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キングダム考察 44巻 信の気持ちの深堀 黒羊戦ハグは信の羌瘣に対する立ち位置を決定づけた行動だった

【考察その21】

信が羌瘣を異性の恋愛対象として意識したのは
羌瘣が信に好きだと告白した天幕(62巻670話)から、
と以前の記事で考察しました。


これは紛れもなく、その時初めて意識したと言うものではなく、
信が羌瘣に対してずっと積み重ねてきた気持ちがあったからであり、
今回、具体的にそれがどのようなものだったのかを深く掘りました。


今までの考察と比べ、広い範囲から信の心の証跡を拾う必要があり、
めちゃくちゃ言語化が難しい考察でした。
いつもと同様、強引極まりない(そして長い苦笑)ので、
なにとぞご了承いただければと思います。



考察:当初からあった羌瘣に対する「特別感」


作者様が、羌瘣を最初からヒロインの位置付けで登場させていたと
意識して描かれていたのは事実ですが、
あくまでも作品上の表現から、今回は追っていきます。

そして本音は嬴政暗殺事件後(=初めて信が羌瘣を女性として意識した時)
から遡りたいのですが、今回の記事自体すごく長いのもあり
必要最低限にとどめます。(これでも!汗)


信は羌瘣に対して、結構当初から、
単なる仲間というよりも明らかに差別化して「特別感」を出していました。


例は、隊員たちが集う中、
尾平のバカ話がつまらない(爆)のは分かるはずなのに、
あえてその場を去ろうとする羌瘣の手を掴み、
「お前もここにいろよ」と引き留めるシーンです。(17巻17ページ)
なお羌瘣、この時トイレに行きたかったのを
結局どうしたのか気になります(笑)。


その特別感は、羌瘣が飛信隊に不可欠な剣士だからと言う以上に
「仇討ち」と言う自分と同じ境遇を抱えた同士であり、
加えて重い宿命を背負ってきている者への気遣い
信なりに与えたい表れでしょう。

そしてその気遣いの表現が、
信が初めて女性に身近に接する機会だったのもあり
尚のこと顕著になったのだと思います。

ここら辺、沢山の方がすでに考察していることもあり
本当はもちょっと丁寧に表現したいのですが、
今回はこの辺で勘弁してください(苦笑)。


この特別感は信がフェミニストだったと言うのは違うでしょう笑。
羌瘣をすでに好きだった深層意識の現れなのかもしれませんが、
信自体にその自覚はまだないでしょう。

楚水が飛信隊に加わり千人の戦術を練っている際、
羌瘣の凄さを楚水に語る信が「でも剣抜いた時の方がもっとすげぇぞ」と
わざとらしく羌瘣の肩に腕をかけたり(19巻124ページ)

山陽戦で羌瘣に深手を手当てしてもらった後その場で寝転がる羌瘣に対して
「本当は俺と一緒にいたいと」と言う笑えない冗談言ったり、と。
(21巻110ページ)

どちらかと言うと信は羌瘣にセクハラまがいのことをしてきており(笑)
自分が羌瘣に好かれようとかはあまり考えてなさそうだからです。


この当時の信は、
女性である羌瘣に自分のことを異性として意識してもらいたい
と言う気持ちが一番近いのではないでしょうか。


山陽戦で千人将の乱銅を斬りつけ
一晩投獄されていた牢に通りかかった羌瘣の、
「(牢屋から)出すか?」には信は「いや、いい」と強がり、
「今晩は寝ずに反省することに決めた」(18巻167ページ)と言ったのは
全く本心じゃないわけではなかったとは思いたいですが笑、主たる動機は、
羌瘣に格好いいことを言いたかったからに過ぎなかったはずです。


実際、羌瘣は信が自分達のために反省すると言う
隊長としての意志を尊重し、
「そうか、じゃあ」とあっさり去ろうとしますが、
正統派(?)の落とし文句(ではないですが笑)が
刺さらなかった羌瘣に対して
「わー待て待て」「ちょっと話し相手になれ」「食い物持って来てくれ」
と慌てて本音を明かして信は羌瘣を引き留めました。

