることなく、堂々たる振る舞いと態度で決闘する姿は、彼らの「カリスマ性」を象徴する証拠の一つなのだ。
Conclusion
「繊細なタッチ」+「サーフェス関係なしのスライディング技術」+「カリスマ性」
以上の三つが、新世代が引き起こした技術革新なのだ。
見出し画像出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e8/2023_Wimbledon_Men%27s_singles_final_%282%29.jpg
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