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弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!③

前回①と②で、子育てプランのポイントとして德才兼備(先に徳育、次に才能開花)、自己認識を深め、人間関係構築力を高めることについて書きました。最終回の③では、学びの順番と徳育の実践を示す『大学』と『弟子規』をもとに、人間関係構築力についてさらに深堀りしてみます。

子育てパパ支援と女性活躍推進の関係

私たちがパパをサポートしていきたい理由として、パパたちがより一層子育てに参加し、子供によりよい影響を与えてもらいたいという考えがあります。さらには、ママの子育て&家事への理解や、精神的・身体的な変化にも気づいて欲しいのです。出産後の社会復帰において産前のような働き方ができるまで時間がかかる一方、会社としてはいち早く戦力として戻って欲しいなど、期待と現実の様々なギャップがあります。

当事者にならないと分からないことはたくさんあります。以前も書きましたが、女性が創出する価値は計り知れません。パパたちが子育てを通して、ママへの理解も深まれば女性活躍推進は新しい形になると思います。相手への思いやりが増える分だけ、社会は温かくなります。

人間関係構築力:「修身、斉家、治国、平天下」

修身<身を修める>
人間関係構築の基礎として修身があります。『弟子規』の内容はこの修身がメインとなります。身とありますが、最も大事な考え、そしてどのように
話し、行動するかの3つを網羅します。

斉家<家をととのえる>
核家族になる前は、一家に3~4代が一緒に生活し、親戚も含めて100名ほどいるというのも珍しくなかったようです。これをマネジメントするのが長男夫婦でした。

治国<国を治める>
家をととのえることができた人だけ、国を治めることができるということです。血のつながっている家族内でさえ、ケンカや争いが絶えず、思いやり助け合うことができない人は、国のリーダーは不向きです。同時に企業においても同じことが言えます。

平天下<世界が平和になる>

全ての人間関係では、自分の意図と相手の受け止めの2つが存在します。私たちは相手の受け止め方を指図することはできません。そもそも自己とは他者があって定義されるものです。これは西洋のパーソナル・ブランディングにも通用し、私は誠実な人だ!と訴えても相手が同意しなければブランドは成り立ちません。むしろ自身の知覚的認知よりも他者からあなたへのイメージがあなたの価値となります。

修身を進める隠し味「フィードバック」

人間関係構築の第一歩となるのが「修身」で、『弟子規』ではその具体的な実践方法が書かれています。一方で私たちは、他者からフィードバックをもらわないと、人間関係構築はおろか自己認識すらできません。優れたリーダーは、修身を進めるために他者からのフィードバックが重要であることを知っています。

中国が唐の時代の8世紀ごろに編纂された『貞観政要』という本があります。日本においても北条政子や徳川家康、明治天皇が愛読したと言われています。君主といえども決して全能ではなく、欠点や過失の指摘などの忠告、つまり諫言を喜んで聞き入れおりました。最近のオーセンティックリーダーシップやサーバントリーダーにも通じるものがありますが、東洋でははるか以前から指摘されているのですね。もちろん『弟子規』にも同様の内容があります。

聞過怒 聞誉楽 損友来 益友却
ぶんかど ぶんよらく そんゆうらい えきゆうきゃく
欠点を指摘され怒り、誉められて喜ぶ、
(そのような人には)損友が近づき、益友は離れる。
聞誉恐 聞過欣 直諒士 漸相親
ぶんよきょう ぶんかきん ちょくりょうし ざんそうしん
誉められて恐れ、欠点を指摘され受け入れる、
正直で誠実な人は、次第にお互い親しくなる。

『弟子規』信

東洋の英才教育は人間関係を重視

子育ての話しに戻ります。東洋思想においては、一人で勉強をやらせるのではなく、もっとも身近な人間関係、家族との会話や家事手伝いなどを通じて実践的に子供の教育と社会性の形成を進めます。そこに経典など知識学習を補足します。実践と知識を通じて社会構造や自然法則などを理解すれば、人間関係の中で自分の本分、つまり何のために生まれて社会にどんな貢献をするか?を定めることができます。

以下は、東洋におけるかつての英才教育の事例です。現代社会にも参考になるものがあるかも知れません。

  • 生前:胎教。紀元前にすでに書籍があるほど長い歴史がある。現代でもクラシックを聴かせたりしますね。重要なのはママの心の安定です。

  • 3歳:弟子規などを暗唱させ、実践できるようにする。

  • 5歳:経典を読み暗唱。家事手伝いから物事の順序を学び、大人の会話を観察し言葉を練習。但しこの年代ではまだ思考が未熟なため意見の発表はさせない。

  • 15歳:経典の意味や理論を解説。同時に自分の身の回りのことは全て管理できるようにするのが目標。

  • 20歳:専門分野の深化。一生かけて進めていく分野、つまり本分を見つけていく。

  • 30歳:プロとしてその道で自立。社会に対して有益な影響力を発揮。

そして下記の孔子の言葉の通り、70歳までの学習と成長が続きます。

子曰、吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑、五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩。

『論語』為政

2022年も残り数日となりました。

車文宜・手計仁志


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