格好つけが空回りしているのが可愛いですよね、信(笑)。

結局ちょっとどころじゃなく、
寝落ちするまで羌瘣を付き合わせており(168ページ)、
寝ずに反省する気はからきしなかったことがここで証明されました(笑)。


で、その気持ちが一旦落ち着くのは、
羌瘣復帰後の例のシーンだと思います。

「お前の子を産む」(34巻74ページ)

この時は結局羌瘣は、子作りがなんたるかを理解しておらず、
純粋に真っ平らでフラットな爆弾投下であり笑、
もちろん決して信とイチャコラしたい意味笑での
発言ではなかったはずです。

ただこれが、羌瘣が信を異性(男性)として扱った最初のシーン
だったのは確かです。

で、河了貂が咄嗟に慌てて真実を掘り起こそうとする直前、
すぐさま信は「別に構わんよ、俺は」と冗談で流しました。

この発言が羌瘣のどういう意図かの真実追求よりも、
「羌瘣が自分のことを異性対象に見てくれた」ところだけフォーカスし、
即座に長年羌瘣に抱いていた「自分の欲」が充足されたのでしょう。

ただにやけ具合から見るに、
あわよくばとは90%くらいは思っていたかもですけどね(笑)。


この時の信に近い、この気持ち、
・・・自分が好きなわけではない異性だけど、
相手からは好きになってもらいたい、的な気持ち
、ですよ。

こんなこと素でバレると嫌われ者になるから
皆口に出して言ってないだけで、
・・・これ、腹落ちする人、結構いますよね?、ね?。
(しつこい苦笑)

ちょっとシチュエーションは違いますが

「(心の声)あの人(異性)、自分のこと好きかも・・・」
  ↓
告られる
  ↓
「(心の声)やっぱりな、・・・で?」

ってことですよ。
この場合も「告られる」ことがゴールなので、
その達成でもうそれ以上求めることはないんです。


一旦、自分で勝手にですが、この時欲を満たすことで、
信の中で「この件は終了」扱いと表向きなったのでしょう。


原作はその後、しばらく羌瘣は信を避けたものの、
半年くらい時間がいきなりすっ飛んで、
2人の剣の手合わせシーンが描かれます。

ここを含め、2人の手合わせが徐々に変化している様子が表れており、
2人の剣士としての繋がりを以下の考察で書いてみましたので
よろしければこちらも読んでみてください。

今回は、羌瘣が「私も大将軍を目指す」(72ページ)
と宣言した後となる手合わせなのですが、
信と漂のそれと重なるところがあり、
信には羌瘣がセクハラ対象(笑)から、
漂に代わる戦友の位置付けになっていった現れであると思われます。

ひいてはここから、彼らがお互い「剣士」および「将」として
全幅の信頼を寄せる関係が深まったのではないでしょうか。


考察:黒羊戦におけるトラウマに積み重なった心配感から派生した決意


黒羊戦では、
信が羌瘣に対する心配を徐々に重ねていく顕著な表現
印象的でした。


黒羊丘への到着時、
羌瘣は「迂回した方がいい、中は色々面倒だ」(41巻117ページ)
と助言しており、
開戦時はそんな面倒さを誰よりも自覚している羌瘣自身に
リスクを被せるような斥候を依頼している状態になっていました。

見送る信は「気をつけていけよ」(130ページ)と送り出した時、
気持ち照れているようにも、見えなくもなかったです。

リスクのある場の調査だから結局、羌瘣に頼ってしまった。
信自身の自覚としてははまだないかもですが、
無茶して欲しくない緊張感がここからあったのかもしれません。


黒羊丘の戦いの初日、羌瘣が趙将の劉冬を急襲した夜、
飛信隊に斥候から羌瘣が戻ってきませんでした。

羌瘣のことを楚水が「敵に捕まってないとよいのだが」と憂いるも、

あいつに限ってそんなヘマはないだろ」(42巻46ページ)

と信は将として完全な信頼を寄せている一方で、
その後河了貂と「無茶しそうで心配」(57ページ)と心境を共有し、
オフィシャルに信が羌瘣の心配をしていることが現されました。


2日目になっても、羌瘣は戻りませんでした。
(羌瘣に同行した他のメンバーは戻ったんですかね?、
 なんでこれ描かれなかったんでしょう?)

