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Ten Kitami | 天才マニアの発達障害なクリエイティブ・ディレクター | https://magpoint.me

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「採集」は、科学か芸術か。

数冊のアートブックから妄想したこと。 ① Karl Blossfeldt  『芸術の原型』   植物をミニマルに撮影し続けたカール・ブロスフェルト。 美術の教師だった彼は、これらの植物のクローズアップ写真を、授業の教材にするために手製のカメラで撮影したのだという。 ブロスフェルトの肖像を見ると、つばの広い帽子を被って、ゆたかな口髭をたくわえ鋭い視線をカメラに向けるワイルドな風貌で、身近な自然を見つめるミクロな視点や、6000枚にもおよぶ同じような写真を淡々と撮影したことと

    • 波になる。対話する。 〜即興音楽会。

      ジャンルレス&オルタナティブな即興音楽会、INSPIRATION SOUND #3 のフライヤーが出来たのでnoteでも読めるようにしました。    「感じる瞑想音楽」、「身体で聴く」に続き、第3回のテーマは「音の対話」。 そして今回は、2部制になっています。 午前中のPART 1 『Translation』は、Azuがライフワークとする、その場でヒアリングしたエピソードから音楽を紡ぐ「エピソード即興」。一期一会の音の素描に心を揺さぶられると評判のパフォーマンスに特化したラ

      • ボルヘス 『伝奇集』 の並行世界。 すべては密やかに進行する。

        世界の成り立ちの秘密。宇宙の仕組み。 人間はじまって以来、あまたの哲学者や科学者、あるいは神秘家たちが挑んできた謎。そう遠くないうちに、その解答になり得るようなことが科学的に示されることになるかも知れない。 なんて、そんな期待を持ってもおかしくないような域に、すでに我々の文明はさしかかっているんじゃないか。と、近頃感じたりする。 科学技術によって、人間の知覚範囲と活動領域は広がり続けいて、いよいよ宇宙や非物質的な次元にまで侵入している。 日々上がってくるテック関係のトピックの

        • 身体で聴く、日常のなかの祝祭

          フィジカルという、不合理で特別な回路 ソニーが「ウォークマン」を発売した1979年以来、人間は音楽を、ひとりで、耳のみで聴くことに慣れはじめた。以来、あらゆる場所で、周囲を憚ることなく、それぞれが好きな音楽を、即時に楽しむことが当然のことになった。 さらに進んだ今では、手元のスマホから溢れる多種多様なコンテンツに視覚と聴覚をジャックされ、マルチタスクは当たり前、音を単独でじっくり聴くことはない。音楽環境が豊かになるほどに細分化が進み、もはや音楽はリアルな友達とのコニュニケー

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        マガジン

        • 観たり、読んだり。鑑賞妄想文。
          6本
        • cup of water
          0本
        • Good bye, FILM さよなら、フィルム
          6本
        • sense of life
          12本

        記事

          『瞑想の彼方』 横尾龍彦 回顧展

          人間は誰しも大なり小なり内なる地獄を抱えていて、それと向き合わざるを得ない時があるわけだが、芸術家となると、それは一層激しいものになる。 というか、もとより「地獄」に敏感な人間が芸術家なのだろうし、また、芸術家とは「地獄」を「美」へと変化させる宿命を負った人種なのだ。 そして、美を知ることは人間の本質的テーマでもある。 ・ 絵の具の色なのか、それとも絵の発するオーラの色なのか。今、自分が見ているものは実態があるものなのだろうか? 横尾龍彦の絵を観ているとそんな風に思う時が

          『瞑想の彼方』 横尾龍彦 回顧展

          『地表は果たして球面だろうか』 吉阪隆正

          擬人化したライオンやキリンに家を作らせ、ダムを暴力団の親玉に喩え、なめらかに仕上げられたコンクリート壁を“丸腰の町人の肌“よわばりし、原始の文明や細胞の話から宇宙へ飛び出し、アフリカの大地へ降りて、突如ヒゲの話がはじまる…。 マクロとミクロの視点と、太古からはるか未来の時間軸を縦横無尽に行ったり来たりしながら、どこに行き着くともわからないような論が飄々と展開されてゆく。いったい、この人の頭の中はどうなってるのか。 建築家・吉阪隆正の名前を知ったのはずいぶん昔のことになる。

          『地表は果たして球面だろうか』 吉阪隆正

          『よろこびの機械』 レイ・ブラッドベリ

          2023年初頭の現在、全方位でバーチャル世界は拡大の一途を辿り、我が日本でもコロナに後押しされたかたちで地味ながら着々とDX化は進行し、この1年ほどの生成系AIをめぐる過熱ぶりは目に余る。いわゆるシンギュラリティーというやつは予想されていたより早くやってきそうな雰囲気になってきたし、少なくとも数年以内には、いよいよ人間のアルチザンとしての実存的価値はほとんどなくなるだろうから、我々は今のうちに、来たるべきデジタル化した中世のような世界に対応する生存戦略を立てねばらない。 だな

