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【京都】暑い…。嵐山の大悲閣千光寺で木々と川の水、絶景に癒される。

暑い。私は暑さに弱い。毎日、エアコンを効かせた部屋にしがみついているうちに、気分まで滅入ってきた。五感が鈍くなったような気がする。どこか涼しい所に行って気分転換しようと、4年前に知人と訪れた嵐山の大悲閣千光寺を再訪した。観光地に近いのに静かで、川の水と木々のおかげで涼しかったのを思い出した。

嵐山は、いわずとしれた観光地。渡月橋、竹林の小径、天龍寺、野宮神社など見所がいっぱいある。大悲閣千光寺は、安土桃山から江戸時代初期の豪商、角倉了以が、大堰川を開削する工事で亡くなった人たちのため、移転建立したお寺である。渡月橋から1キロあまり上流にあるせいか、訪れる人が少ない。そこがまた、疲れた身にはありがたい。

渡月橋を南に渡り、保津川沿いの道をどんどん上流へ歩く。嵐山モンキーパークいわたやまの入り口を過ぎると、ばったりと人通りが途絶えた。「戸無瀬の滝」という小さな滝がある。平安時代から多くの和歌に詠まれてきたそうだ。水の流れる音は、なぜこんなに涼しげなのだろう。じっと耳を傾ける。

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和歌にも詠まれた戸無瀬の滝

それにしても、とても静かだ。聞こえるのは蝉の声ぐらい。ちょっと不安になるほどだが、「GREAT VIEW」と書かれた案内板が現れるので、安心して進み続けよう。誰もいないので、マスクを外して深呼吸してみた。気持ちいい。体中の細胞が生き返るようだ。

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案内板に英語で「GREAT VIEW」とある
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とても静かで芭蕉の句を思い出した

ごつごつした岩を見ながら、さらに上流へ。松尾芭蕉の句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」を思い出し、あれは山形の立石寺だったなと考える。芭蕉は「花の山二町のぼれば大悲閣」という句も詠んでいる。大悲閣とそこへ行く道を愛していたのかもしれない。

渡月橋から歩くこと約20分。ようやく寺の入り口についた。あと少し、石段をのぼらなければならない。

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石段をのぼって絶景を目指す

山門をくぐり、鐘楼の脇を通ると、舞台造りの客殿が見えてきた。ようやく到着した。

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舞台造りの客殿

角倉了以像に手をあわせ、客殿にあがる。涼しい風が吹き抜けていく。参拝客は誰もいない。貸し切り状態である。
そして何という絶景。比叡山までよく見える。

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角倉了以の像
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客殿の中は風が吹き抜けて涼しい
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左のとがった山が比叡山

置いてある双眼鏡をのぞくと、市街地のビルの窓が見えた。訪れたのは土曜日だが、忙しく働いている人もおられるだろう。ちょっと申し訳ない気持ちになる。

たっぷり景色を楽しんだ後、参拝者が自由に記入する備え付けのノートに「ありがとう」と書いた。降りる時、鐘楼で三回鐘をついた。

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鐘楼で三回鐘をついた

来た道を川沿いに下流の方に向かう。保津川下りの船が見えた。キャッキャッと賑やかな笑い声が聞こえ、楽しそうだ。渡月橋は大勢の観光客で賑わっているだろう。
人の声を好ましく思うのは久しぶりだ。私の心も軽くなっていた。

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保津川下りの船


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