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北日本で出会ったサンマ料理

今回は、釧路市で食べたサンマについて、話します。

釧路市、根室市では、8月16日からサンマ漁が始まりました。2024年初めての水揚げ量は2023年の約140倍になりました。とはいえ、2023年の初水揚げ量が465kgなど、2019年以降が1トンを切るほど深刻だったため、回復したとは言い難いです。さらに、資源保護のため、サンマの漁獲枠が決められています。2024年は、約11万トンまでしか取ることができません。これは、2018年の漁獲量を下回ります。しかし、2023年が2.4万トンだったため、漁業の影響は小さいと考えられます。

近所のスーパーマーケットでは、1尾238円で販売されていました。昨年の同じ時期より150円ほど安くなりました。とはいえ、1尾100円でお釣りが来ていた10年前に比べると、倍以上の値段はします。

大漁にサンマが獲れたとしても、燃料費高騰により、コストがかさみます。サンマが高級魚に変化しつつあることには変わりません。

なぜ、サンマがとれなくなったのか?

サンマの南下ルートの変更が主な原因となっている。

サンマは、冬、南の海域で誕生し、夏にかけて千島列島付近まで北上します。秋、2009年までは日本列島に沿って南下していました。2010年代以降、日本列島から離れて南下するようになりました。

農林水産省によると、近年のサンマ不漁の原因は、日本列島付近に流れる親潮の弱体化の影響が考えられます。親潮の弱体化により、道東、三陸沖の海水温が上昇します。サンマは、冷たい海を好むため、より水温の低い沖合を南下するようになりました。しかし、サンマのエサとなるプランクトンが三陸沖より少ないです。その結果、生育にも影響しました。

各地の漁港のサンマ料理

道東地方、東北地方の太平洋側、紀伊半島沖では、サンマの水揚げが盛んに行われます。根室市がサンマの水揚げ量日本一です。釧路市、厚岸町もサンマは水揚げされます。東北地方では、岩手県大船渡港、福島県小名浜港などで、サンマの水揚げが盛んです。

釧路のサンマ料理

サンマの塩焼きは、秋を感じられます。胃腸がなく、排泄物が溜まらないため、内臓も気にせず食べられます。

しかし、サンマ料理は、塩焼きだけではありません。今回、水揚げの盛んな釧路市、いわき市で、さまざまなサンマ料理を味わいましたので、紹介します。

糠サンマ

サンマが大量に獲れる道東地域の太平洋側で、サンマの保存食として誕生しました。サンマを糠漬けすることにより、保存性を高めるだけではなく、タンパク質が分解されてアミノ酸に変わり、旨味も増します。サンマについている糠を取り除いて、焼くだけです。塩分いらず、大根おろしを乗せて食べれば、ちょうどいいです。

和商市場内の食堂で、1匹320円で食べられました。

さんまんま

幣舞橋のたもと、釧路フィッシャーマンズワーフMOO内にある、魚政というお店の名物です。醤油ベースの甘辛いおこわ→大葉→秘伝のタレに漬けたサンマの順に乗せ、タコ糸で縛り、固定してから、サンマを焼きます。押し寿司というより、焼きおにぎりです。焼きたては香ばしいです。冷めると、一体感が増します。大葉が清涼感をもたらします。名脇役によって、気づいたら無くなっているほど夢中になって完食していました。さんまんまについて、詳しくは、下の記事をお読みください。

サンマのつみれ汁

魚政では、サンマのつみれ汁が1杯360円で販売されていました。つみれは、サンマを粗目のミンチにし、ショウガを効かせて成形しています。醤油味の澄まし汁に、野菜もたっぷりとれます。お代わりしたくなる一杯でした。

サンマの刺身

サンマはアニサキスの影響を受けやすい魚です。かつて、生サンマは、漁港の近くだけでしか食べられませんでした。しかし、輸送技術の発達により、10年前から、サンマが食べられるようになりました。しかし、スーパーマーケットの刺身、脂の乗りがよく、トロのように味がします。

小名浜港のサンマ料理

ポーポー焼き

福島県浜通りに伝わる郷土料理です。さんまのハンバーグです。サンマを炭で焼くときに、サンマの脂で火が「ポーポー」と燃えあがることから「ポーポー焼き」と呼ばれるようになったと言われています。

サンマをたたいてミンチにして、味噌、ショウガ、片栗粉などと混ぜてから、ハンバーグのように、成形して両面じっくり焼きます。

ジューシーさではなく、さっぱりした懐かしさも感じられる味でした。

ちなみに、小名浜港にある水族館、アクアマリンふくしまでは、サンマが飼育展示されています。サンマの飼育は、アクアマリンふくしまが世界で初めて成功しました。サンマの完全養殖に向けた取り組みの一環です。

今回の記事の見出しの画像は、アクアマリンふくしまで飼育されているサンマです。サンマは俊敏な魚でした。ピントが合わず、不鮮明になったことをご了承ください。

サンマを含む、小名浜港を楽しんだ話は、こちらをお読みください。


近年の気候変動の影響は、海の幸にも影響を及ぼしていることがわかりました。保護活動によって、サンマは、回復するのでしょうか、それとも、高級魚に変化してしまうのでしょうか?

参考文献


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