見出し画像

キングダム考察 黒羊戦以前 信と羌瘣の飛信隊の中での立ち位置について

【考察その26】

この記事は、この後に公開した↑
黒羊戦の最後:信と羌瘣がそれぞれ起こした尾平との確執シーン
深堀考察の前提となる、
それまでの二人それぞれの「飛信隊」の捉え方、
およびお互いに対する立ち位置を定義する位置付けです。


本当は確執シーンと一つの記事のつもりで書いていたのですが、
草案の段階で1万字超えてしまった(確実に倍近くになる汗)ため、
確執シーン以外の考察について独立させた流れでした。


そう言うわけで、一連の記事の中では比較的ライト
(短いわけではない苦笑)な記事ではありますが、
関連するおまけをくっつけてそこそこのボリュームはあります。
のんびりとお付き合いいただければと思います。



考察:元々が曖昧な『飛信隊』の定義


飛信隊が羌瘣隊との合同部隊となった正確な時期は分かりませんが、
原作では屯留の成蟜救出戦で壁の軍との合流のおり、
信が四千人将、羌瘣が千人将となって
「今、飛信隊は五千人隊」(35巻32ページ)
と河了貂が説明した時に明らかになりました。


信直属の配下隊までを飛信隊とするか、羌瘣の隊も含めて飛信隊とするか、
時と場合によって使い分けているのは明らかでした。

対外的には2隊合わせて戦場に向かうので、
合同部隊を飛信隊としてますが、懐事情が関わるところで、
信直属かそうでないかを明確に分ける描写がこれまでもありました。


一例は、著雍防衛の築城時
隆国が「羌瘣隊は飛信隊に入れるのはおかしい」(38巻69ページ)
と言ったのは、おそらく築城に関する予算について話した際であり、
その結果信直属の飛信隊5千人分しか費用を配分されなかったのでしょう。

羌瘣隊が防衛前線に張り付いていた(70ページ)のは、
費用的に築城に関われなかった?からだと思います。
(この事情では隆国が細かくても仕方ないとは思う大人のワイ。)


この確証はこの70ページで、この作品ではすごく珍しく、
「俺(信)とかテンの自腹」を出してまで作業を進めざるを得ないと言う、
信自らが懐事情を気にする描写がされたからです。
きっとこの時は、飛信隊的にはかなりカツカツだったのでしょう(苦笑)。

珍しくて貴重な意味では、同じシーンで羌瘣から信に
「新年の、ごあいさつ」(68ページ)と盃を上げに来たのもそうでした。
今となってみれば、これが精神的?にも経済的(笑)にもカツカツな信を、
築城に関われない羌瘣が労いに行ったようにも見えてきました(笑)。


もう一例は黒羊戦が終わり、蒙恬たち楽華隊への引き継ぎに入る前。
河了貂が「飛信隊の進化」を図る計画を述べている最中、
守備力強化や弓隊導入と同列に
「羌瘣隊との連携」(45巻73ページ)を羌瘣の前で敢えて言ってました。

それは信直属の飛信隊の予算では、河了貂が練兵できる範囲
(人員配備、武器や甲冑・馬・食事などの手配など)は限度があり、
河了貂が「強化」できるのは厳密に言えば信直属隊だけだからでしょう。
でも戦う時は「信直属隊」「羌瘣隊」一緒なんだから、
羌瘣隊も足並み揃えて練兵やっていこうね、
と示したかった現れだと思われます。


ただし、懐事情が関わるかそうでないかの使い分け「だけ」だなんて
正論を言ってしまうと、もうこの考察は終了です(爆)。
なのでここ以降は、あくまで信と羌瘣の気持ち側に
フォーカスして見ていきます。


考察:羌瘣の尾平・信それぞれとの対外的な立ち位置


黒羊戦の連載中、タイムリーに描かれた42巻と43巻のおまけ漫画
「進軍 飛信隊!」に含まれている伏線について触れてみます。

これらの漫画は「形式的」「対外的」な立ち位置が
わかりやすい伏線として現してくれていると思います。


まず前半:42巻のおまけ漫画、
羌瘣のディナーセンサー(笑)の話でした。

これは、自分用に進軍中調達できた食料があっても
上のものに見つかったらそれを献上しなくてはならない、
と言うことで、羌瘣は抜け目なくそれを見つけてぶんどり、
自分一人で満足したディナーを楽しんでいる(笑)と言う、
羌瘣のゲスさ満載(爆)のお話なのですが、
この話、・・・私めちゃくちゃ大好物でしてね。

