住宅営業マン、11棟目は努力が実を結んだパターン!
住宅会社は大概、顧客情報を社内イントラなどで共有しており、そこでは個人の管理しているお客様リストと、その支店や展示場で共有されているお客様リストの2種類があることが多いです。
新人のうちは、接客のレベルが低いので、自分が接客する機会をなかなかもらえないので、共有されているお客様リストにアプローチしていくのですが、「個人管理」ではなく「共有」になっているのは、何らかの理由で、「このお客様はまだ建てないんじゃないか」という判断がされたお客様であることが多いです。
そのため、共有リストは新人ががむしゃらにアタックする以外には、年次が上がると敬遠することが多いです。
しかし、3年目の冬、接客機会の少ない展示場で、受注もない私は焦っていて、なりふり構ってはいられませんでした。
電話嫌いがSMSで必死に営業する
毎日100件くらいは電話をかけて、そのうちつながるのは平日はよくて5件、休みの日で15-20件、ほとんどが迷惑そうに「まだ建てません」「いい土地があったらね」「もう他社で建てました」「マンション買いました」といったリアクションで、成果につながらないし、心がすり減るばかりでした。
そんなある日、ふと思ったのが、「お客様も知らない番号から電話かかったら面倒だから出ないけど、SMSで要件がわかったら気にしてくれるかも!」ということでした。
今思えば、知らない担当者からSMSなので、それはそれで気持ち悪いかもしれませんが、週に何度も電話がかかってくるよりよっぽどマシにはなったと思います。。。
早速、共有お客様リストから、携帯番号を書いてある物件を抽出して、片っ端からイベントのご案内を送ります。
今まで100件も電話したらぐったりでしたが、中2から携帯を駆使して毎日200件くらい長文メールをしていた私としては、ほぼコピペでつくれるSMSを200件送るのは、全く苦になりませんでした。
すると、今まで電話には出ていただけず、何年もリストに「不在」しか書かれていなかったお客様からぽつぽつ返信がいただけるようになりました。
「親が死んだらその土地に計画するかも」
「おたくは高いから検討できません」
「計画中断したので連絡不要です」
「ご連絡先を間違えていると思います」⇒展示場でウソTEL書かれていました。。。
こうやってリアクションを頂けると、私たちも「ここは連絡してもムダ」「ここへの連絡は頻度高いと迷惑なので、何か月おきにしよう」などと判断ができるので、より迷惑なご連絡をしなくて済みますし、計画がない・すでに他で進められた方はリストから削除もできるので、リストのブラッシュアップにもつながるので、少し進歩を感じていました。
営業マンが一番テンションが上がるお客様からのご連絡!!
それでもなかなか成果が出ず、毎日上司に怒られて消耗していく日々。。。(詳しくは前回noteご覧ください。。。笑)
休日である火曜日に、社用携帯が鳴りました。
「土曜日なら行けますが。」
めちゃくちゃそっけない一言ですが、これは待ちに待ったアポイントOKのSMSです!!!
しかも、この週は会社をあげたビックイベントを週末に控えており、自分のお客様を当たりつくした私は、一部の望みを込めて、共有リストでイベント開催地に近いお客様を抽出して、片っ端からSMSをしていたところでした。
「ありがとうございます。○○時にお待ちしております。」
即座に返信すると、いても立ってもいられません。
すぐに展示場に向かい、顧客リストを確認して、お客様情報、建築情報を確認し、現地に飛んでいきました。
お客様はW様、おひとりで都内でも人気エリアに賃貸併用住宅にお住まいで、そのお建て替えを希望されていました。
初めての賃貸併用、、、不安すぎる、、、という思いを抱きながら、現地の写真を撮ったり、前の道路の幅員をはかったり、インフラ状況を目視で確認したり、打合せに向けた準備をしました。
イベント当日、W様も私も緊張中
イベント当日、現地にお越しになったW様は、イベントが大きなものであったのもあり、最初はとても警戒されていらっしゃいました。
なるべく心理的なハードルを下げようと、私のプライベートな話をしたり、お客様にしゃべっていただく機会をつくったり、家づくりの話もカチッとしたスケジュール、税務、賃貸経営の話よりも、居住部分で達成したいことなどをお伺いして、和やかな空気をつくることを最優先にしました。
「今の家のステンドグラスをつかいたい。」
W様から出た最初のご要望がこれでした。