前日の楚水の、敵に捕まっているかもしれないとの懸念に
自分が「あいつに限ってない」と言い切っていたはずの、
敵に捕まっている可能性についてを、
自ら「とっ捕まえた敵兵に聞いて」
(205ページ)、探っていました。

羌瘣への心配が日に日に大きくなっていっている現れなのでしょう。

捕まる「可能性がない」ことは、信じている。
でも、自分が可能な探れる要素は、そこしかない。
その僅かなる可能性の行動をせずにはいられないくらい、
心配でたまらない。
そう言うことなんだと思います。


3日目、一転攻勢となった飛信隊のなかで信が
「勝報が来てねぇのは羌瘣の隊くらいか」(43巻15ページ)と
ひっそり憂いてました。
勝報がないのは羌瘣隊は隊長が生死不明の状態の不在が
相変わらず続いている(勝報どころじゃない)意味を示し、
間接的にですが信はついには戦闘中であるうちから
羌瘣の安否を気にかける
ようになってきています。

前日、「明日(前線を)さらに押し込んだら(羌瘣の)捜索隊を出す」
(42巻205ページ)と言っていた河了貂でしたが
想定以上の攻勢から方針を転換し、自分らの攻勢を桓騎軍全体に広げようと
中央の丘に隊を向けることになりました。
しかし桓騎がそのお膳立てを見事にスカし、
絶好の好機を不意にした騒動もあり
きっと3日目に捜索隊は出せなかったんでしょうね。


453話の扉(42巻83ページ)の初日の夜、
羌瘣を待ちながら表でうたた寝する信の背中に続き、
3日目も外で月を見ながら寝転んでいる姿(43巻83ページ)
が描かれてました。

黒羊戦、少なくともこの2日、ひょっとすると3日とも、
信はまともに眠れていなかったことでしょう。


4日目、慶舎を目の前にし、
彼を討てる可能性は今しかないと言う絶好の好機、
信たちを進行させる指揮する河了貂が狙われる最大のピンチ時に、
颯爽と格好よく、ついに羌瘣が隊に合流しました。

ここで、真っ先に慶舎を追わなくてはいけない信が、
自ら戦いの足を止めて「おい」と羌瘣を呼び止めた(199ページ)のは、
かなり衝撃的にびっくりな描写でした!。

これはキングダム史上、ものすごく貴重なシーンですよ。
「敵の大将の首」よりも「羌瘣の無事」の方が大きかった
その象徴なんです。


「今度は、後ですぐに会うぞ」(200ページ)

はもちろん、斥候に出てからなかなか戻ってこなかったことに対しての
「今度」なんでしょう。


ただ、羌瘣がこの直前「ここは引き受ける」(198ページ)
と言ったその場は、モブ兵が「しかし、その数じゃ、あの敵は」
と言う言葉に象徴される通り、数の劣勢が明確な足留めの状況でした。
で、羌瘣自身、動けなかったくらいの怪我を負っていました。

奇しくも信には山陽戦で予備隊を羌瘣に任せた時と同じ状況でした。


信は羌瘣の本気の剣を初めて見たのは、初陣の蛇甘平原の戦い直後、
政暗殺事件で刺客として号馬を相手にした羌瘣の巫舞
(9巻92ページ〜)でした。
その時の剣が「まともな剣じゃねえ」(100ページ)と
常軌を逸している無敵の強さを見せつけたと思いきや、
残敵のある状態で、突然コンセントを抜いた家電のように
動けなくなってしまう(108ページ)のを同時に見ており、
それが鮮明な記憶として脳に貼り付いていたと思われます。
(コンセントを抜いた家電自体は、信は知らないはずですが笑。)


山陽戦では信自ら任務を羌瘣に与えた後
「また後でな」(21巻155ページ)と言って別れ、
その後ボロボロとなった羌瘣に対峙することとなりました。
言ってみれば自分の任務のせいで、羌瘣はボロボロになりました。

