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気温懐古主義

今日はすこぶる暑かった。
全国的に酷暑だったとしても、地元はいつも32~3度。そんな安定した地元でさえ、今日は35度を超えたそうだ。
外に出てその暑さを体感した瞬間、丸焼きにされる豚はこういう気持ちなのかな、と心苦しくなった。やはり食べ物をいただくときは、きちんと「いただきます」をしなければいけない。
…と話は逸れたが、話の趣旨がすっ飛んでしまうほど、すっかり暑さにやられてしまった。この暑さ、冗談でしょ?笑えない冗談は即刻やめてほしい。

ところで今から20数年前、私がまた小学生だったころ。夏休みは「午前中の涼しいうちに宿題をやりなさい!」と親からよく言われた。「午前中は涼しい」なんて今じゃ考えらえない。
気象庁のホームページで確認したところ、1995年8月の地元の気温は平均28度。日中がこの気温だから、夜は25度を下回っただろう。
2019年現在は、夜でも当たり前のように30度を超える。25度を超える夜を熱帯夜と呼ぶけれど、これはもう熱帯夜どころか超☆熱帯夜と呼んでも良いのではないか。暑さのせいで不機嫌になりがちだから、字面くらいはご機嫌でありたいという願いを込めて☆を付けてみた。ちょっとダサイけど。

この20年で気候が変わり、それに伴って生活様式も変わったな、と思う。
「夕立」という風流な言葉で表すには生ぬるいほどの激しい雨が降るようになった。いつしかそれは「ゲリラ豪雨」と呼ばれるようになり、最近では夕立という言葉をあまり耳にしない。
私が子供だった頃は職員室と校長室にのみエアコンがあったけれど、今は教室にもエアコンが設置されているらしい。
そして天気予報では「高音なので不要不急の外出は控えてください。エアコンをつけてください」とアナウンスが流れるようになった。外出は命と健康に関わる。エアコンは生命維持装置。
今日(こんにち)の日本の夏は、もはや自然災害だ。

ああ、昔が懐かしい。
午前中の涼しいうちに宿題をして、夕方は花火がてら夕涼み。扇風機が主役の居間に聞こえる「あ゛~~~~~」というあの声(扇風機に向かって「あー」と言う遊びをよくしたものだ)。
それが今はどうだ。午前中の涼しいうち、なんて存在しない。夕は全然涼まない。居間の主役はエアコンに代わり、「あ゛~~~~~」は聞こえなくなった。
暑さのせいで失った夏の風情が多すぎる。あの頃の風情をもう一度...と言いたいところだけれど、酷暑がそれを許さない。あの頃の夏が、気温が、懐かしい。

…なんてことを車内の液晶に表示された"OUT.TEMP38℃”をぼんやり見ながら想っていた今日。
38度?ここは南国ですか?いいえ、極東の島国日本です。




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