この巻の本編では、行方不明だった羌瘣が生きていることは
なんとか分ったものの、瀕死で羌瘣劣勢見え見えで終わっており、
単行本派&羌瘣ファンの自分にとって
この先「見るのが怖い」展開だったんです。

だからこのおまけ漫画のコミカルな羌瘣の様子から、
「ああ、作者様は絶対羌瘣を●ろすつもりはないな」(笑)
と安心?することが出来たんです。

で。ここでは羌瘣がまず尾平から食べ物をぶんどるのですが、
この描写は、
「縦社会が備わっている羌瘣が、
 上のものとして下の立場の尾平からぶんどる」体制

明確化されていると言うことでしょう。


そして後半:43巻のおまけ漫画、続き、です。

今度は温泉の話なのですが、「信と羌瘣の合同部隊」
「発見した献上物については属している隊の隊長が手に入れる」
と言う説明のもと、

今回は信の隊が当てたとの描写の際の信の喜びよう
(215ページ)を見るに、

これは以前、逆の場合が発生したことがあり、
その際は羌瘣に献上されていた、と言うことで、
つまり、羌瘣が手に入れても信に献上する必要はない
(上のものへの献上の範疇ではない)と言う意味なのでしょう。

この話により、信と羌瘣の上下関係はないことが明確化されました。


以上から、おまけ漫画で描かれた伏線とは
羌瘣は尾平から見て上の立ち位置、
および羌瘣と信には上下関係無し、
と言うことでした。

書いてみると、「何を今更」と思うような内容ではあるのですが、
おそらく偶然・・・だと思いたいのですが、
今後これらの関係性が、44巻で描かれる「黒羊戦」内のストーリーでは
前提であるようにと読者に意識させるために
このおまけ漫画があるような位置付けになっているのです。

こんなに楽しいおまけ漫画だったのに。。。
作者様の仕込みだったらと思うと、なんだか怖くなってしまった私です。


■おまけ考察:信のゲスキャラ発動


で、本項の考察としてはここまでなのですが、
ついでですし、気になってたことを続けて書いちゃいます笑。


43巻の温泉のお話、上でもちょっと触れましたが、
信のここでの喜びよう、とにかく異常ですよね(笑)。

きっとこの制度の中で、もしかすると信の方が勝つ(?)パターンは
本来ならば5対3の人数の優位で、信の方が発生確率的には
上のはずなのですが、信の体感的には少なかったのかもしれません。
羌瘣に勝てる(?)ことがよっぽど嬉しかったのでしょう。


そしてその後、
「上下すっぽんぽんなら一緒に一番風呂に入れてやる」という
信のゲスさも結構な驚きでした。

河了貂が小さく「なぜか信のゲスキャラが発動しとる・・・」と
呟いていることから、貂の目からもゲスな信が珍しかったのでしょう。

前巻で羌瘣のゲスさを露呈したから、バランスを取ったのでしょうか?笑

信はセクハラ気質(笑)は持ち合わせているものの、
尾平の下品な下ネタに冷や汗流したり(17巻16ページ)、
キャラ的に下ネタが好きな方ではない(知識的にないのもあろう笑)
と思ってました。


こう言う勝負は羌瘣の方が多く勝ってきており、
その時に同じように羌瘣に煽られた仕返しでしょうか?。
ただ、羌瘣は煽るようなキャラじゃないし、
単に天然の態度が煽りに感じた?、とかですか?

