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おでんのきんちゃくは宝箱なのかもしれない?

おでんの具の中には、本心を隠したミステリアスな具材がいる。
そいつは、大根や卵と並ぶ人気と実力を兼ね備えたバイプレイヤー。

そう、きんちゃく。

表向きは油揚げの顔をしているが、裏の顔は何を企んでいるのか謎である。
実際にきんちゃくを食べてみるまで、その中身がわからないからだ。

「ちくわ」や「はんぺん」など、他の具材は素直で裏表がないが、きんちゃくは腹のうちが読めず、掴みどころのないミステリアスな具材である。

かじりつくまで、その正体がわからないのは宝箱を空けるようにワクワクできて、遊び心を感じる。

ただ、予想外のモノが出てきたときは現実を受け入れられない場合もあるだろう。

そもそも、なぜ中に隠しているのだろうか?
まさか恥ずかしがり屋をかばうためか。
はたまた、茶色ばかりの練り物集団の中で個性を出すためなのか。

実に奥ゆかしい具材だな。冗談はこの辺にして。
恐らく、中に入れる具材が荷崩れしやすいからだろう。

代表的な具材として挙げられるのは「お餅」。
確かに、出汁で温めたら原型を留めておけなくなり、他の具材に引っ付いたりする。

これはおでんを楽しみにしている我々にとっては死活問題だろう。
具材と具材を適当に引っ付けて、鍋の中が大変な状況になってしまうからだ。

ちょっとした事故である。
食べたいものを上手くすくい上げられないだろうし、出汁にはお餅の破片が浮いている始末。

それは避けたい、料理は見た目も大切だからね。
きんちゃくの代表的な中身は「お餅」か「卵」だと思うが、地域によっては違いがあるのだろうか。

地域によって、おでんの味付けは変わってくる。
例えば、「赤みそベースの名古屋おでん」や「真っ黒に煮込まれた静岡おでん」などがある。

きっと、きんちゃくに入れる具材の文化も地域によって違うはず。
まだ見ぬ変わった中身があるのならば、知りたいところだ。

私が出会った変わり種といえば、「炒めたひじき」と「細切りされたコンニャク」が入っていたことがある。

甘辛い味付けのひじきと油揚げは意外とマッチしていた。
噛むとコンニャクの歯切れのよいプルプルとした食感がいいアクセントになる。

おでんなのか、煮ものなのか紙一重ではあったな。
なにはともあれ、食べてみるまで中身がわからない「きんちゃく」は宝箱のようなワクワク感があるのは間違いないだろう。


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