今の家は、ご両親から引き継いだもので、ステンドグラスは家族の思い出のエピソードがある素敵なものでした。
床柱や欄間の再利用は経験したものの、ステンドグラスは楽しみだなーと思いながら、お客様と家づくりの概略を一緒にまとめていきました。
段々と緊張がほぐれて、色々とお話をしてくださるようになったW様によると、ご両親がなくなって、老朽化した家を建て替えたいと思ったものの、賃貸併用ということもあり、入居者の退去などのタイミングで悩み動けずにいたところ、SMSが来たので、あやしいと思いながらも参加したとのことでした。
当時、お客様を誘導する能力もない反面、お客様に警戒されにくい熱意しかない空っぽ営業マンだった私は、W様との相性がよかったと思います。
イベントで自社の家づくりのご説明もでき、大変気に入っていただき、プラン見積作業に進めていただくことになりました。
設計は今と大きく構成を変えて失敗したくないというW様の意向に沿って、今のお住まいをベースにしながら、不満を感じられていた水廻りの動線や、窓の取り方、内装デザインを大きく変えていきました。
W様はとてもやさしい方なので、設計士がつくった図面をその場で直しの依頼をするのが難しい印象があり、平日に理由をつけて訪問しては、こっそり図面の変更をお伺いするようなフォローをしながら打合せを進めていきました。
「もー清水の舞台から飛び降りる気持ちで、進めちゃいましょう。これからもよろしくね。」
最後にご契約の内諾を頂いたのは、同じく平日の夜に何かご不安事があるんだろうな、と思って伺った玄関先でした。
契約の内諾は、きちんと打合せのテーブルで「進めてもらえますか」とこちらから投げかけて初めていただけると思っていた私は、拍子抜けして「ふぁい!」と間抜けな返事をしていたと思います。
そこから着工までは、次第に打ち解けた設計士と楽しく進めていただき、立ち退きも古くから付き合われている不動産会社さん中心にすんなりとできました。
着工時には、近隣クレーマーに苦労したところはありましたが、2,3度通って納得してもらい、素敵なお住まいをお手伝いできました。
今では仕事もリタイアされて、訪問すると割と在宅のW様は、入居者の方とのコミュニケーションをとられたり、新しいお住まいでの暮らしをとても楽しんでいます。
家族の思い出のステンドグラスは、一番目立つリビングドアに。
思い入れのあるお住まいの建替えは、プレッシャーを感じるところでもありますが、どこか元のお住まいの名残を残すようなご提案は、注文住宅ならではのやりがいの一つかなと思いました。
W様から学んだこと
このW様邸で、お客様に合わせたアプローチを色々と工夫するようになりました。
そもそも、普段電話嫌いのくせに、自分が仕事になるとお客様の都合無視で電話をかけまくるのは趣味が悪いな、と思うようになったのです。
それからは、相手の時間を奪わないSMS、メール、LINEを増やしていきましたし、重要なことやニュアンスを間違えたくないときは電話と、使い分けてご連絡をしています。
また、打合せですべてを完結できないことも勉強になりました。
私は効率最優先のタイプなので、自分がお客様の立場だったら、常に「この打合せでどこまで終わらせられるか」しか関心がなく、相手の担当にも率直に伝えた方が修正する時間もとれるので、お互いのためになると思ってしまいます。
しかし、お客様の中には、その場の打合せではいっぱいいっぱいで、自分の伝えたいことがまとまりきらないお客様や、その場で設計士につくったものを修正させるような話が苦手なお客様もいるんだと、想像力が生まれてきました。
「訪問なんて効率悪い」と思っていましたが、私が平日にプラン変更をこっそり聞きにいかなければ、W様は翌週嫌な思いをしながら設計に変更の依頼をしないといけませんし、もしかすると我慢してしまったかもしれません。
お客様の立場で考える時に、W様の視点を意識できたのは、貴重な体験だったと思います。
今お打合せしているお客様も、日曜日に打合せをして、火曜日に電話でプラン変更やご不安があることを聞き、金曜日に設計とすり合わせて次の月曜日に変更したプランをお届けしたところ、大変喜んでもらえました。
一回一回の打合せだけでなく、お客様のペースに合わせた対応ができる営業マンでいたいなと思います。
この次のお話はこちら。
同じ時期のK様邸のnoteです。
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