パンケーキとホットケーキのちがい
結論
パンケーキとホットケーキの関係は、パスタとスパゲティ、ソーセージとウインナーの関係と同じ。
パンケーキの日もホットケーキの日もある。
どら焼き、お好み焼き、クレープもパンケーキの仲間である。
2024年2月13日はパンケーキの日
欧米では、春にイースターというキリストの復活を祝う日があります。毎年、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日がイースターです。
英国では、四旬節というキリスト教信者がキリストが復活するまで待つ40日間の好きなものを断つ期間がありました。暦上、2月の水曜日から断食が始まります。四旬節に入る前に、余っている卵、牛乳を消費するため、パンケーキを食べるようになったと言われています。英国では、四旬節の前日を告解の火曜日と言い、教会に行ってこれまでの罪を告白し、スッキリさせてから、断食前の最後の食事を祝います。
現在では、断食の風習はほとんど見られなくなりました。しかし、パンケーキを食べる伝統が今も残されています。イースターは毎年、日程が変わるため、パンケーキの日も毎年変わります。
パンケーキに似た見た目をしているホットケーキも、実は記念日があります。
毎年1月25日はホットケーキの日
小枝、キョロちゃん、ホットケーキミックスなどで有名な森永製菓が制定しました。1月25日は、1年で最も冷え込む頃で、北海道旭川市では、1906年に国内最低気温の-41℃を記録しました。ホットケーキの日には、寒い日にこそホットケーキで温まってほしいという思いを込められています。
森永製菓のHPを読んでいると、ホットケーキの日をPRするために、「旭川市に行ってホットケーキを食べると、本当に温まるのか?」という面白い実験をやっていましたので、下にリンクを載せます。
パンケーキとホットケーキのちがいはなんですか?
調べる前は、上のようなイメージがありました。しかし、それは本当なんでしょうか?今回は、パンケーキとホットケーキのちがいについて、考えました。
パンケーキ
ロングマン現代アメリカ英語辞典でも、広辞苑と同様のことが書かれています。しかし、この定義は本当なのでしょうか?
欧米では、パンケーキはパン、シリアルなどと同様に主食として食べられていたため、あまり甘くありませんでした。ベーコンやオムレツなどの主菜、サラダもついたワンプレート定食みたいに食べることもあります。
すなわち、パンケーキは、スイーツだけではなく、食事としても楽しめます。さらに、食物アレルギーのある方でも食べられるように特定の材料を抜いたり、代わりの材料を使用してもパンケーキは成立します。
そう考えると、卵、砂糖、小麦粉、牛乳を使う必要はなく、デンプン質の粉と液体を混ぜれば生地は完成します。甘くなくても、パンケーキと呼べます。
唯一欠かせないことは、丸く平たい形。パンケーキのパンは、pan(英語でフライパン)から来ています。フライパンで焼くから、パンケーキと呼ばれるようになりました。フライパンでなくても、同じく平たい鉄板の上で焼くこともあります。見た目はほとんど変わらないので、許容できる範囲だと思います。
パンケーキの新定義
オーストラリアで食べた忘れられないパンケーキの思い出
オーストラリアに滞在していた頃、川沿いにあったフェリーの港の近くのカフェ(お店の名前は忘れました。)のパンケーキの味が忘れられません。バニラアイスクリームのような見た目のバター。甘さが控えめで、メープルシロップをかけなくても美味しいです。2枚あるので、1枚目は、何もつけずに半分食べて、半分バターのみつけて食べました。残り一枚は、メープルシロップをつけて食べます。
ホットケーキ
広辞苑によると、ホットケーキ=パンケーキ。作りかた、材料はほぼ一緒です。一方、森永製菓の見解によると、ホットケーキは、スイーツ向けに甘めの味付けがされ、厚く焼かれたもの。一方、パンケーキは、薄く、食事向けに甘さひかえめに焼かれたものを指すとしています。先ほど述べたパンケーキの定義に基づくと、ホットケーキは、パンケーキの一種ということになります。イタリア料理で言うと、スパゲティはパスタの一種、ドイツ料理で言うと、ウインナーはソーセージの一種であることと同じです。
ホットケーキの歴史
1923年、東京のデパートの食堂のメニューに「ハットケーキ」登場し、1931年にはホーム食品がホットケーキミックスを日本で初めて販売しました。温かいケーキだから、ホットケーキと名づけられました。また、パン(ブレッド)と混合しないように、造語としてパンケーキではなく、ホットケーキと名づけたとされています。
