弟子規研究所

『弟子規』は社会における道徳や秩序を示し、その中で自分の本分を尽くすことなどを説いた中…

弟子規研究所

『弟子規』は社会における道徳や秩序を示し、その中で自分の本分を尽くすことなどを説いた中国の古い教材です。『リーダーとして論語のように生きるには』の著者が、この教材の研究を通じて、社会で信頼されるための不変的な規範、問題解決や目標設定のポイントなどを紹介します。

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弟子規研究所、開設。

ごあいさつ初めまして。車文宜(CHE Wenyi)と手計仁志(TEBAKA Hisashi)です。このたび2人で弟子規研究所という活動を始めることにしました。 このnoteでは、日頃の社会やビジネスで起こる出来事を『弟子規』の視点から眺めてみて、その本質や善悪の基準を読み解いてみよう!という内容を発信していきます。 あまり肩ひじ張らずに、私たちが日頃感じたことや考えたことなどをツラツラと書いていければと思います。皆さんもお気軽に読んでいただければ嬉しいです。 『弟子規』

    • 四書五経『大学』が語る無為自然

      能登半島地震で亡くなられた方々へ衷心よりお悔み申し上げます。 また、被害に合われた皆様にはお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧を心からお祈り致します。 四書五経と弟子規、学ぶ順序 四書五経と呼ばれる経典(優れた教えの書物)があります。四書は『大学』『論語』『中庸』『孟子』、五経は『易経』『詩経』『書経』『礼記』『春秋』からなります。これらは東洋思想においてのセット書籍で、学び、そして生きる上で入門シリーズの位置づけです。 一方で『弟子規』は、本格的な学びの前に

      • 「無為自然」は何もしないこと?

        無為は積極的?! 無為自然(むいしぜん)という言葉を聞いたことはありますか?調べてみると以下のような解説が多いです。 ありのままに生きること 「無」の道に従って一切の作為を捨てること 作為がなく、宇宙のあり方に従って自然のままであること 努力は精一杯するけれど、最後の結果は天に任せるあり方 んー、分かるような、分からないような。今回はこの無為自然について詳しく解説します。 まずはじめに「無為」とは動作や作為が無いことではありません。そもそも東洋思想は「何もしな

        • 徳を積むとはなにか?

          勉強と学習の違い 幼い頃に「なんで勉強しなきゃいけないの?」と思ったり、親に尋ねたことがある人も多いと思います。この「勉強」という言葉、実は「気の進まないことを無理に励むこと」という意味なんです。ではみずから行う勉強は何という?それは「学習」です。勉強と学習、あまり使い分けていないかも知れませんが、その意味は大きく異なります。そして「学」と「習」にはそれぞれ意味があります。 知らないことやわからないこと、面白いと思うことに対しての好奇心が、学びの原動力です。そして物事の

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        弟子規研究所、開設。

          なぜ徳が必要なのか?

          これまで、東洋思想について色々な角度から記事を書いてきましたが、前回、ようやく「道徳」について書きました。徳を積むことは大事といわれていますが、その理由や動機はみなさんそれぞれあると思います。 今回は徳を学び、行動するための3つのポイントをご紹介します。皆さんが「おおお!私もやってみたい!」と思ってもらえたら嬉しいです。 1.「心のアップグレード」を先に 前回の記事で「内境」について以下のように書きました。 「内境」を重んじる理由について少し補足します。簡単に表現する

          なぜ徳が必要なのか?

          東洋思想はサステナビリティを越えて

          滴水之恩、湧泉相報 東洋思想では「恩返し」の教育を重視します。「滴水之恩、湧泉相報(一滴の水の恩に、涌き出る泉のような大きさで報いる)」という言葉があります。恩返しは、いただいた分を返すだけではありません、数倍返しなのです。 皆さんは最近どんな恩返しをしましたか?私(車)も以前に「あれだけ手伝ったのに、その後どうなったかの報告すらない!」と怒られたことがあります(怒っていただきありがとうございます…)恩返しどころか報告すらしていないですもんね。今でも覚えているほど、当時の

          東洋思想はサステナビリティを越えて

          弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!③

          前回①と②で、子育てプランのポイントとして德才兼備(先に徳育、次に才能開花)、自己認識を深め、人間関係構築力を高めることについて書きました。最終回の③では、学びの順番と徳育の実践を示す『大学』と『弟子規』をもとに、人間関係構築力についてさらに深堀りしてみます。 子育てパパ支援と女性活躍推進の関係 私たちがパパをサポートしていきたい理由として、パパたちがより一層子育てに参加し、子供によりよい影響を与えてもらいたいという考えがあります。さらには、ママの子育て&家事への理解や、

          弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!③

          弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!②

          前回、子育てプランにおいて大切なのは「德才兼備(先に徳育として自己認識力や人間関係構築力を高め、その次に才能開花)」という順番が大切と書きました。またパパの子育てに重要な人間関係として「五倫(5つの関係性)」をご紹介しました。今回は自己認識を深めることについて書きます。 【復習】徳育の実践と学びの順番を示す『大学』 儒学の基礎学習においては「四書五経」という、今でいうシリーズ本がありますが、その中で一番最初に読むべきとされているのは『大学』です。「明明徳」「親民」「止於至

          弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!②

          弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!①

          え?パパなの? はい!パパを主軸に支援します! 在宅勤務で子供と過ごす時間が増えたパパが多いと思いますが、皆さん子育てに対しても色々な思いがあるのではないでしょうか? ママの愛は何が起きても、どんなに大きく転んでも、無条件に暖かい居場所です。一方でパパの愛はどこまで高く、遠く挑戦できるか、世界の大きさにウキウキするか、希望に満ち溢れています。パパの愛が足りないと子供は羽ばたかず「井の中の蛙、大海を知らず」になってしまいますので、パパも子育てにおいて、すごく大事な役割と責任

          弟子規研究所は子育てを頑張るパパを全力で支援します!①

          サステイナブル・デベロップメントを実現する東洋思想の方程式

          ようやく暑さがひと段落しましたね。前回は、よい子育ての基礎として「孝敬」という考え方や「智慧」について書きました。 今回は、この「孝敬」と「智慧」のつながりや、私たちが目指す社会ついて書いてみます。 孝敬の実践例 私(手計)は朝起きたら田舎に住む母へ、毎朝「おはよう」LINEをしています。3日に1回は電話で声を届けます。ひと月に1回は帰省します。近くもなく遠くもなく電車で2時間ほどです。どれも用件は特にありません。 子供たちは私の帰省に付き合うときも付き合わないときも

          サステイナブル・デベロップメントを実現する東洋思想の方程式

          弟子規による子育て

          みなさん暑い中、いかがお過ごしでしょうか?今回は『弟子規』の全体構成のご紹介と、子育てへの活用方法について書きたいと思います。 弟子規の由来 『弟子規』とは『論語』を源流とする教育書で、18世紀頃に誕生しました。出だしの言葉比較をすると、似ていることがよく分かると思います。 弟子規の全体構成 『弟子規』の出だしを総叙といいます。最も重要なこと、要綱です。それぞれの言葉の大まかな意味は以下の通りです。 弟子 --- 学生(学びを請う人) 規 --- 規範(判断基準&

          弟子規による子育て

          東洋思想から見るヒューマンキャピタル

          ヒューマンキャピタルという黒船? 仕事をしていると、さまざまな外来語を耳にします。我々のいる人材開発関係ではWell-being(心身と社会的な健康)、Psychological Safety(心理的安全性)、Self Awareness(自己認識)などが最近よく取り上げられます。この分野では日本より米国の方が先進的という共通認識があるのか、目新しい外来語に対して無条件の畏怖や礼賛があるような気がしています。 しかし、ふと考えてみると、これらは「絶好調」「侃侃諤諤」「致知

          東洋思想から見るヒューマンキャピタル

          父の日に考える父子教育

          皆さんは、子供の成長において何が一番重要だと考えますか?理想を挙げればキリがありませんが例えば、「幸せな一生を過ごしてほしい」や「健康に育ってほしい」などが多いかと思います。一方で親である私たち自身に目を向けてみると、健康でしょうか?幸せに過ごしている事でしょうか? 幸せになりたいと思っていても「何が幸せなのか?」「何をしたらその幸せを感じるのか?」「本当にそれが幸せなのか?」このような問いに対する所謂「幸せの定義」は明確に存在しているわけではありません。 私たちがここで

          父の日に考える父子教育

          わたしたちと東洋思想の出会い〜本分を見つける旅〜

          車文宜と東洋思想 東洋思想と聞くと難しそう、理解できない、習得に時間がかかる、学ぶ量が膨大、などという声が聞こえてきそうです。それならまだしも、はむしろ嫌いでした。 私が東洋思想にハマったのはイギリスへの留学がきっかけでした。当時最先端とされる西洋式研究など素晴らしいものを探しに行ったのですが、実はそこで見聞きしたものは幼い頃から聞いたことがあるような事が多く、徐々に意識が東洋に返っていきました。そして、自分の中で東洋思想を嫌っていた原因は、単に勉強不足による誤解だったこ

          わたしたちと東洋思想の出会い〜本分を見つける旅〜

          母の日に考える女性活躍

          数年前にあるYouTubeが話題になりました。米国のAmerican Greetings社が制作したCM動画です。 「世界で一番過酷な仕事」と書かれた求人広告を見て応募してきた人が、面接官とWeb面接を行います。そこで文字通り過酷な仕事の内容が告げられていきます。この仕事内容は現場総監督であり、週7日24時間労働で休日は無し、医学や財務などの複数の知識が求められる。。このような厳しすぎる労働条件に求職者たちは「ありえない」「クレージーだ」と呆れますが、そのあと誰もが予想しな

          母の日に考える女性活躍

          東洋思想から考えるジェンダー論③

          このテーマは3回に分けて書いていて今回が最終回です。第2回で西洋では社会的性別(gender)と生物的性別(sex)を「分けて」捉えていることを紹介し、さらにはその歴史的背景や細分化について書きました。 最終回では、東洋ではなぜ社会的性別と生物的性別を「分けない」のか、さらに古来東洋の性別論では実は女性の方が偉大とされてきた!ということについて書きます。 東洋はなぜ、はっきり分けないのか? そもそも東洋の「分けない」考え方は、紀元前8世紀ごろに書かれた『易経』の中心思想

          東洋思想から考えるジェンダー論③