羌瘣がボロボロになるまで死力を尽くして戦うと言うことは、
いつその「突然動けなくなる」状態になっても
おかしくないと言うことです。

開戦当初から漠然と抱いていた無茶への不安は、まさにこれが原因であり、
信は、二度とそのような事態は望んでないのが深層心理にあるはずです。


そしてその山陽戦と言えば、
なんと言ってもそんなボロボロの羌瘣を信がハグするシーン
(22巻84・85ページ)です。

羌瘣を抱えてみて、無敵の戦闘力を生み出していたのは実は
両腕に抱えて余るほど小さくて儚く、華奢な体(だよね?笑)だった
ということを、信はこの時思い知ったのでしょう。


信はきっとこのように思っていたと思います。

山陽戦のような凄まじい無茶を羌瘣にさせるような、
負い目を負わすことを自分は二度としてはならない。
むしろ一度負わせてしまったことの代償として
自分が身を挺してでも守るべきである。

・・・、と。

山陽戦で信のそのような行動原理が築かれ、
それを初めて実践したのがこの黒羊戦だったのではと思います。


信は「ここは任せた」と言いつつも「おい」と足を止めてしまうほど、
羌瘣のことが気が気でなかったはずです。

「後ですぐに会うぞ」とは、ただ単に再会するだけの約束ではなく、
信の「大将首を取った後すぐに自分がここ(羌瘣のところ)に戻る」
と言うことの宣言だったのではないでしょうか。


だから信は、迷いなく羌瘣のもとに走り、迷いなく腕を羌瘣に差し伸べ、
ドラマティックな救出シーン(54〜55ページ)に繋がりました。

救出シーンに関する深堀を、別記事にしてみましたので
余力があれば読んでみてください。


黒羊戦くらいの時期に、作者様が10周年インタビューで
「貂と羌瘣のどちらを信と結婚させるかが固まってきた」
と言われたんですよね、確か。

黒羊戦の開戦早々、信が河了貂の腕を引っ張り落馬させることで
敵の急襲から守った描写
(41巻140ページ)がありました。
その後、河了貂が「信、大丈夫!?」の呼びかけの返しで
信も「ああ、お前は!」と返していて(142ページ)、
信から河了貂の無事を積極的に確認していない描写でした。
ま、状況的に大将の無事を確認するのが
部下として当然なシーンなんですけどね。

作者様は、同じ戦いの中であえてこの描写を行い、
羌瘣への「おい」の呼び止めや救出ハグと対比させることで、
この段階で信における羌瘣と河了貂の立ち位置の差別化
を図ったのではないでしょうか。

以前のこの↑考察の中(課題2の2)でも、
信は河了貂に対し、自分が主体的になって守ることはないスタンスであり、
そしてそれが原作の現進行度合いにおいても同様であると書きました。
それが飛信隊の弱点になっている、という考察なので
好ましくはないんですけどね(汗)。


考察:当初の「特別感」は結局燻り続けていた


先に一旦締めた、本来信が持っていた
「異性としての羌瘣の位置付け」について。

これは「一旦終了」させたものの、
信の中にずっと燻っていたんでしょうと言う考察です。
ま、そりゃそーだな(笑)。


その表れは、朱海平原三日目、天幕手繋ぎの直前、
信が天幕に訪れたシーンです。

張ってくる元気はあるのに(爆)声もかけずに天幕前で倒れ込んでたり、
「ちょっと肩貸してくれ」(51巻50ページ)と
具体的に同情を買おうとしたり、
羌瘣の気をひこうとする、あわよくばセクハラ的な笑行動や言動が、
まるで先述した山陽戦での投獄時と重なりました。

投獄時は「男気を見せる」作戦でしたが、
今回は「母性に訴える」作戦なのがいかにも仕込み風(爆)。
「動きが気持ち悪い」と羌瘣が心で突っ込んでいることから
相当芝居がかっていた様子です(笑)。
どこで覚えたんだと、若干引っ掛かってます(爆)。

