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【連載小説】夏の恋☀️1991 シークレット・オブ・マイ・ライフ⑧

 おめ子(仮名)というのは実在の人物で、この人とはそのまえに一悶着あった。

 小3のときも同じクラスで、おれは普通に接しているつもりであったが、おめタコというあだ名をつけ、おめタコ、おめタコ、タコおめ子、と呼んでいると、ある日授業中にこの女は急に「もういやだ!」といって、教室の後ろに行って床に突っ伏し、わんわん泣き出したのである。

 おれは何がなんだかわからなかった。

「JJ、あなたがあやまるのよ」と担任の先生にいわれ、えー、おれ?と思ったが先生に言われたので、床に突っ伏しているおめ子の隣に座って、「ごめん」と言った。

 おめ子は、いやいや、というふうに首をふった。

「ごめんなさい」

 いやいや。

「めんご」

 いやいや、いやいや。

 おれは途方に暮れた。先生は普通に授業を進めている。クラスメイトがうしろをふりかえって、にやにやしてこちらを見ている。女も男も。

 授業がおわりかけのころ、ようやくおめ子は許してくれた。おれたちは席に戻った。

 だからおめ子には頭があがらない。今も(同じ高校)。

 おめ子はそれを知っていて、いろいろ、命令みたいなことをしてくる。別にいいけど。ちょっといやだな。

本稿つづく

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