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創作の原点、『借りぐらしのアリエッティ』。

”I‘m 14 years old, I am pretty...“

2010年の夏、この曲と共に、小人の少女が草むらから顔を出したとき。
私の創作人生は幕を開けました。

ものすごい衝撃でした。

自然の中を駆け回る小人。
彼女の、借りぐらしの冒険。
それを彩るハープの音色。

全てが、私の大好きなものでした。


「借りぐらしのアリエッティ」とは

ご存知の方も多いと思いますが、念の為。
主人公であるアリエッティは、人間のものを少しずつ”借りて”、人間の屋敷の床下で暮らしている小人の家族の女の子です。

ある日アリエッティは、屋敷に療養に来た少年・翔に姿を見られてしまいますが、小人のことをもっと知りたい翔は彼女と交流しようとします。

それに対し、アリエッティは「これ以上私たちに関わらないでほしい」というのですが……。

翔とアリエッティの花畑での会話は、とても深い内容でした。

滅びゆく種族といわれる小人たちと、心臓の病気で死ぬかもしれない少年・翔との対比が、悲しくもあり美しくもあり。
本来あってはならない、小人と人間の交流が生み出す一夏の物語が、観る人の胸を打つ作品です。


「頭の中の物語を書いてみたい」

映画館で観ることは出来なかったけれど、
絵本を買って、作品の世界に入り込みました。
原作があることを知って、図書館に走り、全冊読みました。

身の回りにあるものでおしゃれを楽しむ姿も素敵。
部屋も野原みたいで、私の理想そのものです。

そして、「映画にも続きがあればいいのに」と思ったのでした。
映画のラストでは新天地を目指して終わるアリエッティ達ですが、原作のアリエッティ達はそれからも波瀾万丈なのです。
小人の仲間達にも会うことができ、人間との関わりをアリエッティなりに考えることも多かったのではと記憶しています。(14年も前なので、また読み直したいところです)
特に最終巻の「小人たちの新しい家」のラストで、小人の仲間が言った
「本当にぼくたち安全かねえ?いつまでも?」
が、頭から離れなくなったのです。

この言葉に対して、私なりの答えを書きたい。
それが、当時まだ幼かった私の思いでした。
家にあった白い表紙の、本のような電話帳を引っ張り出してノートがわりにして、私は映画の続きを書き始めました。

物心ついてから、ずっと頭の中にとめどなく流れていた物語。
それを最初から最後まで、設定をちゃんと考えて、一冊の本のように構成して書いていこう。
初めての試みでした。

完成に2年ほどかかった記憶があります。
アリエッティが新しい世界で仲間たちと出会い、自分が破った『人間に見られてはいけない』ということについて考えて。
翔との、人間との記憶を大切にしまい込んで、大人になっていく話だったと記憶しています。
「安全でなくても、それでも私たちは日々を精一杯生きていく」。
これが、先ほど書いた小人の仲間の言葉に対する、私の最終的な答えでした。

色々あってその本は、もう手元にありませんが、
二次創作の中で完結できた唯一の作品でした。
どういう話の流れだったかは、今も心の中にちゃんとあるので、
いつかまた、原作を読み直せるようになったら、ざっと書き出してみたいです。

アリエッティは、理想の自分

元気で冒険心あふれる、ちょっと向こう見ずなところがある少女。
それまでの常識に疑問を持ちながら、自分なりに行動し、自分なりの答えを見つけていく姿に、勇気をもらっていました。
アリエッティは理想の私そのものだったのです。

だからこそ、映画の後の、引っ越したその先でも幸せな姿を見たかったなぁと思い、自分で書いてしまったのだと思います。

翔との出会いは、アリエッティの家族にとっては大変なことであり、それでアリエッティのお母さんはお屋敷のお手伝いさんに捕まってしまうのですが。

お手伝いさんのハルさん、怖い。
樹木希林さんの演技が素晴らしいです。

翔のおかげで、助け出すことに成功します。

人間だからできること
小人だからできること
それぞれの良さが光った救出劇でした。
それでもアリエッティのお母さんは人間を恐れる。
それが小人にとっての”普通”なのですね。

それでも、アリエッティにとっては本当に大切な経験であり、
小人の歴史を大きく変えた物語だったのだと思います。
ある意味でアリエッティは、数を減らしていく小人たちの先駆者的な考えを持つ女の子だったのかもしれません。
大人にはきっとできない、常識をひっくり返した出来事でした。

自分で道を切り開く大切さを学びました。


翔は、暗闇を抜けた私

また、翔にとっても、アリエッティとの出会いはまさに奇跡的なものでした。
心臓病で、手術を間近に控え、もう死ぬのだと諦めていた翔。
それが、アリエッティに出会って。
「私たちは簡単に滅びたりしないわ!!」と叫ぶ彼女の言葉に、
小さい身体でも懸命に今を生きるその姿に心を打たれて、
生きる希望を取り戻すことができました。

