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未来のカラス 19

ジェシーの森のプワゾンの花は
花びらが落ちると同時に香りをなくした。


あんなに主張の強い花なのに。


セシルは銃をウェッジには渡さなかった。

まだ信頼できないからだ。


それでも2人で生活し、助け合って生きていた。


森のことは全てウェッジが知っているので
頼らざるを得ないところもあった。


一方ウェッジは口数も最初の頃と比べ
だんだん減り、
眉間にはいつもハの字のシワが寄っていた。


そんなウェッジをセシルは
ただ横目でチラッと見るくらいだった。


夜も更けてくると、
森の冷たさは増した。

街の気温は相変わらず0度近い
とても外出するような気候ではないが

今日の夜は10度を下回っているくらいの
心地よさだ。

月明かりは、花と木々の隙間を縫って
消えそうなろうそくくらいの
明るさをもたらしてくれる。


そこに静かにたたずんでいたセシルを
ウェッジが見たとき、
ハッとした。

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