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【書評】 著書: 『お金2.0』 価値主義・評価経済の出現

現在の資本主義の限界が見えた代表的な出来事が、2008年リーマンショック。
実体経済とはかけ離れたマネーが膨張してバブル化し、崩壊。

わたしたちが会社から給与を貰い、そのお金で何かを買う。これは消費経済と言います。
もう1つが、株などの資産からマネーを生み出している資産経済。
全体の経済のうち、消費経済は1割ほどしかないそうです。消費経済よりも、資産経済はお金でお金を稼がせているからお金がぐるぐる回るスピードが桁違いに早いからです。

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お金は元々、モノの交換や価値の変換、価値の保存の役割を担っていました。
物々交換だと手間も盗難のリスク、持ち運びがしにくい点がありますが、お金が仲介することによってそのようなデメリットは改善されたわけです。

現在の資本主義は資本をいかに大きくするか、即ちどれだけお金を生み出すか、という点に重きが置かれて、お金を生み出さない社会活動、消費などは評価がされていません。

今の会計や税務はこの前提で出来たものだから、"目に見えない価値"人気や影響力、IT企業が持つユーザーの購買データなどデータ、共感、情熱などは財務諸表の「資産」には載りません。

コレから主流になっていくのは、こうした価値を提供できる個人や企業が生み出す新たな経済圏です。
何故、そのような経済圏が出来上がるのかと言うと、ブロックチェーンやAI、ビットコインによって根本から社会や経済の仕組みが覆されるから。

AIはご存知の通り「人工知能」。インターネットにあらゆるデバイスが繋がれており、その結果大量のデータが取得できます。それを機会学習で学ばせてているから、AIの発達が凄まじいのです。

もう1つ大事なのがブロックチェーン
ブロックチェーンは情報を記録するデータベース技術の一種です。
ブロックという箱に取引記録や1つ前に作られたブロックの内容を表す「ハッシュ値」が保存されています。それが一本の鎖で繋がれているのです。

特にブロックチェーン技術が世にもたらすのは、経済の「分散化」で、これまで経済という枠組みを作ることは国家の専売特許でした。
内容は中央集権型。
中央銀行が発行する紙幣を配りわたしたち消費者(家計)と企業がそれを使って経済を大きくしていたわけですけど、ブロックチェーンによって、仮想通貨のような法定通貨とは全く関係のない"通貨"を個人や企業が発行できるようになるので、新しい経済圏ができるというわけです。

ブロックチェーンの特徴は絶対的な管理者がいないので、参加者皆んなで上手に運用しましょうみたいな感じ。
もし、1人の人間が自分の都合の良いようにシステムを変えようとしたら阻止するか、不満がある人は出て行く、みたいな感じです。


ざっと前提を話した上で、ようやく本書の1番大事なところである価値経済・評価経済についてです。
以前書いた『人生、生きて行くこと』でも少し触れてますが、
人生の目的や意義みたいなものが変わるということです。
特にミレニアム世代は小さいころからインターネットが存在していて、物質的にも日本は豊かになってました。戦後の苦しい時期を過ごした世代とは状況も違います。
だから、お金を追求する価値観は若い人ほど薄いんですよね。


『価値』には3つに分類されると本書には書いてます。
①有用性としての価値
→現実世界で役に立つか?という観点です。資本主義が大事にしている価値です。
②内面的な価値
→個人の内面的な感情。思い出や経験、共感、好意などです。
③社会的な価値
→社会全体の持続性を高めるような活動。慈善活動やNPOなどですね。

これから②と③を重要視するようになると思うですけど、
コレまでは②と③はあまり評価されなかったというか、コレだけやっててもお金にならないから食べていけない状況でした。
①を扱う資本主義がメインストリームだったのでしょうがないのですが…。

昨今、企業や某芸能事務所を筆頭にコレまでの既存システムの中にあった人たちのボロがどんどん出てきてますよね。
消費者を騙して利益を得る(利益至上主義)、社員や従業員のことを全く考えておらず、利益を上げるための道具としか考えていないみたいな組織はもう古いっていうことですよね。


②と③を重んじていればそんな組織には絶対になりません。
何故なら、他人からの共感や応援される気持ち、あとは個人が仕事=お金を稼ぐことだけに留まらず、自身の価値を磨くことに重きを置くようになるので、組織としては入社してくれる人にこの会社は成長できるな、と思わせる環境づくりが大切になってくるからです。


このようなコレまであまり扱われることのなかった価値観が新しい経済圏を作るようになり(技術的に可能になり)、『お金』という価値観も根本から変わるでしょう。


そうした新しい世界で活躍できる人の特徴は、
"他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組めることを持ってる人"と書いてます。
実際、YouTuberやインフルエンサーなど好きなことをしたり、遊んでいるだけで、
「お金が入って来る」人はいっぱい居ると思いますが、そんなイメージでしょうね。笑


わたしもそんな世の中が来るって思ってますし、日々の世の中のニュースを見てるとそれに向けて取り掛かっている段階に見えます。

最後に本書に書いてたイギリスの作家ダグラス・アダムスの言葉を載せておきます。

"人間は、自分が生まれた時に既に存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。
15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、
35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる…"

今日も最後まで見ていただきありがとうございました♪

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