これからは、手入れの時代ではないか。
土曜の昼下がり、散歩中に、近所のマンションの前を通りがかると、造園屋のおじいさんが植木の手入れをしていた。
黒い長袖のポロシャツに、作業ズボン、頭にタオルを巻いている。
肌は黒く、大きなカマでもくもくと並木の雑草を刈り取る背中には、大きな汗模様が見えた。
ぼくはそれを横目で見ながら、半袖半ズボン、ビーチサンダルで通り過ぎる。
「これが、本来の人間の生活なんだろうけどなあ。」
そんな思いを胸に、真っ白な自分の手足を見つめながら、家路につく。
家に着けば、仕事部屋に向かい、机に座って、Macに向かいキーボードを打つ作業が再開される。
なんだか、ひどく不健康な生き方をしているようにしか思えなかった。
どんなに社会的な成功をしていても、土に触れない生活は、ぼくにとっては不自然で、豊かではないような気がしてしまう。
人間にとって、手入れをするということは、ほんとうは欠かせないものなのではないか。
コロナで、手入れするよろこび、たのしみを感じた人は多かったのではないだろうか。
家の中を掃除したり。
家具を整えたり。
お菓子作りを楽しんだり。
ヨガをしたり。
これらは、自分を手入れするということであり、こうした需要がコロナで増えたのは、人間は本来、手入れをすることに豊かさを感じるという表れなのではないかと思う。
土にふれる、ということは、そのもう一歩先にあるような気がする。
土に触れ、大地に触れ、作物や植物の世話をしながら、自分という生命の実在を感じることができるのではないかと思う。
近所の貸し農園でも借りてみようか。
そんなことをこの数日考えていたら、ヒントとなるようなコンテンツが見つかった。これからは、手入れの時代なのではないかと思う。
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