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AI外観検査の現場導入で学んだ実践知識とベストプラクティス Vol. 2 ~画像収集編~

”テクノロジーで製造現場をパワーアップする”

アダコテックでプロジェクトマネージャーをしている松本かずき です。

今回は、AI学習モデルを作成する際に避けて通れない「画像収集」で発生する問題と解決案についてお話をします。

前回の記事でも少し触れましたが、AI学習の手法によって必要な画像の枚数やその内容は変わってきます。私たちアダコテックでは、良品学習を採用しており、初回モデルの作成時には150〜300枚程度の良品画像を収集しています。この数は一見少ないように感じるかもしれませんが、製造現場で生産される製品はほぼ良品であるため、実際にはこのくらいのボリュームの収集はそれほど大変ではないのです。
しかし、実際の収集段階では別の問題が待ち受けています。

とある画像収集の現場にて…

… 無事に現場に設置したカメラから、学習素材となる良品画像が収集できました!!

あれっ?

不良品が混じっとる?!

収集段階で待ち受ける別の課題、それは”良品画像を集める過程で、意図せず不良品が混じってしまう”ケースが多いこと。これが思った以上に厄介な問題なのです。
これから検査機を立ち上げる状況での画像収集は、集めた画像が玉石混合の状態になることが多いです。「多少NG画像が混じっていても大丈夫」と考える方もいるかもしれませんが、実際にはそれが大問題。
欠陥画像が混じった状態で学習を行うと、欠陥の流出につながるだけでなく、将来的には良否分離性能が頭打ちになったり、過学習の原因になったりする可能性があります。


ただ、実際に画像を一枚一枚目視していくのは、必要な作業ではあるものの精神的にかなりの負担です。私も過去に2万枚の画像を目視で確認したことがありますが、作業が進むにつれて集中力はどんどん低下します。
またチェックを進めていくにつれて「これくらいはやっぱり良しとするか。」、「前にもこんな見た目の画像があったけどOK品にしたんだっけ…?」というように、段々基準が変わっていく実感がありました。結果として複数回チェックを行うなどの打ち手が必要となり、本当にツライ作業でした…。

新しいツールの登場

そんな辛い経験から生まれたのが、アダコテックの新しいツール「Polaris(仮称)」です。このAI学習補助ツールは、フォルダ内の大量の画像を一括で読み込み、バラつきの度合いを可視化してくれます。これにより、作業効率が飛躍的に向上します。

ヒートマップでバラつきが大きい部分をクリックすると、フォルダ内の統計情報が表示されます。ヒストグラムを見ると、外れ値が一目瞭然!これまで手作業で確認していたプロセスを一気に簡略化してくれるのです。

さらに、ヒストグラムをクリックすれば該当する画像が画面の右側に表示され、ここから不要な画像を削除(移動)できます。これによって、手作業でのミスも減り、効率的に画像のクレンジングを行うことができます。

削除後には左上の「再計算」をクリックするだけで、削除した画像を除いた状態で統計情報が再計算されるんです。これにより、作業がどんどんスムーズになります。

上部のヒートマップの反応がなくなっている

この作業を繰り返すことで、効率よく画像のクレンジングが行えます。また、Polarisを使い始めてからは、画像チェックの品質が安定し、判定基準がブレる問題も解消されました。

作業が終わったら「結果出力」をするだけで、以下のような2つのフォルダが完成します。「安定した良品画像」を使用することで、良品モデルの性能を適切にコントロールできるようになります。過去の比較でも、安定した良品画像だけで学習したモデルの方が、良好な性能を示していることがわかりました。

実用性の高い新たな使い方

このツールは、現在の検査機のOK判定画像を使って「欠陥流出の確認」をしたり、NG画像を用いて「過検出の確認」を行ったりすることも考えています。


もし興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問合せください!私たちの取り組みやツールについて、もっとお話しできることを楽しみにしています。

今回の話はここまでです。
アダコテックのプロダクトにご興味をお持ちの方は、是非弊社HPより是非お問合せ下さい。

またアダコテックで一緒に働きたいと思って下さる方、下記採用ページを是非ご覧ください!


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