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vol.71 秋の声【手紙の助け舟】

喫茶手紙寺分室

秋の気配がそこはかとなく漂ってくる今日この頃、いかがお過ごしですか。
喫茶手紙寺分室の田丸有子です。

「そこはかとなく」は好きな言葉です。おぼろげで曖昧。はっきりしないことを意味しますが、夏から秋に移り変わる頃、空気の中にそこはかとない何かが少しずつ満ちて秋になる気がするのです。「そこはかとなく」は漢字で「其処は彼と無く」と書きます。「そこに彼(誰)がいるのか判別できない」という意味になります。

それに似た言葉で「彼は誰時かはたれどき」があります。意味は「彼が誰だか暗くて分からない頃」で、夜明けの時間帯を指します。
一方、夕暮れを黄昏たそがれと言いますが、これも古くは「誰そ彼たそかれ」から来ている言葉です。意味はほとんど同じで「彼は誰だろう(暗くて顔が分からない)」。
昔の日本は、明け方も夕暮れ時も自然の光だけで相当暗かったと想像します。さぞかしおぼろげな雰囲気だったに違いありませんね。

秋分

さて、二十四節気は「秋分」(9月23日〜10月7日ごろまで)です。
先日散歩の途中で彼岸花が咲いているのを見かけました。葉を茂らせることもなく、ある日突然ニョキニョキと茎が天に向けて真っ直ぐに伸び、そのてっぺんに蕾がつきます。花開き、咲き終わるとようやく葉っぱが出てきます。赤い花がよく知られていますが、白、ピンク、黄色やオレンジ色もあるようです。お彼岸が近づくタイミングで咲く不思議な形の花、みなさんの身近にも咲き始めていることでしょう。

私が9月中旬から下旬に手紙をしたためる時に使っている季節の言葉はこんな感じです。

・真紅の彼岸花が列をなして出迎えてくれる道を歩いてお墓参りしてきました。
・「暑さ寒さも彼岸まで」という言い伝え通り、残暑も本格的に息をひそめてほしいものですね。
・台風がひとつ、またひとつと過ぎ去っていくたびに秋も深まっていくようです。

9月も下旬ですから「野分の候」「清秋の候」「秋分の候」なども使います。
みなさんが体感している秋を言葉に乗せて季節感あふれるおたよりを書いてみてください。

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田丸有子(たまる・ゆうこ)|喫茶手紙寺分室 note ライター
手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。
切手に描かれている美術品や絵画の実物を鑑賞するための美術館巡りが趣味。目下ステイホームで始めたベランダガーデニングに夢中。
blog: 手紙魔Yukoのお手紙ライフ


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