顧客からの不具合報告にカスタマーサクセスはどう立ち向かうべきか
現場向け動画教育システム「tebiki」という BtoB 向けの SaaS (Software as a Service)を開発しているエンジニアの渋谷です。
SaaS では顧客を支援するための CS(カスタマーサクセス)担当者が従事することが一般的ですが、CS 担当者はエンジニアではないことが多く、かつ不具合のないシステムはほぼありません。
さらに、最近は Web 会議で定例ミーティングを行っているところがほとんどではないでしょうか。
つまり CS 担当者は エンジニアリングが分からない、かつ Face to Face の支援もできない状態で、顧客が直面した不具合を解決する必要があります。
これってめちゃくちゃ難易度が高いですよね。
今回はそんな状況に立ち向かうためのアプローチ方法を、エンジニアの視点から CS 担当者にお伝えしたいと思います。
レイヤーを意識する
SaaS は殆どの場合、顧客のデバイスとサーバーが相互に通信することでサービスが成り立っています。
この通信は次の 1. から 4. に向かって伝播するのですが、不具合報告がある場合、その層(レイヤー)のどこかで問題が発生しているということです。
1. ブラウザ or アプリ
2. ネットワーク
3. PC
4.サーバー
このレイヤーの順番を意識せずに闇雲に確認していこうとすると、数ある選択肢のすべてを試さないといけなくなってしまいます。
なので、まずはどのレイヤーまでが OK でどのレイヤーからが NG かをざっくりと絞り込んでいくことが大切となってきます。
ユーザーに近いレイヤーから潰していく
次にどのレイヤーまで到達しているかを確認していくわけですが、顧客に近いレイヤーから問題の仮説を立てて潰していくのが効率的です。
というのも、顧客に近いレイヤーは影響範囲が小さいものの、顧客自身に確認してもらいやすいからです。
逆に顧客から遠いレイヤーは影響範囲が大きく、誰の環境でも発生するので CS がサポートをしているタイミングでは不具合が発覚することは少ないのです。
つまり「1. ブラウザ or アプリ」「2. ネットワーク」の順に確認していけばよいということです。
レイヤーごとの質問例
では、問題の仮説を潰すための質問をしていきましょう。
質問はできるだけシンプルに、平易な用語を使うことが基本です。
それぞれのレイヤーに合わせた質問の例をいくつか挙げてみました。あくまで一例ですが、確認すべき内容の雰囲気は伝わるかと思います。
1.「ブラウザ or アプリ」
質問:どんなアイコンからブラウザを立ち上げてますか?
→ 何のブラウザを使っているか。
「ブラウザは何ですか?」は伝わらないと思ったほうがよいです。
2.「ネットワーク」
質問:Yahoo は見れますか?
→ インターネットが繋がっているか。
3.「PC」
質問:PC を再起動することはできますか?
→ 再起動をしていないせいで挙動がおかしくなったりしていないか。
4.「サーバー」
質問:どのページで問題が発生していますか?
→ データに不整合があるか。
アクション:こちらでも同じ動作をしてみますね。
→ 再現性のあるプログラム上の不具合かどうか。
解像度を上げる
Web 会議では質問が上手く伝わらないシチュエーションも多々あります。
これは CS 担当者と顧客の認知の解像度が異なると発生しやすい傾向にあります。
その場合は角度や言い方をいろいろ変えてしつこく確認するようにしてください。
SaaS のサービス提供者は IT リテラシーが高く、顧客との解像度の違いに気づきにくいので、意識的に解像度を合わせる努力が必要です。
ワークアラウンドを提案する
ここまで試してみて、どうしても問題を解決できない場合があります。
その場合でも代替案で問題を回避できるのであれば、顧客にとっての現時点での困りごとは解決できます。
10分費やして分からなかったら、さっさと切り替えて顧客の困りごとを解決する方法を模索しましょう。
最悪「こちらで登録しますね!」という代替案であったとしても、顧客の問題を解決することに変わりありません。自信を持って案内しましょう。
対応した結果は共有する
対応が完了したとしてもそれで終わってはいけません。顧客の誤解だったりプログラムの問題であったりと不具合の原因は様々ですが、発生した不具合は SaaS にとってはサービス改善の種です。
問題が解決した・しないに関わらず結果は必ず記録し、チームに共有しましょう。
共有することで分かりにくい UI が改善され、不具合のないサービスに少しでも近づけるはずです!
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以上、エンジニアがどういう観点で不具合の原因にアプローチしているかをまとめてみました。
サービスごとに細かい質問内容は変わると思いますが、CS 担当者の方にとっての基本的な方針の参考になれば幸いです。
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