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vol.47 趣のある日本語で伝える【手紙の助け舟】

こんにちは。喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
やわらかな春風が心地よい季節、みなさま、いかがお過ごしですか?

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今年の桜は咲き揃う様が今まで見てきた中でもとりわけ美しく感じます。
東京の桜は、5分咲きぐらいの日が数日続いた後で一気に花開き満開となりました。それに例年なら時期を違えて咲くはずの種類の違う桜も同時期に重なるようにして咲いたので、まさしく桜花繚乱の風情を楽しみました。

桜の表現いろいろ

桜を表現する日本語は本当にたくさんあります。その一部をご紹介しましょう。
・花曇り…桜が咲く時期の暖かい薄曇りの日のこと
・花冷え…桜が咲く頃に寒さが戻ること
・花筏…水面に散った花びらが連なって流れていく様子
・花の浮橋…水面に散った花びらが浮橋のように集まっている様子
・桜吹雪…桜の花びらが風に舞い散る様子
・こぼれ桜…咲き満ちてこぼれ落ちるように花びらが散る様子
・桜雨…桜の花が咲く頃に降る雨のこと
・花霞…満開の桜が遠目に霞がかかったように見えること
・桜びと…桜の花を眺める人、お花見をしている人

どの表現にも風流な響きがあり、日本人の桜に対する並々ならぬ情が感じられますね。

練馬花散策桜篇2

私は響きの良い言葉や美しい言葉に出合うとすぐに使ってみたくなります。その時、違和感のある文章にならないようにするために特に気をつけていることがあります。

実態のない言葉は使わない

せっかく美しい表現を使っても、自分の言葉としてある程度は咀嚼されていないと違和感が残ってしまいます。想像力が及ばない言葉を使っても空虚に響くだけ。そのような文章だと相手にもうまく伝わりませんよね。桜の表現にしても、その情景を実際に見た経験があり、書き手がしっかり心に思い浮かべられるかどうかが大切だと思うのです。

手紙好きとしては、春は時候のあいさつを考えるのも楽しい季節です。お花見に出かけたら、その景色にぴったり合う趣のある日本語を探して、ぜひ綴ってみてください。でももし、言葉にできないほどの心震える風景に出会えたなら、その時は今の自分が持ちうる精一杯の表現で伝えるのが一番です。

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田丸有子(たまる・ゆうこ)|喫茶手紙寺分室 note ライター
手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。
切手に描かれている美術品や絵画の実物を鑑賞するための美術館巡りが趣味。目下ステイホームで始めたベランダガーデニングに夢中。
blog: 手紙魔Yukoのお手紙ライフ

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