岩田屋珈琲
JR鎌倉駅東口から鶴岡八幡宮へ導いている通りを小町通りといいます。小町通りは鎌倉の観光スポットで、多くの飲食店、お土産屋さんが並び、休日を中心に活気があふれています。岩田屋珈琲は、鎌倉駅から小町通りに入って3分ほど歩いた場所にあります。
鎌倉を訪れるたびに岩田屋珈琲のホットケーキを食べようと思っていました。しかし、同じことを考えている方が多く、常に並んでおり、断念し続けていました。開店直後を狙った結果、ついに、並ばずに入ることができました。
岩田屋珈琲のホットケーキは、注文を受けてからじっくり焼くため、深煎りのアイスコーヒーなどドリンクを片手に30分程度、席でくつろげます。緑に囲まれたテラス席が特に人気です。
30分ほど待つと、厚さも焼き色も均一に焼かれたホットケーキが2段構造で登場します。何もつけずに食べると表面カリカリで中はフワフワです。甘さ控えめで、しつこさを感じません。ホットケーキの表面のサクサク感を保つため、別皿に1枚ずつ移してから、バターを塗ったり、シロップかけます。甘さ控えめであっという間にたいらげてしまいます。
パンケーキの仲間は実は多い。
パンケーキは、フライパンや鉄板など平たいところで丸型に焼けば、成立するのであれば、クレープ、どら焼き、お好み焼きもパンケーキと呼べるのではないでしょうか?
クレープ、ガレット
厚さ2,3mmの極薄のパンケーキ。フランス発祥で、「絹のように滑らか」という意味があります。小麦粉で作った生地を鉄板に敷き、トンボを使って薄く丸く延ばして焼きます。材料も見た目もパンケーキと変わりません。トンボは、野球観戦でグラウンドを整備するときに使う道具を小さくしたものです。
鎌倉駅の南側にあるコクリコは、鎌倉市農協連即売所に行って野菜を買う前に寄ることが多いです。クリーム、フルーツを盛りつけた甘いだけのものではなく、ツナ、ポテトサラダ、レタスなどを巻いて軽食としても成立します。
小麦粉から蕎麦粉に替えれば、フランス料理のガレットになります。ちなみに、ガレットもフランス発祥でクレープより先に誕生しました。
どら焼き
どら焼きは、皮を小豆餡を挟んだ和菓子。どら焼きといえば、ドラえもんの好きな食べ物。ドラえもんの作者、藤子・F・不二雄先生の出身地、高岡市でも、どら焼きが多く販売されていました。
どら焼きも、皮は小さなパンケーキに見えます。原料は卵、小麦粉、砂糖、ふくらし粉(ベーキングパウダー)で、パンケーキと同じです。どら焼きは、見た目が打楽器の銅羅に似ていることから名づけられました。
最近では、カスタードクリームや栗、イチゴを挟んだものなどバラエティに富んでいます。
お好み焼き
お好み焼きもパンケーキの一種と言えます。小麦粉、卵、出汁または水を加えて作った生地と、キャベツなど好きな具材を混ぜ合わせて鉄板やフライパンの上に丸く広げて作ります。生地をクレープ状に焼いてから好きな具材を乗せて蒸し焼きにするスタイルもあります。バターやシロップではなく、ソース、青のり、鰹節、マヨネーズをかけて食べます。具だくさんなパンケーキです。
大阪、広島でそれぞれ誕生したお好み焼きの歴史について、以前書いた記事をお読みいただけるとわかります。
今回は、パンケーキの日にちなんで、パンケーキとホットケーキの違いについてお話しました。
パンケーキは、でんぷん質の粉と液体を混ぜ合わせて平たい調理器具の上で焼いた料理です。ホットケーキだけではなく、クレープ、ガレット、どら焼き、お好み焼きもパンケーキの仲間であるという結論に至りました。
他にも、パンケーキの仲間だと思う料理がありましたら、コメントお願いします。
オマケ 近日公開予定の新noteアカウントについて
新noteアカウントでは、今回の記事のように、似たワードについて違いを掘り下げたり、なじみのある言葉の定義を一度疑って再定義します。それだけではなく、書店で立ち読みしているとトイレに行きたくなる「青木まりこ現象」のように、身近な現象に名前をつけたり、「私の辞書に不可能という文字はない(ナポレオン)」など偉人の名言、「猫に小判」などのことわざ、「四面楚歌」など四字熟語について、なぜ、誕生したか背景を妄想するなど、言葉について触れていきます。新アカウント作成の大きな目的は、言葉の定義づけです。
参考文献
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