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10年目の虹

「おじいちゃんはね、バーにいるお客さん全員にお酒を奢るような人でね、それもお金もないのに奢ってさ、そのツケは全部おばあちゃんのところに来ていたんだからまぁ大変だったのよ。豪快だったけどさ、でも優しい人だったよ。」

家族で晩御飯を食べているときに、どういう成り行きか父についてのエピソードをふいに息子に語った。16歳になる息子は炒飯をたいらげながらニコニコと聞いていた。赦しの後の思い出は懐かしくて愛おしい。家族に父の、特に破天荒なエピソードを伝えるときは、みんな笑って聞いてくれるものだから、なんだかこっちまで得意げになっちゃって、「お父さん、やっぱり人生とは無駄なことなんて一つもないのだねえ」とでも天国の父に言いたくなる。

家族みんなで父のことを確かにこの瞬間思っていたその時、窓の外を見ると虹がかかっていた。

「わあ!虹!おじいちゃんが聞いてたんかね?」

虹を見るのは久しぶりでとても嬉しくなった。条件反射的にパチリと写真に収めた途端その虹はすぐに消え去った。

あぁ!もうすぐ父の命日じゃないかとはっとする。数えてみると今年は父が旅立ってから10年目になるのだった。

昨日から思い立ちはじめたこの新しいマガジンだけど、さっそくとても嬉しいことがあった。2年前に私のセッションを受けてくださったMさんからメッセージが届いたのだ。あれからnote.もずっと読んでいてくださっていたという。

私は父の死を通じてある時から精神的な学びにベクトルが向き、人間の複雑さや割り切れなさや、分離と調和という両方について一体どう折り合いをつければいいのか、ここイギリスの地で自己探求をしてきた。晩年の父が人を寄せ付けず怒りと孤独に生きていた姿があまりに強烈で私の生き方へもテコ入れを投げかけてきたのだ。

人は人に生かされる。痛いほどの学びだった。人間関係というのは多分人生における最大の幸福の源であり、また最大の痛みの源でもあるのだろう。今、私はもう孤独を感じない。「わたしはあなたであなたはわたし」が理解できるステージにやっと来れた気がするから。自分のことを知り、魂としての自分で自立しはじめることができたから。Mさんみたいに、私の声を受け止めてくれる人が今日もそこで朝に夕にそれぞれの人生を一生懸命に生きているから。

生きることとは、落ち込んで出口が見えなくて泣きたくなる日もあるけれど、それでもやっぱり誰かや、自然界の何かと心が通い合う瞬間が訪れるから、やっぱり鮮やかで美しいものだと思うのだ。Mさんからいただいたメッセージをシェアしてみます。(Mさんご承諾ありがとうございます)


ご無沙汰しております。
2022年にマジカルジャーニーでお世話になったMです。

彗星のはじめのお話のnote読みました。

普通のことを書きたいというくだりで胸があつくなり、(すごくすごくいいなと思います。普通のことこそ普遍的なことなのでは??と)いつかお便りしようと思っていたその時は、今ではないかと思った次第です。

Masaeさんの星の話はいつも身につまされたり、深く納得したり、言葉にできない思いはこれだったのか、気がつくことばかりで、たくさんの刺激があって、楽しく、

ああ・・・私だけじゃなかったと楽になったり、大丈夫と励まされることしきりです。

一度しかお会いしたことがないのに、

この感覚Masaeさんにならわかってもらえるかもしれない。と要所要所で厚かましく思ったりしている次第です。

見ていただいた、星のこと、ほんとうに今になってなるほどと思うことがあり、感じ入っています。(身の回りのことを楽しむとかいつくしむとか)

書籍、エッセイ、ノート変わらず楽しみにしています。いつも美しい写真にも言葉なきよきものをいただいています。

本当にいつもありがとうございます。

またいつかお話できるように、
楽しんで生きていきます✨

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