未来のカラス ⑩
ある月夜の晩
ガンッ
乾いた土地に銃声が響いた。
ウェッジは仲間の申し出を受けて
銃で殺したのだ。
まだティーンの女の子だった。
眠っている彼女の頭を撃った。
近くで眠っている仲間たちは
確かに銃声を聞いたが、
誰も見に来る者はいなかった。
翌日、誰かがいないのことで
死んだ人間を確認するのだった。
彼女もまた望まれない妊娠の子で
施設とは名ばかりの塀の中にいた。
カウンセラーのいないドラッグストアで
信じられないくらいのケミカルな薬を
処方され、
毎日のように飲み、
やがて自分をコントロール出来る時間が
少なくなっていった。
少女は薬が切れると
泣き、笑い、暴れ
その内何も食べなくなり
微かに自分がまともになってる時間をみつけて
ウェッジに頼んだのだ。
もう、いつでもいいから
寝た時を見計らって撃って欲しい。
ウェッジ、ありがとう、大好きよ
あなたは天使なのね
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