それとも、羌瘣の以前の一番風呂堪能中、
よからぬ信側のモブ兵がよからぬこと、まぁ、覗き(笑)を企て、
未遂に終わる(実行したらさすがに命を落としそう笑)も
それが羌瘣にバレ、羌瘣は「”対処”すればいいだけのこと」
(9巻142ページ)と以前言っていた、
その”対処”を実行してしまったのかもしれません。

もしかするとそれは信からすると「そこまでやるか」と思うようなこと
(爆)だったため(さすがに●ろしてはないと思いますが汗)
その仕返しとばかりに、この時煽ったのでしょうか。

・・・それはないかな。
なんかこのエピソード自体、風呂をめぐっての攻防?は
お初のような感じだったしな笑。


それにしても。軍隊の中でのセクハラは、
時代もあったでしょうし、かなり激しかったと想像するのですが、
羌瘣のこう言う流し能力が高いところも、
男だけの軍隊でうまく(?)やっていく
能力の一つなんだろうなぁと感心したものでした。
こう言う点も羌瘣の魅力の一つでもありますよね。


■おまけ考察:羌瘣と河了貂


あとここのエピソードで、
密かに羌瘣と河了貂の女子二人がなかなか仲良さげだったことも、
当時、何気にホッとしたポイントの一つだった記憶です。
本編ではこの2名の、戦争以外での絡みが全く描かれてないですからね、
羌瘣復帰後以降では。


今回、河了貂が羌瘣に力を貸したのは、
自分も温泉に入りたかったのが一番の理由かもしれませんが笑、
以前似たような状況で、羌瘣に借りがあったからなのかもしれません。

今回のように、女子として共有できる何かに関しては
二人は互いに分け合っていることが、このエピソードの現れなのでしょう。


著雍戦で秦軍勝利が確定した後、羌瘣が貂の肩に手を乗せるシーン
(37巻153ページ)がありました。

河了貂は、この勝利について
(捕虜として捕まった自分が無事に戻って来れたことも含め)
羌瘣にはすごく感謝をしている立場であったはずで、
貂が肩に手を乗せ労ってくれた羌瘣を労い返そうとしたところ、
他の隊員に見つかって声をかけられ始めた羌瘣が照れて(?)
貂に労われることなくその場を去ると言うシーンでした。

このシーンについて私、今まで見なかったふりをしてました。

なぜならこの時の、肩に手を乗せた時の羌瘣のこの表情、
「お前は所詮”妹”だしな、信の”妹”ならば私も”妹”として大事にするよ」
的な、女子としてのマウントを取っているかのように見えたんです、
リアルタイムに読んでいた当初・・・。(苦笑)

羌瘣ファンとしては、
こんな汚い(爆)ドロっとした女子だと思いたくなかったのです。

羌瘣が河了貂に労われる前にその場を去るのも、
「マウント取った貂に労われる罪悪感」が羌瘣にあった現れにも
見えましたし・・・、ね。


で、ですね。
時間を経て今となってここを読み返してみた時、
当時は嫌で仕方なかったこの羌瘣の表情、ずっと先に話は飛び、

口を一文字に結んで対象をまっすぐ見つめる表情、
城戸村での尾平婚礼のおり、信が村の子供に囲まれているところを
眺めている羌瘣の表情
(70巻193ページ)に似ている
私は思ったのです。

この時の表情、以前に私は
「村での称賛を得られる信のことを羨ましく思っている」表情だと
考察したことがありました。


著雍戦のこのシーンで、
「信の”妹”ならば自分も”妹”として大事にする」と
羌瘣が思ったのは、おそらくその通りだと思います。

ですがここは羌瘣が貂に対して
「信に身内と思ってもらえて羨ましい」と思う気持ち
土台の方がこの場合はしっくりきそうだなと、今では思います。


実際、信が羌瘣に対して

「俺らだってお前(羌瘣)の身内だ」(61巻185ページ)

と言ったことが、羌礼襲撃エピソードで描かれました。

羌瘣はこの言葉を信から聞けたことで
自分の心の奥にあった欲が一旦満たされたのかもしれません。

羌瘣が羌礼に「隊長のことが好きだからに決まっておろーが」
(62巻37ページ)と勝手に打ち明けられてしまった時に発した
咄嗟の「違う!」の否定の言葉は、
当初「照れるにしてもそんなに力一杯否定しなくてもいいのに」
と思ったものですが笑、

