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Health Gorilla

前回バーチャル臨床試験についてウェアラブルデバイスの利用や取り組む企業等をまとめました。これまでにまとめてきた他企業やその業務にも当てはまることですが、デジタルヘルスはデータへのアクセスが前提になります。Health Gorillaはデジタルヘルス開発者が製品に統合する一連のFHIRベースのAPIを使用して臨床データへのアクセスを最適化することに取り組んでいます。

Health Gorilla 概要

2011年に創業されたInformedikaから2014年に改めてHealth Gorillaとして創業、同時にTrue Venturesというベンチャーキャピタルから120万ドルのシード資金の調達から始まりました。

初期システムにはすでに170万ドルが費やされ、50万以上のヘルスケアデータを有していました。そこで9,000以上の研究施設と35,000を超える放射線センターのデータを繋げ医師や臨床医に提供することで事務処理の効率化に取り組み始めます。

その後2015年には同じくTrue Venture主導のでプレシリーズA240万ドルの資金を調達します。このデータプラットフォームは一般患者にも開放されており、下図のように診察の予約や分析結果の共有なども可能になっている様です。

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2017年にはAppleと連携し血液検査結果のようなデータを含めユーザーの医療情報をiPhoneに集約させる取り組みが報じられました。

2018年4月にはプエルトリコプライマリケア協会ネットワーク(PRPCAN) のデータプラットフォームとして採用されました。プエルトリコ国内では当時技術, 財政リソースが限られており、医療機関でもその半数は電子カルテへのアクセスがない状況にあった為、Health Grillaを介した医療システムや病院、患者、LTC施設、災害避難所などに関連する臨床情報のインフラ整理が行われました。これによりプエルトリコの100万人以上の住民の医療情報が430以上の医療施設からアクセス可能になりました。

2019年、The U.S. 21st Century Cures Actが米国内で施工され医療情報へのオンラインアクセスが推進されていましたが、医療システム間でのデータ転送ではその構造の違いから不一致が多く発生し標準化に至りませんでした。そこで同年、CommonWell HealthAllianceという全国の医療データへのユニバーサルアクセスを作成する医療およびテクノロジー組織の非営利団体に属し、そのネットワークを実装することで単一のオンボーディングからより幅広いエコシステムへのアクセスを可能にしました。

2021年3月にシリーズBで1,500万ドルの資金調達に成功し、その資金を元に保険会社や公衆衛生機関に新たにシステムの導入が進められています。8月にはForMotivという保険会社等に向けてユーザーの行動予測を行う企業とのパートナーシップを発表しています。

企業での導入例

上記パートナーシップの他にも例としてHealと云う主に恒例のメディケア対象の方々に遠隔医療やドクターハウスコールサービスを低コストで提供している企業も2020年にパートナーシップを結んでいます。Health GorillaのPatient360というプラットフォームが事前に患者の治療履歴を知る用途で用いられている様です。

Virta Healthと云う糖尿病等の代謝性疾患の治療法を提供している企業でも、それぞれの患者の検査結果値を管理する際にHealth Gorillaのlab networkを介し人為的エラーと時間の削減を実現しました。

これらに加えOscar, Virta, Dr. Chrono, K Health等の企業がHealth GorillaのAPIを導入しています。

競合

以上の様に活躍の場を広げるHealth Gorillaですが、競合としてHuman APIと云う企業が挙げられます。同社は医療施設, 研究施設, ウェアラブルデータ等28,000以上のデータソースからの個人の健康データを一括で統合しており、医療機関や生命保険会社等との情報共有プラットフォームとしても機能しています。それらの情報を元に治療や臨床試験のマッチングまでも行われていますが、Health Gorillaで取得されたデータはその母集団レベルの傾向と相関、複数の研究施設からのテストの一元化、これらの記録のリアルタイム評価が行われています。このデータの可視化と分析レポートが強みと考えられます。

最後に

今回は前回のバーチャル臨床試験運用の話から医療データの相互運用プラットフォームを提供しているHealth Gorillaについて調べまとめてみました。今後増え続けるであろうデータが正確かつ効率的に運用される仕組みは医療現場、患者、研究の全てに於いて安全, 信頼, 技術の向上に大きく貢献すると考えられます。それに伴う市場規模の成長予測などに役立てれば幸いです。

読んで頂きありがとうございました。


弊社ではウェアラブルデバイスのデータを活用した研究のデータ取得から解析までのサポートをしております。
TechDoctor株式会社:https://www.technology-doctor.com/



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