見出し画像

日本縦断歩き旅《島根⇒佐賀編》5日目『老害化しない為にも挑戦を続けたい』三隅⇒益田


朝。テントは湿っていたが、散歩する方が見えたので早めに畳む。

食事は、コーヒーとナッツだけにした。
濡れた服をしまい、乾いている服を着たがそろそろ洗濯しないとやばい。

この日は比較的に歩道がしっかりしていて歩きやすかった。

空も晴れている。

寒い日が続いていたので、
晴れたら熱くなると思っていたが、
風もあってまだ寒かった。
花粉もあるせいか鼻水が出ない日がなかった。
風邪だけは絶対ひかない、ひきたくない。

コンビニに行くと何人かに話しかけられた。

カップ麺を待っていると、
ひとりのおじさんが話しかけてきて。
「俺も若いころバイクで旅したりした」
「電話ボックスで野宿するといいよ」
「テントなんていらないブルーシート一枚で十分」
「俺が話した旅人はビーチサンダルだったな」
色々聞いた。
どうやらバイクで九州一周をした人で、日本一周に憧れがあるらしかった。

思った以上に長い話になり、
すっかりカップ麺はのびてしまったので話を切り上げさせてもらった。

そそくさとコンビニを離れようとしたときに、
若いカップルに話しかけられて、差し入れをいただいた。
どうやら前(昨日?)に見かけて差し入れを用意してくれていたらしい。
頑張ってくださいと軽快に車を出して去って行った。
長崎出身の方でこれから長崎に向かう話などをした。

水とクッキーありがたい。

道路だったので、後で中身を空けて撮影。
高級そうなお菓子。
歩いてる途中は排気ガスもあって口がイガイガしてるので、
後で味わって食べる事にしました。

久しぶりにジャンクフードが食べたくなりマックへ。
風呂入ってない小汚い人間にとっては、
チェーン店は入りやすくて助かる。
一応消臭スプレーしたが端の席で食べる。

前は橋の上でよく歌っていたが、
南下するにつれて歌いたい欲求が薄れていた。

この時はオーディブルを聴いていた。
日本の雑学を毎日少しずつ聞き。
この日は中国のSF小説『三体』を聴いていた。

SFなので難しい用語が多く、
登場人物の名前も覚えにくい。
だが序盤、展開が変わるところまで聴くと決めて、
辛抱強く聴いていたが、
展開が変わった時にその先の話に興味がわかず、
途中で聴くのをやめてしまった。

海岸近くの休憩所で休む。
目星を付けていた漫画喫茶が、
昔は朝までいられたみたいだが、営業時間が変わっているらしく諦める。
洗濯ものもあるし、風呂も入りたいが諦める。

スマホで色々調べていると、
もうひとつ山を越えればキャンプ場がありそうだった。
しかし、日がだいぶ落ちてきている。
多分、山の中で日が落ちる。
テントを設営する時には暗くなっているだろう。

砂浜でテントを張るには風がとても強かったので、
使えないシャワー室の前を間借りさせて貰うことにした。
シャワー室は鍵がかかっていて入れないので、
ここを通る人はいないだろう。

思わぬところで野宿する事になったが、
今思うといい所だった。
透明度の高い青い海がきれいで、
風が強く寒かったがシャワー室のくぼみのお陰で強風から避難できた。

夕方には風がなくなっていた。

ふと、父の事を思い出す。
母と話すと自然と父への愚痴を聞いていた。
俺も実家から離れたから、たまに父を美化して思い出すけど。
一緒に生活していた時は嫌でたまらなかった。
それを思い出すと母が辛い事がわかる。

仕事を辞めてから父は家にずっといる。
せめてもっと外にいてくれたら。

職場でも、
人が嫌う仕事を若手がやって、
居心地のいいポジションを年配者が固持して動かない。
新しい事へも批判ばかりして代案を出さない。

もちろん”いつも”ではないし”みんな”ではない。
ただ多すぎるのだ。

私も必ず老いる、死ぬ以外すべての人に訪れる。

もしも、日本縦断の挑戦を、
父が、職場の先輩が、していたら。
長旅によるひと時の別れがあれば。
あんなに嫌わずにいられたかもしれない。

近くにいると、ほぼすべての人が
「俺はがんばってる」アピールを陰に陽に出してしまう。
それがお互いに息苦しくしてしまうのだ。

少なからず、嫌っていた事へ自分が同化していくのだろう。
だけど”挑戦”こそが”多すぎる”事への緩和になると思う。

年老いたら、また日本縦断の旅をしよう。
道具や含蓄で武装せず、
老いても歩いて旅をしていたい。
その時は、今より価値的な旅な気がする。

今回の旅は雨続きの旅だったが、
この日の夜、ようやく星空をみれた。

この日歩いた距離 25 km











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?