          『よろこびの機械』 レイ・ブラッドベリ

          瞑想、あるいは理由なき歓び

          瞑想音楽「INSPIRATION SOUND」 「INSPIRATION SOUND」と題した即興を中心とした音楽ライブを企画しました。 出演アーティストは、サックス奏者のAzuさんと、クリスタルボウルのサウンドバス奏者で、唄い手でもあるIzumiさん。 2人のコラボレーションによる“瞑想”がテーマの音楽会です。 え、瞑想? 即興? インスピレーション? 何だそれ? と、お思いでしょう。 どんなことをするのか、いまいち曖昧でピンとこないのではなかろうか、と、趣旨とアー

          瞑想、あるいは理由なき歓び

          AIにはまだ書けない、コスパの悪い感想文

          読書感想文が書きたくなりました。 レビューではありません。あくまで偏見にまみれた、わりと読むのが面倒くさいタイプの感想文。そんなものを少しづつ書くつもりですが、今日はひとまず、本を読むことや書くことについて。 そもそもですが、僕は本当に本が好きなのか正直わかりません。 「本好き」って何なんですかね。文芸作品の鑑賞が趣味だということでしょうか。 読書習慣はあります。だいたい3冊くらいを並行して読んでいて、読むものがないと落ち着かない性分です。でも別に本だけが特別な存在なわけで

          AIにはまだ書けない、コスパの悪い感想文

          私について。または、物質から離れて物質を愛でること。

          こんにちは。添といいます。 日本在住、女性に分類される人間です。性別の意識が極めて薄いので、ノンバイナリーというスタンスですが(添も本名ではありません)、実のところ属性や名前はどうでもよいことで、生きることとは、ひたすら自分という謎に向かってゆくことであると考えています。 このnoteという場所で行っていることは、①散文や批評のようなものを書いたり、②写真や言葉を使った表現、③仕事としての活動紹介、などを中心とする個人的なものです。その行動原理は以下の通りになります。 ①

          私について。または、物質から離れて物質を愛でること。

          写真と意識と芸術について

          Good bye, film  #6 今回は写真論のようなものです。少し古いですが、2021年のメモをもとにして、当時、頭の中にあったものを書きます。 ・ ・ ・ 一口に写真と言っても、報道写真や商業写真、記録写真と、さまざまな用途やジャンルがますが、私は「表現写真」を学んでいた時期があります。 表現写真とは、作品、いわゆるアートとしての写真を指すものです。もっとも、写真には本質的な多面性があり、どんな写真の中にも複数の要素が重なり合っているものなので一概に括ることは

          写真と意識と芸術について

          12. 創造的空間?

          すぐ気が散る。 発達障害を持っている人が抱える代表的な悩みであるが、これを解消する対策のひとつとして、視覚刺激を減らすということが挙げられる。 視覚情報が無駄に多いと、注意が分散し、ただでさえ低いワーキングメモリの働きがより低下する。それを防ぎ、作業を捗らせるには、視覚情報の少ない環境を作ることだ。 というわけで、視覚刺激を排除していった結果、部屋がどんどん白くなる、という現象が起こっている我が家。 なるべく物は置かない。家電や生活雑貨は無地で色味のない極力シンプルなも

          12. 創造的空間?

          mico*のポートレイト

          少し前になるが、ジュエリーデザイナーであるmico*さんの依頼で、ポートレイトと作品の撮影をさせてもらった。 mico*さんの生み出すジュエリーは独創的。とてもアーティスティックで圧倒的。 同様に、本人の纏うオーラも強烈(失礼)でパワフルなのだけど、微力ながら、そんな彼女の作品と、キュートなキャラクターの魅力の一端をキャッチすることができたのではないだろうかと思う。 これはコンデジで手持ちで撮った。 というのも、フィルムカメラの身体感覚、アナログ的操作に深く馴染んでいたの

          mico*のポートレイト

          11. A氏の人格

          アスペルガー症候群の名称は、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーが1944年に発表した論文に由来する。 社会性・コミュニケーション・想像力の面での障害を同時に持つ、知的障害のない軽度の自閉症との理解で、1980年代以降に世界的に診断基準が確立したものであるが、現在では、この名称は、あまり使われなくなりつつある。 2013年のDMS-5(アメリカ精神医学会の定める診断基準)では、アスペルガーの文字は消え、症状の軽いものから重度までをまとめてスペクトラム(連続体)ととらえる

          11. A氏の人格

          佐渡 ③

          Good bye, FILM  #5 2016.8 降り続いていた雨がようやく止んだ朝、松林を抜けて海岸へと出る。 青い夏の空。ゆるい弧を描く遠浅の浜に穏やかな波。夏の太陽はすでに高く、水面に無数の光を反射させている。波打ち際にたむろしているウミネコを追って、湿り気を帯びた重い砂を踏み桟橋まで歩く。 ここは湾の最深部で、小さな木の桟橋から眺めると、左右にせり出す陸地の中央に外海が開けている。下を覗くと水の底が見えた。 桟橋を後にして、グラウンド横に残る背の高い松の間を抜

          佐渡②

          Good bye, FILM #4 森 2014.8  峠の手前で小さな標識をたよりに横道の林道に入って、しばらく進んだ先の行き止まりのスペースに車を留め、明るい木漏れ日のブナの森の奥に続く土手を登ると、だしぬけに池が現れた。 標高1000メートルの森の空気はひんやりとして辺りは静寂。すぐそこまで車で入って来れるのが信じがたい。 10分もあれば一周することができる小さな池で、池の上空には周囲の高木が張り出して、自然のドームのような不思議な空間ができていた。 静止した水面