数冊のアートブックから妄想したこと。
① Karl Blossfeldt 『芸術の原型』
植物をミニマルに撮影し続けたカール・ブロスフェルト。
美術の教師だった彼は、これらの植物のクローズアップ写真を、授業の教材にするために手製のカメラで撮影したのだという。
ブロスフェルトの肖像を見ると、つばの広い帽子を被って、ゆたかな口髭をたくわえ鋭い視線をカメラに向けるワイルドな風貌で、身近な自然を見つめるミクロな視点や、6000枚にもおよぶ同じような写真を淡々と撮影したことと
こんにちは。添といいます。
日本在住、女性に分類される人間です。性別の意識が極めて薄いので、ノンバイナリーというスタンスですが(添も本名ではありません)、実のところ属性や名前はどうでもよいことで、生きることとは、ひたすら自分という謎に向かってゆくことであると考えています。
このnoteという場所で行っていることは、①散文や批評のようなものを書いたり、②写真や言葉を使った表現、③仕事としての活動紹介、などを中心とする個人的なものです。その行動原理は以下の通りになります。
①
Good bye, film #6
今回は写真論のようなものです。少し古いですが、2021年のメモをもとにして、当時、頭の中にあったものを書きます。
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一口に写真と言っても、報道写真や商業写真、記録写真と、さまざまな用途やジャンルがますが、私は「表現写真」を学んでいた時期があります。
表現写真とは、作品、いわゆるアートとしての写真を指すものです。もっとも、写真には本質的な多面性があり、どんな写真の中にも複数の要素が重なり合っているものなので一概に括ることは
Good bye, FILM #5
2016.8
降り続いていた雨がようやく止んだ朝、松林を抜けて海岸へと出る。
青い夏の空。ゆるい弧を描く遠浅の浜に穏やかな波。夏の太陽はすでに高く、水面に無数の光を反射させている。波打ち際にたむろしているウミネコを追って、湿り気を帯びた重い砂を踏み桟橋まで歩く。
ここは湾の最深部で、小さな木の桟橋から眺めると、左右にせり出す陸地の中央に外海が開けている。下を覗くと水の底が見えた。
桟橋を後にして、グラウンド横に残る背の高い松の間を抜
Good bye, FILM #4
森 2014.8
峠の手前で小さな標識をたよりに横道の林道に入って、しばらく進んだ先の行き止まりのスペースに車を留め、明るい木漏れ日のブナの森の奥に続く土手を登ると、だしぬけに池が現れた。
標高1000メートルの森の空気はひんやりとして辺りは静寂。すぐそこまで車で入って来れるのが信じがたい。
10分もあれば一周することができる小さな池で、池の上空には周囲の高木が張り出して、自然のドームのような不思議な空間ができていた。
静止した水面