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グラフィック版「アンネの日記」あまりに眩い生命の輝きは永遠に♾️

自分より圧倒的な悲劇に包まれた少女を見たいわけではありません。

自分より圧倒的に生命の輝きに満ちた少女がそこにいたことを

心に深く刻みたかった。

私は眠れぬ夜があると時折り「アンネの日記」グラフィック版を読んでいます。

とても美しく素晴らしい本ですので、今回私が一番お伝えしたいエッセンスを投稿させて頂きます。

この本は、あまりにも深く、あまりにも広く、私たちの人生を照らす示唆に富んだ無限の可能性に満ちている絵本だと思っています。

最初に書店の絵本コーナーで見かけた時

美しい装丁に一目惚れしてしまいました。

中身をパラパラとめくったら、どのページも素晴らしい。

観た瞬間に、彼女から見た世界が脳内にばーっと広がっていく感覚。

これは、絶対に読みたい。読むべきだと直感しました。

「アンネの日記」はだいぶ昔に小説も読んでいるし、映画も観ています。

ただ、全く違うアンネの日記の世界が色鮮やかに広がっていました。

B5サイズのハードカバーのしっかりといた重みと全編フルカラーページの美しさに家で飾っておきたいほどのアート性も感じました。

この残酷な時代と運命に晒された少女の隠れ家で書き綴った日記と彼女が見た景色。

私は1ページ1ページを大切にめくって

アンネが思った、感じた、眺めた最後の人生のページを改めて感じる機会となりました。

そして、これは非常に誤解を招く可能性がありますが、

敢えていいますと

アンネはADHDとHSPの特性が非常に強いのが

多くのページから伝わって来ます。

衝動性、多動性、不注意性が突出していて

マインドワンダリング(想像の浮遊)が常で

日々テンションが乱高下します。

そして人並み以上に優れた感受性と

あまりに敏感で繊細な傷つきやすい心。

ただ、この歴史の残酷さを世界に知らしめた名著「アンネの日記」の少女アンネ・M・フランクを

ある一つの特性にイメージを固定することは良くないことだと思いますので

先入観を抱かずニュートラルに読んで頂きたいと思いますが、

きっと今、人生に悩まれているADHDやHSPの方にとって

心の深い、深いところで

驚くくらい共鳴されることでしょう。

私は自分の脳内のことを言っているのではないか

と思うくらい彼女の感じ方、考え方、反応の仕方、想像の仕方、傷つき方に自身との共通性を感じました。

そしてそれは、彼女の生きるという意味において

ものすごく大きな美点となっていることが伝わってきて

非常に勇気づけられました。

読めば多くの方が感じるかと思います。

何も自分たちとは変わらない一人の少女の

悩みと思考と感情が

今生きている私たちの心の奥深くと

繋がっていることを。

そして、彼女の想像力が生きる希望になっていたことを。

アンネは空想を色鮮やかに広げていきます。

冒頭にも言いましたが、アンネの哀しき運命と比較して自分の不幸を軽くしたいわけではありません。

ただ、そういう入口であっても私は良いかと思っています。

アンネはいつナチスに見つかるか分からないという恐怖に駆られながら、今の境遇や同居している皆の嘆きに対して感じていること、母との違いを言葉にしていますが一部紹介します。

~一部抜粋~109ページ   アンネのお母さんの助言

だれかがふさいだ気分でいるとき、おかあさんはこう助言します。

「世界じゅうのあらゆる不幸のことを想い、自分がそれとは無縁でいられることに感謝なさい」って。

(抜粋了)

私はこの言葉を読んで、あの声を潜めて生きる隠れ家の状況の中でも、自分たちよりもっと不幸な人の、たとえば既に収容所に送られた人たちのことを考えて、いかに自身が恵まれているかを考えなさいという言葉は、過酷な状況下で生きる希望を捨てないでどうにか過ごすために必要な心の持ち方だと思います。と同時にどんなに不幸でももっと不幸な人はいる哀しき真実を表しているとも言えます。

ただ、その慰め方をアンネは根底から否定します。

(一部抜粋)同109ページ

この点こそがおかあさんと私とでは、まったく態度の異なる点のひとつです。私の助言はこうです。

「外へ出るのよ。野原へ出て、自然と、日光のめぐみとを楽しむのよ。自分自身の中にある幸福を、もう一度つかまえるように努めるのよ。あなたの中と、あなたの周囲とにまだ残っている、あらゆる美しいもののことを考えるのよ。そうすればしあわせになれるわ!」

おかあさんの考え方は、とても正しいとは思えません。

だって、もしそうなら、自分自身が不幸の中をさまよっている場合、いったいどうふるまったらいいんでしょう。

お手上げじゃありませんか。

それとは逆に私は、どんな不幸の中にも、常に美しいものが残っているということを発見しました。それを探す気になりさえすれば、それだけ多くの美しい物、多くの幸福が見つかり、人は心の調和をとりもどせるでしょう。

そして幸福な人はだれでも、ほかの人まで幸福にしてくれます。

それだけの勇気と信念とを持つ人は、けっして不幸におしつぶされたりはしないのです。

じゃあ、また、アンネ・M・フランクより

(抜粋了)

私はこのページを何度も何度も読みました。

もう何か私が付け加える言葉が無いような彼女の言葉。

これが全編フルカラーの151ページの分の1ページのメッセージの濃さです。

私は「アンネの日記」を全く知らなかったのだと思いました。

この日記を書いた5か月後

1944年8月4日の午前10時から10時半のあいだに

アンネを含む8人のユダヤ人と彼らの潜伏生活を助けた2人が

ナチスの秘密警察に連行されました。

その後、アンネとマルゴー姉妹は、

1944年9月6日に、ポーランドのアウシュヴィッツ収容所に到着します。

そして1944年10月末、アウシュヴィッツからベルゲン=ベルゼン強制収容所に送り込まれ、極度に悪い衛生状態の中、収容所でチフスが流行し、アンネとマルゴーは亡くなりました。

死亡日時は、2月末か3月初めと推定されているようです。

この強制収容所がイギリス軍の手で解放されたのは、姉妹の死からわずか1か月余りのち、1945年4月12日のことだったそうです。

たった、あと1か月余り、、、

私はきっと一生を通じて、このグラフィック版「アンネの日記」を何度も読み返すことでしょう。

生きるということの素晴らしさ。

生きているということの奇跡。

人間の想像力の無限さ。

それを改めて色鮮やかに感じさせてくれたこの本を

私は宝物のように大切にしていくつもりです。

是非、一度手に取られることを心からお薦めします。

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