見出し画像

葬送のフリーレンってわざとガバガバ世界観で作られているんだよね。

皆さんご存じ、今をときめく葬送のフリーレン。あの鬼滅の刃に並ぶべく、小学館の威信を賭けて作られたこのアニメだが・・・

正直世界観が適当すぎないか? と見ていて百回くらい感じさせられる。

例えば一時期SNSでも話題にあがったハンバーグという単語。
その語源はドイツのハンブルクという都市の名前ということらしく、「じゃあフリーレンの世界にもハンブルクがあるんだな?」なんて野暮なことは言わないが、実際に見ていて「うーん」という気分にさせられた。

料理も出来るフリーレン様可愛い 

一般的にファンタジー作るに当たっては出来るだけ現実感を取り除くのが良しとされている。いきなり身近なワードが出てくると全く別の違う世界なのに、まるで自分たちのいる現実と地続きであるかのように見えてしまう。

漫画もアニメももちろん創作物なわけで、上手な嘘をついてもらえないと違和感が生じて物語に入り込めなくなる。
そういう意味ではハンバーグという単語を出すのは一般的には悪手だ。

またそれに関連して「バースデープレゼント」の概念が広く浸透しているのもいまいち納得がいかない。
そもそも現実世界の、かなり身近な文化を取り上げていることがかなり没入感を下げてくる。
そして『バースデー』があるならこのフリーレンの世界では日付の概念がかなり普及しているということになる。すなわち近代的な曜日感覚や社会通念があるということになるが、その割に人々の文化や活動などはよくある中世~近世のファンタジー世界レベルだ。

まだ丸すぎない頃のフェルンちゃん

そのほかにも違和感の例には枚挙に暇がない。
フリーレンの口にする「○○の魔法」というのは個別具体的なものが多く、人智を超えた驚異的な技能の割に全く洗練されていない。そもそも魔族という相当の脅威が存在する(していた)世界観でそんなしょーもない魔法が多く存在できる余裕があるのだろうか?

またもし仮に魔法を扱える人間が極めて少ないのであっても、こんな超然的な技能が存在しうるなら、もっと近代的で現実よりも高度な一般化された技術やインフラがあって然るべきではないのか? 
などなど。
別にあら探しをしようとしているわけではないのだが、流し見していても様々な『ガバ』を発見してしまう。

結構表情も多彩なフリーレン様

だが逆にこれほど売れている人気作品において、このガバがうっかり生み出されているとは考えにくい。
つまりこれは作者がわざと作っているものなのではないかと考えた。

言い換えるならファンタジーには御法度の身近な要素・文化をあえて入れることで想定する読者層にリーチしているということ。

葬送のフリーレンは週刊少年サンデーという少年誌に掲載されている。
これの読者層は文字の読めるようになった小学生~高校生が中心だ。(実際は大人が読んでいることのほうが多いかもしれないが…)

(週刊少年コナン&フリーレンの姿)

そしてこの学生世代は複雑な内容よりも単純な構造の作品を好む傾向がある。これはいわゆる読解力の不足から来るものだ。
大人が好むような複雑な感情の交差する難解な作品より、バトルをして勧善懲悪的に敵を打倒する物語やわかりやすい恋愛物語などが好まれる。

つまり明確なターゲティングのために、葬送のフリーレンは小中学生が咀嚼しづらいファンタジー世界をあえて簡素化させている。

だからこそのハンバーグだし、ハッピーバースデーだし、テンプレ的な生臭坊主だし、かき氷にはシロップがあるし、服だけ溶ける薬もあるし、ジャンボベリースペシャルなわけだ。


昔のデパートの高層階のレストランで出てくるデザートみたいだぁ・・・

ただ蛇足として、この低年齢層へのアジャストは正直今の売れ行きにはほとんど関係していない気がする。

フリーレンが売れているのは『フリーレンという主人公の独特のキャラクター性』と、『勇者一行の中で時間の流れに取り残されたエルフを主役におくというコンセプト』と、『明るい世界で物語なのに一種寂寞とした雰囲気を常に醸しているという不思議な読み味』

これらが交差して素晴らしい一つの作品になっていることで、爆発的なヒットをたたき出しているのだと推測する。

というわけでフリーレンはよく練られているチープな作品です、ってことで。


この記事が参加している募集

#アニメ感想文

12,194件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?