小物語り:”好き”が溢れた日
今日は、私の”好き”が溢れた日のお話です。
コピーライターとして名が知られる何でも屋の糸井重里さん主催の
「ほぼ日刊イトイ新聞」という会社が、神田にあります。
そこには、ブランドショップのような延長線が、併設されていて、
これは、憧れのほぼ日に初めていった日の、お話です。
今日はまったく、忙しい日だった。
1限から英語漬けの午前中。さらに二つもレポートを書き終えヘトヘトになった私は、なんとなく開いたスマホのスケジュール帳に、残された試練を発見してしまった。
「10月26日 ラボ フィールドワーク 神保町」
「まだあったかぁ、」
寝転がった床で頭をぐちゃぐちゃにしながら身を捩らせ、面倒臭さに悶絶する
神保町は、本当は大好きな町なんだけれど、、
一度緩んだ体には疲れがどっと襲ってきて、なんだか気分が晴れない。
これは、何か「とっておき」が必要なサインだ。
「行きたいリスト」のピンが、行きたいと思ううちに行ききれないほど立てられたGoogleマップで、神保町を眺めてみる。
するとお目当ては突然、空から降ってきた。
「ほぼ日、? 神田にあるの?いくっきゃないでしょ!」
神保町駅から歩いて5分ほどのところに、「ほぼ日刊イトイ新聞」の社屋と「TOBIICHI」というブランドショップがある。
私はその「ほぼ日刊」の糸井重里の日記を、毎日欠かさず読んでいる。
朝早くから起きている平日は、11時ごろにならないと記事が上がらないのに、休日には起きると既に更新されているような、なんとも気ままで、だけど忠実なのが彼らしいと感心する。
憧れの場所に行くと決まれば、お気に入りの赤のコーデュロイのワンピースを颯爽と靡かせ、ずんずんと歩いていける。
見慣れた神保町の街並み、だけど今日は、ずっと特別に感じる。
目的地を目前に、すごく素敵なカフェに足を止めそうになりながらも
「今日は我慢、あとちょっとなんだから!」
気になる気持ちを抑え、横目に通り過ぎる
そしてふと見上げれば、そこに「ほぼ日刊イトイ新聞」の文字が
会社の入り口をまじまじと見つめてしまうものだから、不信がられないかと心配になりながら、はやる気持ちは抑まる気がない。
小道を入った先には「TOBIICHI」が見える。
思いがけないガラス張りの外装だから、店前で感慨に耽ることはちょっと恥ずかしくて、できない。
感激のあまり、力んで縮こまってしまい、掠れそうな声で
「こんにちは、、」と戸を引いた。
目の前に広がるのは、ほぼ日のサイトでいちいちセンスの良さに脱帽していた小物たちのホンモノ。
四方八方にそれらがあるものだから、ついつい顔が「でへへ」っとデレてしまう。
突然、レポートをするような声が聞こえると思ったら
「おじゃましまぁすっ!」
勢いよくカメラを持った男性が入ってきた瞬間、勘づいた
「、、もしかして、ほぼ日の学校の撮影するの、、!?」
はいそこのあなた、ご名答!で、ある。
ほぼ日の社員が同じ空間にいるというだけで浮き足立ってしまうのに、リアルな仕事風景にまで出会ってしまった。
もう、ニヤニヤは最高潮である、もはや隠せない。
初上陸の記念にと、やっとの思いで購入したステッカーを眺めながら家路につく。
思えば、こんなにも「好き」が溢れ出てしまって、こんなにも幸せを感じたのは一体いつぶりだろう。
「個性」が歌われる世の中で、「自分らしさ」を育てながら、時々どこまでが本当に”自分の好き”なのかがわからなくなる時がある。
始まりを思えば、誰かの真似事だったり、好きなインフルエンサーの好みだったりするから、
「正真正銘、私の”好き”だ!」と胸を張って言えるものは、実は少ないのかもしれない。
だけど今日は、憧れの会社を前に細胞単位で私の好きが疼いていた
そのそわそわが、この上なく気持ちよかった
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