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東京で、一人でがんばってるよ

田舎から東京に来て、数年が経ちます。
たまに同郷の友達や、別の地方出身者と飲んだりしていると「今、東京で頑張ってるんだよな」と思ったりします。

一人暮らしの東京は、夜中にふらっと外に出てもいいし、住んでいる駅の周りにも、本当になんでもある。同じように一人の人も多いから、飲み屋もどこでも気軽に一人で行ける。
一人の人同士が集まって、みんなであーでもないこーでもないと他愛もない話をする。
普段はみんな、仕事の顔をして、なんとかギリギリで頑張っている。だからみんなで、俺はこんな頑張ってて、私はこんな大変な事があって、とお互いに伝える事で、ストレスを吐き出して、少しづつ昇華させる。心を弛緩させる。
普段の張り詰めた感じを解きたくて、今日はいいでしょって口ぐせのように言って、何杯も飲んだり、頼みたいものも、頼みたいだけ頼む。だから飲みの後のラーメンがうまい。普段は無茶しないで、バランスをとっているから。

カラオケで最初は覚えた流行りの歌を歌ったりするけど、結局昔の歌を誰かが入れだすと、次々にみんな「あの頃」の歌になる。
サビをみんなで大声で歌っていると、一瞬だけあの頃が蘇って、何となくちょっと涙が出そうになる。
HジャングルwithTのWOW WAR TONIGHTがかかると、みんな肩を組む。それだけで最高の時間。

楽しい時間が過ぎ去って、一人暮らしのマンションに帰ると、酔っていても、それまでの騒がしさとのギャップで少し寂しくなる。
今、ここに一人で暮らして、仕事もこなして、生きてるんだなと思う。
実家が東京にないから、もし仕事を辞めたら、東京に滞在せずに、帰るかもしれない。
地方出身者にとっての東京は、当たり前に一生あるものではなく「自分で選択した未来の一つの形」だ。
大学進学なのか、仕事なのか、どこかで東京を選んで、挑戦しに来た。
単純に、場所を移動するというのは大きな選択で、その後の人生を大きく変えると思っている。

ものすごく大げさなんだけど、上京した旧知の友人同士で飲んでいると「今、俺たち、東京で頑張ってるよな」と思う。
うまくいく仕事ばかりじゃない。社会に出れば、荒波に揉まれるどころか海を汚す大蛇や重油を垂れ流す無茶苦茶な船、希望に満ち溢れた自分を一口で食う巨大魚をさらに飲み込む超巨大魚など、きりがなく色んな理不尽さが襲ってくる。
だからこそ、時々陸に上がって「ずっと泳いでなくたっていいじゃん」て焚火が出来る仲間は最高だ。

東京に飲み込まれないように、一人だけど、一人じゃなくて、みんな頑張ってる。

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