上記の3番目の項で以前書いた、
天幕シーンで羌瘣が信の心を読んだと言う深堀考察で、
信にはこの日天幕にやってきた深層心理が別にある
と書いていたのですが、この心理はまさにこのことです。


信は多分、羌瘣とのなんらかの既成事実を作りたいと望んでいた
のではないでしょうか。


上記考察でも比較として河了貂とのキスの例(27巻98ページ)
を挙げました。

河了貂とはそんなことをする対象じゃないと意識に留めてなかったので
自分らに起こったことを特に信の脳は即座に処理出来ず、

一方で羌瘣に対しては「そのような燻った感情」があったからこそ、
手繋ぎと言うキスよりも全然大したことない(爆)ことに即座に
「えっ」と反応したと言う説明が成り立つと思います。

信は羌瘣から手繋ぎがまじないだと説明を受けた後、また「えっ」と
声を漏らしてから「・・・」と何か思ったかのように描かれてました。
ここでもしかすると信は「色恋的な意味じゃなくて残念」とか
「勘違いして恥ずかしい」みたいなことを思ったのかもしれません(笑)。


話を戻します。

そんな信の感情の起源は
それこそ初めて信が羌瘣を異性と意識して過ごした「夜語り」の夜
(第104話:11巻)からではあるのでしょうが
(気になる方は完全版5巻を参照してください笑)

確証として今回は
38巻・39巻掲載「天幕(テント)」および「天幕(テント)つづき」
を掘ってみました。


この漫画、当初は作者様のファンサービスかな、と思っていました。
原作がこの当時は第一部クライマックスのシリアスな展開の中で、
話の流れ的に羌瘣が出てないのもありましたし、
息抜き的なお色気ギャグを入れてくれたのかな、と思いました。

で、39巻の「つづき」を見た時、大爆笑ではあったんですけど、
羌瘣ファンの自分には少しがっかりだったんですよ。

チューが見れなかったと言うこともそうですが(爆)、
単にこの話、羌象がエロい?話して、
羌瘣が妙ちくりんな行動しただけ
ですやん。
我らの聖なる羌瘣さま(爆)に何しでかしてくれとんや、的に
大袈裟でなくちょっと作者様を恨んでしまったものでした。


で、少し前、25巻のおまけ漫画「羌瘣一人旅」のギャグ部分に
後の伏線となる描写がされていたという考察の記事↑を書いたのですが、

今回取り上げたおまけ漫画も、今となって読み返してみて、
実は同様に、もしかしてこれは信サイドとして見たときの伏線なのかな、
と思えてきたんです。


信、これ、わざと羌瘣に覆いかぶさって寝たんじゃないですかね?。


その確証はまず、38巻の前半208ページ。
羌瘣の隊到着から3時間後、信の隊が到着し、
モブ兵に一番上の天幕を促され、
水と食料を後で運ぶと言われたことに対して信は
「いい、明日で・・・」と返事をしましたが、
そのタイミングが信の上半身が実際に天幕に入った後だったことです。

天幕の中に羌瘣が先に休んでいるのを信は認識したので、
天幕にモブ兵が入ってきたらまずい(笑)と防御線を張ったのでしょう。


続いて、39巻の後半。
羌瘣に覆いかぶさっている信(215ページ)は左手が「かばい手」であり、
これは信が自分の下に別の誰かが寝転がっている認識を持っている現れ
であるはずです。


そして決定打はこの時の信、帯剣したままで眠っていたことでした。
本気で眠るつもりだったならば、38巻207ページの羌瘣のように、
剣を外して寝転がるはずです。

甲冑着たまま寝てしまうのはまぁ現実的ではないですが、
ドロドロに疲れている状態ならば百歩譲ってあり得るかもしれません。
ですが一応剣士である信が帯剣したまま本気で眠るとは考えられません。
これ下手すると寝返り時に頭スパッといきますぜ。

合従軍編の6日目、意識を途中で失っていた信が寝転がった時も、
甲冑のまま寝ようとはしていましたが、帯剣はしていませんでした。
(32巻113ページ)
(と言うかこの時は剣を鞘に収めてないだけでしたが。)


