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『全ての自分を愛する事』C・Yさん 生徒作品

小学6年生のCさん、『ベスト・エッセイ』という随筆文集の中から松井玲奈さんの「心の毛玉の解し方」という文章を読み、作文を書きました。
今回は、本文の中で語られている「自分の感性や価値が影響をうけた読書体験」について考えましたが、Cさん、たくさん書きたい本があると悩んでいましたが、『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』を選び「全ての自分を愛する事」というタイトルで書きはじめました。
ご友人との心温まるエピソード、Cさんの優しいお人柄が伺える作品です。


『全ての自分を愛する事』

私は『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』という小説が心に残っている。

この本は自分の顔をコンプレックスに生きている女子高生の「茜」と、やりたいほうだいなんでもできる人気者のクラスメイト「セイジ」の物語である。コンプレックスを抱えた茜に「自分とはなにか」茜の心に問うことで、自分をとりもどさせてくれたセイジ。そのセイジにとっても茜は大切な人だった。大好きな空の絵をかくきっかけをあたえてくれたからだ。実はセイジは病気を抱えていて、死に絶望をしていた時、茜の昔の笑顔を思い出し、その笑顔をかくことでコンクールで賞をとることができた。

私は、この本を読んで一番に、友人のHちゃんのことを考えた。Hちゃんは、「自分の顔、きらいなんだ。どうしても好きになれない」そんな女の子だった。Hちゃんは、マスクを外すのをいやがっていた。そこが、茜と重なって見えたのだった。Hちゃんが茜なら、私はセイジのようにHちゃんの背中をすこしでも押したい、そう考えた。Hちゃんは、友達には顔をみせたくない私に打ち明けてくれた。だから私は、「無理に見せなくていいよ、Hのペースでいいから。だれだって、自分のいやな所はあると思うし、だれにも見せたくない自分がいると思う。だから、Hのペースでいいんだよ。」そう言った。その言葉がHちゃんの心に届いたのか、Hちゃんは、その日から徐々に私の前でマスクを外してくれるようになった。私はセイジみたいになれたのかな?Hのヒーローになれたかな?そう思った。

このような出来事があったからこそ、私は『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』をたくさんの友達に読んでもらいたいと思う。きっと今まで以上に自分のことを好きになれるはずだからだ。


リテラの先生からのコメント

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』という本を通じて、茜やセイジの物語とご自身の体験を結びつけて考えたところが素晴らしいです。本の内容だけでなく、友人のHちゃんとのエピソードを具体的に書いてくれたことで、Cさんが相手を思いやる優しい気持ちが伝わってきました。

「Hちゃんのペースでいいよ」と声をかけた言葉は、Hちゃんにとってとても心強く、安心できるものだったと思います。
CさんがセイジのようにHちゃんのヒーローになれたことは間違いありません!

また、この作文を通して、「自分を好きになること」「全ての自分を愛すること」の大切さを伝えてくれたことにも感動しました。きっと、この本を読んだ人がCさんのように心を動かされ、自分や周りの人を大切に思えるようになると先生は思います。

これからもCさんの優しさや素直な気持ちを大切に、素敵な文章を書き続けてくださいね。

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『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

『ベスト・エッセイ2018』


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