「ヒッ、ヒッ、フー」の記憶 ーリライト版ー
皆さん。
『胎内記憶』って、聞いたことがありますか?
3年前のお話です。
就寝前の寝床で疲れていたママから整体のお願いがあり、施術することになりました。
施術を始めると、愛するママを取られたと思った息子たちも参戦。
「ママ大好き」男3人衆による豪華絢爛の『整体合戦』となりました。
各パートに分かれて施術を始めた3人。3分ほど経過した時、長男のYちゃんの口から驚きの言葉が発せられました。
「ヒッ、ヒッ、フー」
「ヒッ、ヒッ、フー」
これには、夫婦で顔を合わせてビックリ。
「Yちゃん。その言葉何で知ってるの?どこで聞いたの?」と長男に尋ねました。
すると長男は
「産まれる時に、ママのお腹の中で聞いたんだよ」
と答えました。
「こんなことがあるんだね」夫婦でまたまたビックリしました。
この言葉に、実は「心当たり」があるんです。
約8年前。
長男のYちゃんは予定日を過ぎてもなかなか産まれないため、超過5日目を出産日と定めて私も立ち会い、陣痛促進剤を打って『その時』を待つことになりました。
いざ陣痛も始まり、痛さに顔を歪めながらも懸命に頑張る姿に導かれたのか、私は今まで出したことのないような大きな声で、
「ヒッ、ヒッ、フー」と、ママの背中をさすりながら励ましました。
それでもやはり「その時」はきません。そして、長男の心音が弱くなっていきました。
助産師のママはそれがどういう事態かがわかっているため「ごめんなさい。ごめんなさい」と謝りながら号泣。
私もだいぶ動揺しましたが、
「今1番大変なのはあきちゃん。ここで私が動揺するのは違う。ここに私がいる意味を考えよう」と思い、「大丈夫!」とママに声を掛け、「ヒッ、ヒッ、フー」の語気を強めました。
その後緊急カイザー(帝王切開)が決まり、私は別室へ。
事前に妻から「出産を簡単に考えないで欲しい。私が死ぬことだってあり得るので、その時は息子をよろしく」と言われていたため、悪夢がよぎる「人生で1番長い」待ち時間を過ごしました。
そして1時間。
「オギャア!」という元気な声が聞こえ、助産師さんが長男を抱えて私の元に。
「奥さんも無事ですよ」とのひと言に、ママと長男を同時に失う恐怖から解放された私は大号泣でした。
あとから聞いた話では、いつの間にかママの羊水はほとんどなくなっていて、下から産むのは無理だったとのこと。
それでも長男はママとパパの渾身の「ヒッ、ヒッ、フー」を受け、『産まれるその日』から下から出ようとしてくれていたんだと思います。
声が届いていたんですねえ。
Yちゃんが今も人一倍の「頑張り屋さん」なの理解できた気がして、じんわりと温かくなりました。
人間は不思議なことがいっぱいですね。
まだまだたくさんのことを学ぶことが出来る。そんなことを実感した温かい出来事でした❤️
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