これは「自分を身内と思ってくれている」信の意識が
変わってしまうことを恐れていたのかな、とも思えます。



考察:当初以降の信と羌瘣それぞれお互いの立ち位置に対する意識


この項以降が今回の記事の核心部分です。


まずは、信から見た羌瘣の立ち位置について。


山陽戦までは羌瘣は信の片腕的存在であり、
信は「自分についてくれている副長」として
完全な上下従属の位置付けに置いていたと思います。

楚水が飛信隊に加わった直後、
羌瘣のことを信は「うちの軍師」(19巻124ページ)と
「自分の従属下」と暗に表現していました。


羌瘣の仇討ち復帰後、
信たちの活躍が霞むくらい羌瘣が武功を上げまくっていたことに
信がどことなく面白くなさそうな?面持ちで
「そんなに張り切らなくていーんじゃねーか」(34巻72ページ)
とこぼしたのは、羌瘣には以前と同じように、
自分の武功のために手足となってほしいと思っていた現れでしょう。


その後の2人の手合わせで

羌瘣「私が3人分の大将軍になる」
信「お前は将軍までにしとけ」(34巻79ページ)

と、羌瘣が大将軍になることを嫌がる悪態をついたり、

著雍戦2日目の夜、

羌瘣「天下の大将軍までの本格的な第一歩」「私の第一歩」
信「俺の(大将軍までの第一歩)だ!」
(36巻188ページ)

と「大将軍」の地位をまるで自分の専用席が如く
独占したがっていることも然りでしょう。
(なんだか信がおちょくられているだけのような会話にも見えるけど笑)


そして黒羊、開始前の作戦会議で桓騎に
「うちの参謀2人(河了貂&羌瘣)だ」(41巻121ページ)と、
この時まではまだ羌瘣を参謀(部下)扱いしていました。

もっともここの場面は、
桓騎たちに「女連れ」「さかってる」と揶揄われている返しなので
面倒だからわかりやすく答えた説が一番あり得ますが(笑)。


慶舎を討つ直前、信と羌瘣が再会して離れる際
「ここの足留めは任せた副長!」(43巻200ページ)と
羌瘣を「副長」呼びしますが、
信自身が羌瘣を「副長」扱いする原作の描写は、
実はここが最後
であるはずです。
羌瘣自身が自身を「副長」と言い続けているので気が付きにくいのですが。

信の羌瘣に対する立ち位置がもし変わっているならば、
この場面以降になるでしょう。


一方、羌瘣から見た信の立ち位置については
実はすでに一つ前の考察で大方書いてしまってます。


羌瘣にとって信は、自分の居場所(飛信隊)を作ってくれている人で、
仇討ちから戻ってきたところで本格的に
「自分が根付いていく」土台を作るにあたり、
自分の目標と夢(大将軍)を共有する「仲間」なのでしょう。

その確証は、朱海平原で行った禁術の中で羌象と会話した際、
自分の命を捧げる覚悟さえした信について、この後に及んでまだ
「戦う仲間だから」(58巻154ページ)と言っていたことでした。

誤解を恐れない言い方をすると、根本にあるのが、
羌族の里で蚩尤をともに目指していた羌象の「代わり」であり、
現在の居場所で大将軍を共に目指しているのが、
信である位置付けなんだと思います。


考察:著雍戦仲間割れで顕在化した二人のお互いに対する深層意識


二人の「仲間割れ」シーン(36巻385話)は、著雍戦初日、
河了貂が魏軍に人質として拐われたことに唯一気がつき、
助けようと追うも、自分も罠に誘い込まれ捕まりかける中、
結果的に河了貂を連れ戻せなかった
(けど敵の指揮官は代わりに拐ってきた)羌瘣が、
その日の夜信に理不尽に責められるシーンでした。


信が羌瘣に掴みかかる画(36巻59ページ)は最初に見た時、
読者目線にも本当にびっくりでした!。

信はそんなに河了貂を好きだったのか、
と言う意味でもショックを受けました(苦笑)。
幸い?にも作者様はすぐその後の話で
「そう言うわけではない」回収はしてくださいましたが。


ともあれ、羌瘣が河了貂を救えなかったのは事実なので、
うなだれている信を前に「・・・すまない」(58ページ)と言ったのは、
この場面では一番自然な流れではあったでしょう。

