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何故メタバースでイベントをするのか〜自己顕示欲と承認欲求と〜

毎日のようにcluster内ではイベントが開催されています。中には現実も含めて初めてイベント(言い換えればライブやパフォーマンスやステージに立つこと)をする人も多いように見受けられます。ではなぜ、わざわざイベントというカテゴリーの中に自ら飛び込むのでしょうか。2024年3月1日にオープンした新たなサービスRium、世界最大のプラットフォームVRchatでも同じようなことが言えるでしょう。

フレンドと一緒にトークイベント

まずはやっぱり好奇心?

僕の場合は音楽関係ですのでそこを突き詰めるには、何故まず音楽を始めたのか、に起因すると思います。
人それぞれ理由はあるでしょう。楽しそう、あの曲を弾きたい、モテたい、誰かに誘われて、暇だからetc…。暇つぶしも含めて、無意識にでもその行動の先に見える未知のものに期待してるのではないでしょうか。

続けることの意義

中には辞める人もいます。それは面白くないとかの負の感情、もしくは期待値を超えなかったせいかもしれません。時間、生活に由来する妨げもあって、続けたくても続けられなかったせいかもしれませんね。

いずれにせよ続ける選択をした人は何故続けるのか、楽しいとか、充実感とか何かしらのポジティブな感情からだと思います。

そこから生まれる自己顕示欲と承認欲求

ステージに立ち続ける以上、避けては通れないと思います。いくら楽しくって充実感があれども、人前に出ることによって生まれる理由の一部になっているのではないでしょうか。もし否定する人がいるのなら、本当に微々たる気持ちも存在しませんか?では何故イベントを続けるのですか?告知するのですか?集客を求めるのですか?楽しむだけなら家で一人でも出来ませんか?全く、ゼロであると言いきれますか?僕はノーと答えます。
多くの人に見てもらいたい、その願望は成功すれば快楽となりさらに追い求め、失敗すれば、例えば誰々よりは上手いけれども集客は少ない、という比較から生じる負の感情が、さらに燃料となり焚き付ける人もいれば、燃え尽きる人もいるのではないでしょうか。当たり前でもある、勝者には美酒を、敗者には泥水の世界です。

自己顕示欲や承認欲求があることが悪い事のように報じられるようになったのは、SNSや動画投稿サイトによるものであるでしょう。迷惑系やネタ系等、名声を得るためには手段を選ばない人たちがいるせいか、そのイメージが先走りし悪いイメージが先行しているように感じます。
ではそもそも、それらはどういった意味なんでしょうか。お互いに深く密接しており、そしてそれを理解することで僕らの意識も変わってくるかもしれません。

歌うのは楽しいし、見てくれる人が多いと感情がブーストされる

自己顕示

社会心理学者アーヴィン・ゴフマンは、日常生活を舞台に見立て、人々が他者との相互作用の中でどのように自己を「演じる」かを分析しました。そしてそれを自己顕示と関連付けたようです。

印象管理: 印象管理は、他人に与えたい印象を操るための戦略的な自己提示のプロセスと彼は述べています。人々は、望ましい自己イメージを作り出すために、言葉選び、服装、行動、表情などさまざまな手段を用います。これは自己顕示欲と深く関連しており、個人が社会的承認を得るため、または特定のアイデンティティを構築や維持をするために必要だと論じています。。

演劇的アプローチ: ゴフマンの理論では、人々が日常生活の中で行う自己提示を、劇場の演技に例えることで知られています。彼は、「前面」と「背面」の舞台の概念を使用して、人々が公の場ではある種の役割を演じ(前面)、プライベートでは異なる様子を見せる(背面)ことを説明しました。

彼の理論は、人々が社会的環境内でどのように自己を構築し、提示し、認識されるかについての理解を深めるように感じました。彼のアプローチは、自己顕示を単なる虚栄心や承認欲求よりも複雑な社会的なものとしての見方を与えたといわれています。

承認欲求

人間性心理学の生みの親とも言われるアブラハム・マズローの理論における承認欲求は、彼の有名な「自己実現理論」の中で重要な位置を占めています。この理論では、人間の基本的な欲求が五段階に分類され、一つの欲求が満たされると次のレベルの欲求が現れるとされ、その上でも承認欲求を第四段階と位置づけ、基本的な生理的欲求、安全の欲求、そして所属と愛の欲求に続くものとしています。マズローによれば、承認欲求には二つの重要な側面があるようです。

自己承認、自己尊重、自己評価:これは、自己肯定、自信、能力、達成感など、自分自身に対するポジティブな評価と関係しています。個人は自分のスキル、成果、価値を認識し、それによって自尊心を高めたいと望んでいます。この側面は内面からの承認であり、自己実現への道を開く基礎となります。

他者からの承認、尊敬、地位:これは、他人から見られる自分、すなわち社会的承認や評価に関連しています。人々は他者から認められ、尊敬され、価値があるとみなされたいと望みます。これには、友人、家族、同僚、そして一般社会からの肯定的なフィードバックが含まれます。

承認欲求の満足は個人の発達において中心的な役割を果たします。彼によれば、この欲求が適切に満たされると、人々は自己の能力と価値をより深く理解し、自尊心と自己効力感を発達させることができます。このような肯定的な自己認識は、より高いレベルの欲求である自己実現への道を促進します。

逆に承認欲求が満たされない場合、人は劣等感、無力感、自己価値の低下などを感じることがあります。このような状況が持続すると人々は不安、うつ、社会的孤立などの問題を抱えることになり、これがさらに自己実現の追求を妨げる原因になると論じています。

善か悪か

一般的に三大欲求と呼ばれる「食欲」「睡眠欲」「性欲」と言うのは生物学的であり、社会的な要素は加味されていません。人間は社会的な生き物です。そしてその社会的欲求といえる自己顕示欲や承認欲求を誰が悪と捌けるのでしょうか。必要な人間の作用と呼べるのではないでしょうか。問題なのは行き過ぎた行動、やり方であって、その欲求自体を裁くことができるとは思いません。

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