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発問の基本技法

 さて、今回は発問の基本技法について書いてみようと思います。
 これから紹介することは、基本技法であり原則ではありません。「こうであらねばならないもの」ではなく、「こうした方がたぶんうまくいく」という経験則です。
 そんな発問の技法を5つに絞ってまとめてみました。どの学年、その教科でも、割と広く使えるものを集めています。

発問の基本技法5

1 言葉を明確にする

○ 何度繰り返しても、一言一句変わらないように発問する。
○ 言い直すうちに言葉が変わってしまうような発問は、子どもを混乱させる。また、教師自身にも見通しがなく、思いつきで子どもに問いを投げ掛けているだけに過ぎない。
○ 言葉を明確にすることは、子どもの発言を予測しておくことでもある。常に3つくらいは予想しておきたい。

2 対象を明確にする

○ 時(いつ?)・場所(どこ?)・数(いくつ?)・人(だれ?)のように、何を答えればよいのか、対象をできるだけ具体的なもの(揺れないもの)にすることで、思考もまた具体化される。さらには、他者との意見の違いも明確になる。
○ 「どんな」「どれくらい」「どのように」という問いは悪問ではないが、答えに曖昧さが生まれることに留意する必要がある。(あえて曖昧に問うことは有り得る)
○ 「なぜ」と理由を問う発問に、安易に頼りすぎない。「なぜ」が最も適切なのか、それとも他の言葉に置換可能なのかを吟味する。

3 差異(ちがい)・未知(わからなさ)を浮かび上がらせる

○ 多様な考えが出される、意見が分かれる発問をする。全員が同じ答えになるような発問からは学びは生まれない。学びは差異の中からしか生まれない。よって、意見が分かれるように意図的に発問する。
○ 分かっているつもりでも本当は分かっていなかったことに気付かせる。よく考え直さないと答えが見つからないような、歯ごたえのある発問を心掛ける。歯ごたえのないものを子どもは喜ばない。もちろん、授業では、簡単なこと、全員が正解できるようなことを確認する発問も組み合わせている。
○ 大人(教師)でも迷ったり、新しい発見(えっ?・気付かなかった!・それもありだな・そういうことか・なるほど・確かに)が生まれたりするような発問に、子どもは夢中になって学ぶ。

4 発問と指示の組み合わせを意識する

○ 発問は思考指示(問題を投げ掛け、思考を喚起する言葉)である。発問によって思考させたら、その思考を表出させる活動指示が必要である。
○ 活動指示を意識することで、全員の集中と参加を維持する。例えば、「・・・したのはだれですか?」「なぜ・・・・なのでしょう?」「AかBかどちらでしょう?」という言葉掛けは思考指示であり、「ノートに書きなさい」「グループで話し合いなさい」「どちらかに手を上げなさい」という言葉掛けは、活動指示である。
○ ただし、活動指示は隠されている場合もある。発問した後、特に何も言わなくても子どもが挙手して発言したり、つぶやきを返したりする場合は多い。それは、無言の内に(発言してください)という活動指示が隠れているのである。

5 子どもの発言を待つ

○ 深い問いほど子どもの発言をじっくりと待つ。「間」をとり、待つことで多様な発言が生まれる。
○ 一人の発言が教師の期待する答えであっても、さらに「間」をとって次の発言を待つ。「間」もまた思考を促す指示である。
○ 発問後に即座に言葉を返してくる子どもの考えは、概して浅いものに止まっている。

いかがでしょうか?ちょっと意識するだけで、結構うまくいくこともあると思います。試してみてください。

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