これは信が、天幕に入った瞬間に眠っている羌瘣を目にして、
眠る目的ではなく覆いかぶさることを目的として倒れ込んだ現れ
なのではないでしょうか。

しかしあまりにもドロドロに疲れていたため、
倒れ込んだ瞬間に寝落ちしてしまったのでしょう。
よかったね信、羌瘣がすぐに気がついて。。。


で、信が羌瘣到着の「3時間後」の到着と言うところもミソで、
人間がレム睡眠とノンレム睡眠の、睡眠の浅い・深いのサイクルが
90分周期と言われる中、3時間はちょうどその2サイクル目であり、
羌瘣の眠りが丁度浅くなったタイミングに
作者様が作為的に設定したかのように感じました。

38巻208ページ、信が寝落ちして
どのくらい時間が経ったのか描かれてませんが、
39巻216ページで渕さんと楚水がこの天幕に信がいることを
知っているテイで入ってきたと言うことは、
まだ信がここの天幕で寝ていることを知っているモブ兵が起きており、
彼からこのことを直接聞いてやってきたと思われます。

おそらくこれは
信が天幕に入ってからそれほど時間が経っておらず、せいぜい数分程度で、
羌瘣は信に覆い被されて、その重みで目覚めたと思われます。

なので信はもしかするとまだ完全に寝入っておらず、
寝ているふりだった可能性もあると思っています。


これ、仮に羌瘣が目覚めずに、信が羌瘣に覆いかぶさっているままの状態で
渕さんと楚水に目撃されていたら、どう言う状況になったんでしょうね(笑)。


このおまけ漫画も、個人的に原作でどえらいシーン(笑)の
伏線として描かれることを過度に妄想しております。

天幕で、覆いかぶさって・・・とくると
どんな妄想か察しがつくとは思いますが笑、
そんなわけでこれは描かれるかは微妙ですが(爆)
一応楽しみにしておくことにします。


考察まとめ


以上、

羌瘣がボロボロにならないよう自分が守る決意が
信の中で動かない信念になっていた
こと、

そして羌瘣と進展してもいい気持ちは燻り続けていたこと、

この2点が信の心の土台にあったからこそ、
62巻の羌瘣の告白のタイミングで、
信もすぐ羌瘣への恋愛フラグ切り替えが行われたと言う考察でした。


今回、初めてすごくしっかり信を掘り下げ、
62巻に関わる伏線がなんとかまとめられましたが
書いてみて新たに発見したことのなんと多かったことよ。
我ながら全然信のこと分かってなかったなーと一応反省しました。

先に羌瘣側考察記事を書いた都合上、
必要に応じてその中でも信サイド考察も書いていたため、
今回の記事を受けていくつかの考察を書き直しました。
記事間の時系列がてんやわんやですが(苦笑)、
内容の矛盾はないようにはしてるはずです。


この記事書きながら、この黒羊戦ハグ公開当初に、
この描写があったのになんで信と羌瘣はくっつかないのか、
もう結婚でいいのでは(笑)と、
とある界隈で言われていたことを思い出しました。

で、改めて自分の書いた考察を読みましたが、
信サイド的には羌瘣への立ち位置はこの時点でもう
あらかた形作られてしまっていたと言うことなんですよね。
そりゃ読者もヤキモキしますわ(苦笑)。(自分も笑)


作者様は黒羊ハグを「伏線」と表現し、
禁術で羌瘣が信のために命を捧げたことを
「ある程度2人の行く先が見えた」と表現していたことも、
そう言うことだったんでしょうね。

2人が結ばれるかは結局、羌瘣がトリガーを握っていることが、
現在羌瘣が信のプロポーズを保留している点からも
象徴されていると言うことなんでしょう。
(原作は最新話が782話、コミックスは70巻が最新巻です)


考察中も何度も書きましたが、
この先本当にどのように原作で描かれるのかが楽しみすぎです。
いつものように大いなる期待の中、閉じたいと思います。
長い話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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