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こそだて

息子が学校に行っている間にいつものとっ散らかった部屋を掃除して、しばしゴロンと寝っ転がってみる。

あぁ、呑気で純粋な10歳のいい部屋だ。

最近ふと思った。あの時期、旦那さんと出会い確実にそれまでとは違うフシギな運命が動き出していて、このイギリスという国に流れに身をまかせるようにやって来たのは、あれはひょっとして息子に出会うためだったんじゃないか?と、そう思ったのだ。

すべては息子という魂をこの世に生かすために、わたしに起こった激動の出来事。息子というこの世でたった1人の人間、唯一無二の魂を育てさせてもらうために、そもそもわたしは生まれてきたんじゃないか?とさえ自分の人生をさかのぼって思い返し合点がいった。それほど人生に起こるすべてのことはつながっていてちゃんと意味があるように思うのだ。

イギリスでは来年9月には中学生となる息子はこれからどんどん成長し、自分の人生を切り開いていくだろう。幼児期はお尻だって毎回拭いてやるのが母ちゃんの仕事だったし、スプーンを電車車両に見立て楽しくご飯を食べれるよう口に運んでやったりもしたものだ。小さかった頃いつも握っていたあの手もいつしか恥ずかしがってもう握ることはなくなった。
異国の地で初めての育児を経験し、これまで息子とはいつでも一緒に歩いてきた気がしている。だけど息子の人生は母親のわたしのものではない。

わたしはこれからもどんなことがあろうともいつでも心は息子のすぐ側に寄り添っていたい。しかし息子の毎日が「成長と自立」へ向かうのと同時に、わたしはちょっとずつちょっとずつ息子から離れ、そっと後ろにさがって見守っていこうといま思っている。

あの小さかった手を離したように、これからは時にはあえて目も離そう。でも、心はいつも側に寄り添って。そして毎日1ミリずつ老いに近づいていくわたしは、あの赤ん坊だった息子を肌身離さずおんぶして育てさせてもらったことを一生誇りに思い、ありがとうと感謝をし、手放すべきものは手放して、あとは誰のものでもない己の人生をしっかりと歩いて生きていこうとそう思っているのだ。


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