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豊かさってなんだろう?

【福島お話会2023.10.22】


安楽コーイチさんの思い描く豊かさとはなんですか?

ー心の豊かさと経済的な豊かさとか色々なことがある中で、今豊かさをどう感じているかをお聞きしたいのと、皆さんに豊かさをどういう風に捉えてほしいと思っていらっしゃるのかお聞きしたいです。

 すごい哲学的、深いね。あなたが思い描く豊かさとはなんですか?

ー私の思い描く豊かさは、今ホームパーティーをやらせていただいていて、その中で皆さんが和気あいあいとして最後楽しかったねって言ってくれて。私が楽しさの中で楽しさを描いて、それを見た子どもたちが、またさらに楽しさを見出していくっていうことです。

豊かさ=選択肢の多さ

 楽しさの連鎖であり共振。素晴らしいですね。今まではいわゆる「物質的な豊かさ=幸せ」でしたけど、おっしゃる通りだなと思います。僕の場合よく言うのは、 「豊かさ=選択肢の多さ」だと思っていて、「選べる」ということです。

 経済的に豊かじゃないと、子どものやりたいことも狭めてしまうことがあります。 最近、部活や少年スポーツ、例えば野球がしたいってなった時に一式揃えるので10万円以上かかるわけじゃないですか。それが3人いるとなると大変だってなって、野球よりもサッカーの方が安く済むのでサッカーにしてほしいなっていう親もいるらしいんですよ。子どもの人口も減っているんですけど、野球人口も減っているっていう話があるんですね。
 それがいいか悪いかは別として、誰もがやっていたことが、全般的に、経済的に、30年以上給料が上がらないとか、色々物価が上がっていくし使えるお金も減っていって、余暇というか余計なことにお金が使えなくなったり、子どもの選択肢を親の経済的な理由で狭めてしまうことって、 悲しいなって思うんです。もちろんお金も大事。経済的にもお金がなければ選べませんので、豊かではないのかなっていう部分があります。
 
 そして、健康ですよね。 あなたも現場で介護にも関わったご経験がありますよね。いかに五体満足で歩けることが、不安なく意識しないで歩けることが幸せって思っている人たちもいるわけですよ。杖つきながらでも車椅子でもそうだし、装具をつけながら歩行されてる人もいるわけじゃないですか。そういう人からすると、「あなたはいいね、好きなタイミングで好きな時間にトイレに行けて」と。介護現場で、決められた時間で右から左に排泄介助して「私のタイミングでは来てくれないの」って言われると、胸がぎゅっとしますよね。
 人のお世話になる時点で、自由ではないですし、豊かではないです。施設に入ってしまう自分の責任もありますよ。ずっと健康でいるための選択をしていましたかって言うとあんまりいないですね。今の80~90歳の人で「健康最高」とか「健康に投資していました」「健康オタクです」って言う人はあまりいないです。 健康に興味ない人はやっぱりどんどん病院、介護、病院、介護という風になっていきます。
 僕らは健康事業をしているので、本来はそういう人と会えないはずなんですけど、介護職だから会えてしまう。だから、伝えるという意味では、介護を通していかに健康の豊かさとかが人生の質に関わってくるかということも言えると思います。

 健康面もそうだし、介護もできるし、健康事業もできるし、リストリーコーチもできるし、作家もできるし、講演家もできるっていうのも、選択肢として選べるじゃないですか。「これしかダメだよ、こういう生き方ですよ」って自分で決める分にはいいんですけど、経済的な理由とか、家族とか、健康上の理由で「私の道はこれしかないよね」って自動で決まっていくのは豊かではないのかな。
 こっちの人生もこっちの人生も選べるっていう人生が僕は豊かかなと思います。選択肢の多さですね。

考え方、思考の豊かさが全てを決める

 会場まで新幹線で来る時にめちゃくちゃ混んでいて、外国の方が多かったんですよ。もう指定席もパンパンで、3列の真ん中の前後しか残っていない時ってあるじゃないですか。その時に僕がぽつりと「グリーン席でもいいんじゃない、そんな数千円で」って。でも奥さんはそういう発想がなかったんです。「あ、グリーン席いいな、でも、グリーン席乗ったことない」って。
 一般の方はグリーン席に毎回乗るってあまりないかもしれないけど、こんな時だったら別にグリーン席でいいじゃないっていう発想も。別にお金がないからじゃなくて、要はそういう“思考”です。この考え方の豊かさも大事かなと。この世の中にグリーン席がないと思ってたら、ずっと混んでいる辛い状況なわけで。でも数千円でアップグレードしてグリーン席っていうのがあるという世界を知ったら、別にそっちも選べるわけじゃないですか。そっちの方が快適です。でもお金があるのにそういう発想がなかったら、奥さんみたいに「あ、グリーン席でいいんだ」ってなるわけじゃないですか。発想がないと我慢を強いてしまうというか。選べたら我慢しなくていいことを、選べないことで我慢を強いていくっていうことも豊かではないのかなっていう気がします。
 
 究極、考え方、思考の豊かさが全てを決めるんだと思います。やっぱりできないって思っている人にはできない世界しか作れないし、貧乏だと思っている人には貧乏の世界しかないです。
 豊かだなって思っている人は豊かな世界にいます。それがその人にとっての豊かだったらいいんです。月収20万円でも豊かだなと思う人がいれば、50万円もらってても豊かじゃないっていう人もいるわけですよ。それは何で決まるかというと、思考・考え方です。量をたくさん持っているから豊かではないと思うし、それは多分同意見だと思いますね。
 
 そして、楽しさとか笑顔が豊かさっていうのは、もうすごいと思います。数値化じゃない、すごいレベルの高い豊かさを求めていらっしゃると思うので、すごく素敵だなって思います。僕もこれを目指しています。
 楽しさの連鎖、笑顔の連鎖をしていきたいなと思います。それを、人よりも多くの人に直接会って話ができるっていうこの環境も豊かじゃないですか。別にzoomでいいじゃないですか。zoomもできるし、福島に来て皆の力を借りてこういう場を作れるっていうのも豊かじゃないですか。
 豊かな思考から豊かな体験、経験ができるんだと思います。それはお金を出したらすぐできるかもしれないけど、お金をかけなくても、じっくりじっくり何年もかけて皆で作っていけるっていうことも、ある意味豊かさなのかなって思うので、人それぞれ豊かさっていうのは色々あるにしても、やっぱり豊かな思考ですよね。特に楽しいっていう思考は非常に重要じゃないのかなっていう風に思います。

ーありがとうございます。選べる豊かさは、私も考えることがあって。今、子どもに何をしたいかって考えることがすごく多いんですね。目の前にいる子どもに対して、私たちが何を残せるか、何ができるかって考えた時に、選択肢を豊かにするのは、私の経験を見せることでしかできないなと。だから子どもたちを連れて回って経験を見せる、どう感じていくかはその子が考えていけばいいので。
 そして、その中で私が楽しんでいるのを見せることが1番いいかなと思っていて、今子育てを頑張っています。
 選択肢は多ければ多いほど、何かにぶち当たった時に自分がどうしていくか考える選択肢になると思っているので、そういったところをもっと私も楽しんでいけたらいいかなと思います。
 思考の豊かさも、今まで自分が経験した中で作り出されることがすごく多いかなと思うので、もうちょっと深くしていくのもいいなって思います。
 また、自分のことを受け入れるのも大事にしていきたいなっていう風に思いました。ありがとうございます。

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