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沖縄本島にある2つの水族館のちがい【前編、美ら海水族館編】

結論

  • さまざまな世界一、世界初を目指し挑戦している水族館。

  • 世界最大級の水槽をもち、巨大なジンベイザメ、マンタが名物。

  • マナティ、オキゴンドウなど海洋哺乳類も飼育している。


沖縄本島にある2つの水族館とは?

沖縄本島には、2つの水族館があります。「美ら海水族館」と「DMMかりゆし水族館」。美ら海水族館は日本有数の来館者数を誇り、マンタ、ジンベイザメが目玉です。一方、DMMかりゆし水族館は、水槽とテクノロジーの融合が話題です。

2つの水族館は、全くの別物だと両方行って分かりました。DMMかりゆし水族館側が、なるべく被らないように配慮したように思いました。前編では、沖縄県北部、本部半島の西側にある「美ら海水族館」に行った話を書きます。

今回の参考文献

すべてにおいて"美ら海と違うもの"を目指したんだなということが伝わってくる。

イラストで読む日本の水族館五十三次、41.DMMかりゆし水族館

このフレーズを確かめるため、美ら海水族館とDMMかりゆし水族館に両方訪れました。

美ら海水族館

沖縄本島北部、本部半島の国営沖縄記念公園海洋博覧会地区内にあります。那覇空港、国際通りから高速バスを利用して行くことができます。2022年の来館者数は322万人で日本一です。(ただし、何回も来館している方の数も含んでいるため、本当に322万人が行ったとは限りません。)ジンベイザメのモニュメントがお出迎えします。モニュメントの背後は琉球石灰岩というサンゴ礁、貝殻が堆積してできた岩で、優しい黄土色の色、独特の模様があります。

1972年、アメリカから沖縄が返還されたときの記念事業として、1975年、 本部半島で国をあげて海洋博が行われました。初代水族館は「国営沖縄記念公園水族館」として、海洋博開催時に建てられました。アーチ状のブロックがいくつも積み上がったような構造が特長でした。老朽化により、背後にある美ら海水族館に移り、取り壊されました。アーチ状のブロックの構造だった旧水族館の一部は、モニュメントとして美ら海水族館の東側に残っています。

美ら海水族館の東側に見られる旧水族館の一部

2002年11月1日、美ら海水族館が誕生しました。建物は4階建てで海岸に向かって下がっていく傾斜地をうまく利用しています。エスカレーターで下っていくと、青い海に浮かぶ伊江島が目の前に浮かびます。海も近くなっていきます。

目の前に広がる伊江島

目の前の海水をくみ上げて巨大なろ過装置で小さな砂、ゴミなどを取り除いてから水槽へ注がれます。館内は、浅瀬〜水深700m付近の沖縄の海を再現しています。黒潮、サンゴ礁、琉球海溝沿い、西側にある深海という沖縄の海洋自然を再現しています。

美ら海水族館は、朝早く行くとオトクな理由

  • 比較的空いていて、ゆったり水槽を眺めることができる。

  • 上から巨大な水槽を眺めることができる。

  • 健康診断のため、ジンベイザメ、マンタのエサやりが見られることもある。

沖縄のサンゴ礁を再現した珊瑚の海

珊瑚の海は、生きたサンゴ、サンゴにすむ熱帯魚が観られます。自然光を直接取り込むため、屋根をかけていません。目の前の海から新鮮な海水を絶えず供給することにより、サンゴの飼育に成功しました。サンゴは、多様な生態系の構築の役割を果たしています。美ら海水族館では、サンゴ礁にすむ魚たちを観察できます。

サンゴ礁広がる水槽

シンボルは黒潮の水槽

黒潮の海は、建設当時、世界最大級の水槽でした。幅35m、高差10m,奥行き27m、厚さ60.3cmで水圧や魚の衝突による衝撃で水槽が割れてしまうことも防いでいます。巨大な水槽の前で、座って観られるシート、お茶をゆったり楽しめるカフェもあり、非日常の空間にいざないます。

美ら海水族館の看板といえば、大きなマンタとジンベイザメ。美ら海水族館では、27年間飼育され、世界最長の飼育記録を更新し続けています。甚平模様をしていることから、ジンベイザメと名付けられています。体長8m、体重6tあり、飼育されている個体の中では日本最大です。

エサを豪快に食べるジンベイザメ

マンタは、4mほどの大きさがあります。マンタは、スペイン語で布、コートの意味からきており、海を泳ぐ様子は大きなマントをなびかせて飛んでいるスーパーマンでした。マンタは「オニイトマキエイ」、「ナンヨウマンタ」の2種類がいて、美ら海水族館では、ナンヨウマンタ2匹(ノーマル、ブラックマンタ)、オニイトマキエイ1匹飼育されています。2種類のマンタは、お口周りの色か白いか黒いかのちがいが、一番見分けやすく、お口周りが白い個体がオニイトマキエイ、黒い個体がナンヨウマンタです。ブラックマンタは、ナンヨウマンタ、ノーマルマンタの2種類がいます。ジンベイザメ、マンタのゆうゆうと泳ぐ姿が楽しめます。ヒメイトマキエイというマンタの半分程度の小さなエイもいます。

マンタとジンベイザメ
下から見るとマントを広げて飛んでいるように見える。

黒潮の海は、午前中、上から眺めることができます。1階の専用エレベーターで3階へ行きます。上から見る姿も圧巻です。バックヤードツアーも定期的に行われています。

真下を通るマンタ

餌やりの時間が一番の見どころ。ジンベイザメが垂直に立ちながら餌を食べる光景は圧巻です。

マンタも、掃除機のようにエサを吸い込んで、こして海水を吐き出します。ジンベイザメもマンタもアミ類(小さなエビ)を食べます。

海洋哺乳類の飼育

オキちゃん劇場では、オキゴンドウというクジラがショーをします。イルカとクジラのちがいは、大きさです。日本では、体長4mを基準にして、4m以上をクジラ、4m未満はイルカと呼ばれています。

マナティは4匹飼育されており、美ら海水族館の他に、香川県にある新屋島水族館のみ観られます。丸々とした身体、ゆったりとした泳ぎで時間を忘れるほど癒されます。

世界初の快挙を狙って研究

美ら海水族館では、世界初の快挙を狙いつつ、水中生物について知りたいため、日々研究されています。現在の目標は、ジンベイザメの出産。過去の実績は、マンタの出産、イルカの人工尾びれの開発などが挙げられます。詳しいことは、別の機会で書きます。

他にも、サメ博士の部屋、沖縄の深海の水槽もあり、沖縄の水環境について学びました。


前編では、美ら海水族館について書きました。後編では、DMMかりゆし水族館について書きます。2024年1月28日19時に公開します。後編を読むと、美ら海水族館とDMMかりゆし水族館がまったく別の水族館であることが分かり、両方の水族館に行きたくなることでしょう。

参考文献

JAZA(日本動物園水族館教会)発行「日本動物園水族館年報」

田島木綿子、山田格総、「イルカとクジラの定義」『海棲哺乳類大全:彼らの体と生き方に迫る』、緑書房

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