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13歳のハローワーク

新 13歳のハローワーク ハードカバー  

村上龍 (著), はまのゆか (イラスト)

$解説
21世紀の少年少女に贈る、現代を生きぬくための新たなるバイブル!
127万部突破のベストセラーが内容を改訂・大幅に増量し登場!!

2003年に刊行され、127万部突破の大ベストセラーとなった 『13歳のハローワーク』を改訂し、パワーアップさせた新版。

89種の新規職業と、医療、介護、環境などがテーマの今の時代に読まれるべきエッセイ・対談が新たに追加され112ページ増量。旧版で は興味の対象別に別れていた職業項目を、新版では教科別に分類し直し
たことで、中学生にとってより身近に感じられる本になりました。旧版を刊行した際に読者からの要望が特に多かった索引を付け、難読漢字に はルビをふってあります。新学期シーズンにも欠かせない1冊です。

職業というのは、単にお金を稼ぐ手段ではありません。その仕事をすることで、生きていくために必用な充実感、人間としての誇り、そして仲間や友人を得ることができます。職業は、その人と社会・世界をつなぐ
窓のようなものであり、大切な架け橋のようなものです。――村上龍

$読者レビューより引用・編集
実はこの本、2000年頃の初版も買いました。
その当時、新卒でITエンジニアになった私は、3カ月間の研修を経てシステム開発現場へ放り込まれました。IT、といっても華やかなものではなく、窓の一切ない空調の管理された部屋で、自分の年よりも古いプログラムの修正をアセンブラという今では殆ど見かけない言語で行っていました。
学びは大いにあり、それなりに(というか大分)忙しく、そんな中でも会社が課した資格試験に着実に受かっていく同期や先輩が多くいました。一方私は資格試験は大分落ちました。ああ、やっぱりに「好き」にはかなわないときっと感じたのでしょう、そうした時分にこの本を買ったのでした。
今回、主に子供のために、新版(といっても今から10年以上前の発売ですが)をこうして手に取りました。改めて多くの職業が世の中にあることに驚きます。マタギとか、ひな鑑定士とか、プロレスラーとか。50歳近い私にも何か新たな挑戦ができるやも、とついつい自分目線で読んでしまいます。
本作の良いところは、先ず、国語や社会など学校の教科ごとに職が分類されていること。想定読者である学生に、学校での体験から職業がイメージできるように工夫してあるところです。ちなみに上記のマタギは理科、ひな鑑定士も理科、そしてプロレスラーは当然ですが体育の教科にカテゴライズされていました。
また、本作は職に就くことの難しさや具体的な就業人口の数なども折に触れて紹介しています。原則募集は行わない職や、アルバイトとして非正規雇用から始めないと道が開かれないとか。また人数という観点ではプロサッカー選手の数が約1000人とか、競艇選手は約1500人とか。税理士の有資格者は7万人強、公認会計士のそれは2万人ほど。人数なんかは、都道府県数の47で割ってみて、一つの県で平均何人くらいのライバルがいるのかとか、各所から参照数字を持ってきて割ったりかけたりすることで、想像やイメージを膨らますことができます。
そのほか、ところどころで挿入されているエッセイもまた読み応えがあり面白かったです。小説家をはじめいくつかの職は偶然に就くものと語る「小説家の誕生」、マーケティングやセールスには“ニーズ”という視点が常に必要と語る「「好み」というニーズ」、小学校教諭の両親の思い出とともに教育とお金の現実をつづる「求められる教師像とは」など。これら以外にも、農業などの一次産業の方がこれからの業界のあるべき姿を語るもの、グーグルの社員の方がどういう人がグーグルに多いのかとか、そういう話も興味深く読めました。
ということでまさに職業図鑑。多くの職業を網羅的に収録してあり、そこはかとなく薫る村上氏の毒もまた味わい深いものがあります。
きっと、将来のことをしっかり考えるお子さんには役に立つと思います。読むことで本人の方向や指針が形作られるかもしれません。
うちのように親が押し付けてみて、「読んだけど別に。まあだるいわ」というような返事しか返ってこないご家庭は、是非親御さんや周りの大人に一読をお勧めします笑 親すら考えもしなかった職業があり、それがどういう教科と関連し、あるいは大人目線でこの子供はひょっとしてこれも興味あるのではという気づきがあるかもしれません。
書籍は社会の進展とともに陳腐化すると思います。職業に流行り廃りがあり、10年前のこの本も現在を正確に写す鏡とは言えません(特にIT関連)。しかし本書、やはり世の中には全き多様な職があり、どの職に就こうと子供たちが幸せに生きていければそれでよしというある種の達観(諦観?)へ私を導くに至りました。自分の人生に未だ悩む親が、子供に「お前将来何になるんだよ」なんて言えないわな、そう自嘲しつつ、本書を閉じました。

$商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「国語が好き」「社会が好き」「理科が好き」「体育が好き」…。好きな教科の扉を開けると、胸がときめく職業図鑑が広がる。127万部突破のベストセラーを大幅に改訂。89の職業を追加、112ページ増量。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

村上/龍
1952年長崎県生まれ。「限りなく透明に近いブルー」で第75回芥川賞を受賞。金融経済を中心に扱ったメールマガジン「Japan Mail Media」の編集長を務める

はまの/ゆか
1979年大阪府生まれ。大学在学中の99年に『あの金で何が買えたか』でイラストレーターとしてデビュー。2007年に『2007 mamechan calendar』で第36回日本漫画家協会賞・特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)






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