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メキシコのコンビニって...

「海外は日本と違って危険、とにかく気をつけて!」というのは海外旅行に行ったことのある人なら、かならず周りから言われる言葉だと思う。
当然環境が違うのだから、言われなくても気をつけるだろう。しかしそれは、あくまで想定できることに対してだ。
それまでの人生で聞いたこともなければ、見たこともないような出来事に直面したら、誰だって対処などできないのが普通で、そういった出来事に遭遇しやすいのが海外だ。

ここでは筆者が15年メキシコで生活していた時に、日本からの旅行者に起こった事件を紹介してみよう。

プロレスラーを引退後、ツアーガイドとしてメキシコで生活していた筆者は、ドライバーと一緒に日本からくる観光客を空港でピックアップし、ホテルと空港の送迎と、翌日市内とテオティワカンの観光などを、数えきれないほどやってきた。
ホテルへむかう車内では、メキシコシティ滞在中の注意事項を説明するのだが、この国は思いもよらないことが起こるからやっかいだった。

女性二人組のお客さんがメキシコシティに到着。彼女たちはシティ観光はせず、翌日カンクンに向かうため、この日は市内のホテルにチェックインし、翌朝再び空港に送り届けるという仕事内容だった。

ホテルに到着したのは夜だったため、外食はしないが、飲み物を買いたい、という彼女たちに、近くのコンビニを教えその日は別れた。
翌日早朝ホテルに迎えに行き、空港までの車内でホテルは問題なかったか、買い物はできたか、など話をしているときのことだ。

「意外とメキシコってビールが高いんですね。」

と尋ねられた。レシートがあるというので見せてもらうと、そこには7~8人で飲み食いしたであろうアルコールと食べ物が打ち込まれていた。小柄な女性二人でこんなに飲み食いしたのか?と疑問を感じる量だ。

「結構飲まれたんですか?」
「二人でビール一本づつと、おつまみを買っただけなんですけど。」

明らかにレシートと内容が違う。彼女たちの買っていないものが多数、そこには記載されているのだ。

メキシコのコンビニは防犯のため、夜間入口のドアを閉め、物を出し入れできるぐらいの小さな小窓だけを開けて営業している店が少なくない。
客は窓口でほしいものを告げ、店員は奥でレジを打って商品を持ってきて代金を請求する、というスタイルだ。
彼女たちが、言葉もわからず不慣れなのをいいことに、店員は自分たちの会計を、彼女たちに支払わせたわけだ。

時間があればそのコンビニに乗り込み、「オイ、コラ!」と言ってやるのだが、すでに車は空港に到着するところで、もどるわけにもいかない。
(文句を言ったところで、相手は認めないだろうが)

こんな思いもつかない事件が起きるので、いざ旅行会社で日本人観光客用に滞在中の注意喚起を記したマニュアルを作ろうとしても、あらゆるケースを想定すると、昔の電話帳のように分厚くなってしまう、ということで実現に至らなかったことがある。

夏休みで海外に行かれる方、とりあえずなんでも疑ってみたほうがいいかもしれません。




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