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【連載小説】夏の恋☀️1991 シークレット・オブ・マイ・ライフ㊱ 

 1991年7月18日(もくよう日 赤口)←日記に書いていた。というか日記です。

🌞⛅

 水曜日の夜。きのう(7/17)のことね。

 学校から帰るときに、大学院出のセンコーにばったり会った。

「さようなら」とおれ。

「さようなら」と大学院。

 すれ違って、すぐ「Hくん」ときた。

「はい」と振り返った。

 桃子を見て、なんだこのヤンキー、やば、みたいな顔をしておれに目をうつし、

「あなた、数学はきらいですか」と言う。

「えっと、苦手です(おまえのせいでな笑)」

「そっか。数学はね、おもしろいよ」

「はあ」

「よくね、社会に出て、なににつかうんだ、みたいなことを言われるけどね(笑」

「はあ」

「まあ、社会に出てもやくにたつし、現にわたしみたいにね。数学をべんきょうしたからこの仕事に就けたわけだし」

「はあ、そうですね(証明おわり)」

「でも、なによりも、数学はおもしろいんだよ」

「はあ。はい(そもそもわからんのだが、何が分かって何がわからないかもわからない。純粋にわからないのよ)」

「べんきょうね、するといいよ」

「はい」

「じゃあね」

「はい、どうも」

 大学院は歩いていった。なんとなくすこし寂しそうだった。

「だれあいつ」と桃子。

「数学のせんせー」

「なんか、やなやつっぽい」

「そうだね」

 と言ったがおれは、あいつはあいつで、悪いにんげんではなさそうだな、と思った。

 この日は桃子を家に送り、おれも帰った。桃子と明日、泊りに行こうと約束をした。学校がおわって、行こうというか、桃子の父親の、別宅(アパート)に泊まろうという話になった。

 あんなでかい家に住んで、別宅もあるのか。なんで?

 金持ちのやることはわからん。

 つぎの日、学校がオワッテ、桃子の父親の別宅に行った。引っ越しまえなので、部屋にはほとんどなにも、ない。

 アパートというから団地みたいなものだとおもっていたら、おれの家よりちょっとでかいぐらい。同じぐらいかな。

「家賃いくらなんだろ」ときくと、

「知らん。シーラカンス」

 と、桃子が言った。

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本稿つづく 

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