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タバコ部屋コミュニケーションの本質価値は、親近感?

前回の記事で、タバコ部屋が快適なコミュニケーションの場だったと言いました。単に楽しいということだけではなく、仕事の相談や情報収集、いわゆる根回しなども、なぜかはかどる…今回は、それはなぜなのかを考えてみます。(必ずしもタバコ部屋である必要はありません。似たシチュエーションである、コーヒーブースやランチの買い出しなども同様です。想像しやすい場所に置き換えて聞いてください)。

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そもそもタバコ部屋へ行くのはどんな時でしょう。物理的なニコチン切れということもありますが、大半の人は気分転換やちょっと一息、という気持ちかと思います。心にゆとりがある時は、人の話も聞きやすい。自然と「お疲れさま。最近どう?」といった会話につながりやすいのではないでしょうか。それが一つ目。

二つ目は、”ながら会話”です。前回記事で上げたリモートワークでのコミュニケーションの場では、対面(会議 / ザツダン)であっても、テキスト(業務やりとり / 分報)であっても、「目的的」だとしました。目的が明確なため、集中しつづけるということを暗黙のうちにしています。頭の整理と、ある種の緊張感が常に必要です。

一方タバコ部屋の場合は、話すこととタバコを吸うこと、この二つの行為を行ったり来たりします。会話が消えたら吸えばいいし、煙を吐いたら話せばよい。間が持ちますし、落ち着いて考えを伝えやすいです。(コーヒーブースであれば、コーヒーを飲んだり会話したり…)

三つ目は、”あなただけ感=特別感”です。ながら会話のリラックスした状況では、取り繕わないホンネの話もしやすくなる気がします。「実は・・」「ちょっと聞いてくれますか」など、面と向かうと切り出しにくいような打ち明け話であれば尚更です。

もっと言うと、あなただけに話す=私だけに話された、という関係は、信頼感の表明とも言えそうです。例えばタバコ部屋で「実は、こんなことでモヤモヤしているんです・・」と部下に打ち明けられた上司は、多少なりとも「信頼されているな」と嬉しい気持ちにならないでしょうか。

そもそも人間は、自分との共通点があると、相手に親近感を覚えやすい生き物だそうです。心理学にラポールという言葉があります。

「ラポール」とは関係性の状態を表す心理学用語で、互いを信頼し合い、無意識に感情の交流が自由にできるほど心理的安全性がある状態のことを指します。 出典:日本の人事部

タバコ部屋でラポール形成・・というと大げさかもしれませんが、相手と自分に共通点があるという事実は、無意識のうちに関係性のアドバンテージになる可能性はないでしょうか。何というか、バーベキューをすると、初対面でも仲良くなってしまうというような。

目的的なコミュニケーションとは違い、タバコ部屋に代表される「目的が曖昧」なコミュニケーションの場は、無意識のうちに職場に溶け込み、信頼形成を伴うチーム内の潤滑油になっていたのではと想像します。

リモートワークが普及する今、こうしたつながりは薄れていくのでしょうか。薄れるかもしれませんが、オンラインだからと諦めることが良いとも、私は思いません。以前チームワーク総研ではウェブ会議ツール上に、いつでも誰でも出入り自由な「ラウンジ」という名のフリースペースを設置していました。

ラウンジ設置までせずとも、①ちょっと一息、②ながら会話、③”共通点”を通じた、あなただけ感=特別感。これをオンライン上で再現できれば、通常のリモートワーク時よりも少し違ったコミュニケーションがとれるかもしれません。例えば夕方など一息つける時間に少し、お茶を共にする。話しやすさ聞きやすさ、また関係性の質に変化があるかもしれません。 

リモートワークというステージが進化の過渡期にある今、より良い関係性を促すために、いろいろな方法論を試していきたいですね。

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