ここでの信の掴みかかりの理由は、
我呂がちゃんと直後に解説してくれている(笑)(60ページ)通り、
誰も信に声をかけられない緊張の沈黙が続き、
時間経過で膨れに膨れ続ける信の堪忍袋が、
羌瘣からの「すまない」を受けて破れて流れ出るまま、
止められなくなった八つ当たりに他ならないでしょう。


でもここで怒りをぶつけられた羌瘣がすぐ
「今から助けに行ってくる」(61ページ)と拗ねたり、
翌日謝りに来た信に対してツンとそっぽを向いたり
「許さん」と冗談の怒り返しするあたり(183ページ)、
羌瘣にとってはこの出来事が本当にショックだったんだと思います。
「怒り返し」は戦い後の築城(38巻70ページ)までも
引っ張ってましたよね笑。

ちなみにこの一連の羌瘣の態度、正直な話当初はドン引きでした(爆)。
妹気質丸出しだな〜、と言う意味で。
(はい、おいらも同じ気質持ちなため、同類嫌悪みたいな感じです苦笑。)

2つ前の考察のおまけ考察でも書いた、河了貂に対してマウント取っている
(と当時は思っていた)ところも合わせて、実は著雍戦は
羌瘣ファンの自分にはかなり鬼門なシリーズでした。

もしかするとこの描写があったことで
信&河了貂派に流れた人も多かったのではとの説は、
私にも頷けます。


結果的に翌日の夜、信が謝りに来ることにより仲直りはするのですが
羌瘣は信に「自分がなんでも出来るわけではない」と
主張するようになるものの、
「自分が信の役に立つように動かないといくら武功を上げても意味がない」
ことが羌瘣の深層意識に置かれたのではないでしょうか。

著雍戦3日目、自身の役割の右翼指揮の前、
短い時間ながら囮役の信の援護をしに行った(36巻200ページ)のは
「信の役に立つべき」気持ちの表れのように見えました。


信のほうは、以前羌瘣が飛信隊を一時離脱した際、

「羌瘣が一人で武功をあげてたわけじゃねぇんだ」
「あいつ一人抜けたからって戦力がそこまで無くなるかよ」
(23巻94ページ)

と言っており、ずっと羌瘣一人に頼ろうとは思ってなかったテイであり、

この出来事の後も、

羌瘣「私だってなんでも出来るわけじゃない」
信「・・・んなこた分かってる!・・・」
(36巻183ページ)

と即答はしており、表層意識としては、
そうと「思い込んでいた」みたいではありました。

しかしこの出来事で、
羌瘣への期待値を無意識に完璧レベルにしていたことを
自覚したのだと思います。

それと併せて、羌瘣の力が飛信隊の中の拠り所になっているとも
自覚したかもしれません。

これらへの気づきと、
それが八つ当たりの形になったことは表向き謝っているものの、
結果的にこの先ずっと、
信は飛信隊の主戦力として羌瘣に頼ってしまう気負い
抱え続けていくことになるのでしょう。


黒羊戦の開戦時、羌瘣が「リスク高い」と助言してくれた樹海の斥候に
結果的に羌瘣自身を送り出すことになってしまった気負いが信にあったと、
以前の記事でも考察してました。


その後の会話で羌瘣が
「(大将軍への本格的な)私の第一歩」(188ページ)と言っていることを
「俺のだ!」と否定する流れは、
今後力を頼りまくると想定する羌瘣への負担を信が
心配している現れなのかな、とも見えてきました(笑)。


まとめ


二人は対外的には「対等」な立場であり、
軍が絡まない局面ではその立ち位置も
二人ともそのように接してきているのは確かですが

あくまでも「飛信隊」として対峙する場合
信にとっては「自分傘下の頼りになる副長」であり
羌廆にとっても「自分が支える、夢を共に追う仲間」であって、
「どちらかというと"信>羌瘣"的な意識」
お互いにある状況であるでしょう。


その中で二人は、
信は「羌瘣の力に頼ることに対する負い目」が、
羌瘣は「信の役に立つことがマストであるプレッシャー」が、
それぞれの「お互いへの壁」として無意識に抱えていくことになる、
と言うことも、二人の立ち位置の一部であるようです。


今後、黒羊戦を経て、二人の関係が上記からどのように動いていくか、
具体的にもっともっと深く掘っていこうと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?