12歳とは思えない、大人びた印象です

今記事を書いていて思ったのは、翔の姿はまさに、生きるのを諦めていた私だったのだということです。
私は翔のように心臓病があったわけではないけれど、
毎日ずっと「生きていたくない」「もう死ぬかもしれない」と思っていた時期がありました。
これまでのことが辛すぎて、心がキャパオーバーだったのです。
でも、翔にとってのアリエッティのように、
暗闇を照らす光のような、
元気や勇気をもらえるような出来事や存在に少しずつ出会っていったことで
今、こうして記事を書いて、オリジナルの小説を書ける私がいるのです。

アリエッティとの出会いは、翔にとって夜明けのようなものだったのかもしれません


自分らしく生きていれば、必然がやってくる

アリエッティにとっての翔のように
翔にとってのアリエッティのように
必然的に起きる出会いというものがあると、私は思います。

この映画の主題歌を歌っているセシル・コルベルさんも
スタジオジブリのことが好きで、ご自身のCDを送ったところ
ちょうどアリエッティの音楽を探していたところで、採用されたという話を聞いたことがあります。

でも、その必然を引き寄せたのは。
アリエッティが自分らしく、危険なものも多い外の世界を走り回り、
翔が、12歳らしくない大人びた自分を持ち続けたから。
そんな気がするのです。

アリエッティが、心配性のお母さんの言うとおりに外に出ていなかったら、
”借り”に憧れていなかったら、
翔との出会いはなかったかもしれないのです。

翔も、病気のためだったとはいえ、静かに一人の時間を好み、
小人を見たということを誰にも話しませんでしたが、
もしそうでなかったら、アリエッティとの絆は絶対に生まれなかったでしょう。
そして、彼女から生きる希望をもらえることはなかったと思うのです。

屋敷の主人である貞子さんが、小人を今も探していることを知っても。
お手伝いのハルさんに、小人を見たかと聞かれても、
絶対に見たと言わなかったから。
ある意味、周りに流されることなく、自分を貫いたからこそなのではないかな、と思ったりします。

そして、セシル・コルベルさんも。
「自分のことを知ってもらいたい」と行動を起こさなければ、
アリエッティの世界を彩るあのケルト音楽、ハープの音色は
生まれなかったかもしれないのです。

アリエッティは、いわば「必然が生んだ奇跡の物語」だと思います。
そしてその必然は、自分らしさ、自分の思いを貫いたからこそ
引き寄せたもの
だと思うのです。


アリエッティの続き話が、今に繋がっている

幼い私が書いた、映画の続き話『アリエッティの新しい家』。
設定を考えて、原作を読み直して、
何度も書き直して完成させたことが、
今に繋がっていると私は思うのです。

あの時の私が、頑張ってくれたから、
小説が読めなくなるくらい頭がぐちゃぐちゃになってしまった私でも
今回、創作大賞で小説を書くことができたのではないか。
そんなふうに感じます。

それは過去の私が、自分らしさを貫いて、
周りに笑われてもへこたれずに書き続けてくれたからです。

そして、暗闇の中で苦しんだ私も。
心の奥にきっとあった、「生きたい」「幸せになりたい」という気持ちを
本能的にでも気づいて、どんなに苦しくてもギリギリで死なないでいてくれたからこそ、こうして今の私に繋がっているのです。

思えば、死にたいくらい辛い時でも、
小説を書くことができなかった時でも、
私の頭の中には常に物語がありました。
「物語を作るのが大好き」
それを忘れないでいたからこそ、
「自分で作った小説を完成させる」と言う奇跡を引き寄せられたのかな、と思います。

天敵のはずの猫とすら分かり合えた
アリエッティは本当にすごい、と思います。
それも翔のおかげなのです。

誰かにとってのアリエッティになりたい

幼い頃、アリエッティの姿に感銘を受けた私。
でも、いろんなことがあって、どちらかというと翔の立場を経験した私。
でも、翔のように苦労したからこそ、わかるようになったことも多々あります。
だからこそ、今度は人の痛みに寄り添って
少しでも希望だったり、勇気だったりを分けることができたらなぁと思うのです。
そのために私はこれからもどんどん幸せになりますし、
アリエッティのような素敵な女性を目指すのです。

自分の意見をちゃんと言う勇気も、ほしいところです


終わりに

私が完成させることができた長編小説はこちらになります。

裏話などは別にこちらにまとめてあります。ぜひ!!


また、よろしければアリエッティの原作もぜひ読んでみてください!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました✨





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