【エッセイ】貝の味噌汁を作る時だけアレコレ考える事がある
●我が家では、貝の味噌汁は滅多に登場しない。
それもこれもワーキングマザーの私がめんどくさがりだからだ。
帰宅は毎日18時頃。
料理が苦手なのでメニューなんてものは前もって考えてない(考えられない、考えたくない)。
行き当たりばったり、ありあわせの材料で急いで炒め物(大体焼き肉のタレ味)や副菜をバーッと作る。
そんな栄養バランスもへったくれもない我が家の食卓で、味噌汁という存在は、野菜・きのこ・海藻・大豆製品など…多様な食材を無限にぶっこめる救世主的便利ツールという立ち位置である。
じゃあ、貝もぶっこめばいいじゃないか…と思うのは素人の浅はかさ。
ここで私のめんどくさがり魂が叫ぶのである。
「あほか!貝は!あらかじめ砂抜きしとかなあかんやろがい!」
●貝は砂抜きがめんどくさい
そう、めんどくさいのである。
ハッキリ言って帰宅後にのんびり砂抜きする時間はない。
そうなると朝のうちに塩水につけて出社すれば良いのだが、何だか気が進まない。
私は先の予定を決められる事も嫌いなのだ。
砂抜きしたからにはその日の夕飯は貝の味噌汁にしなければならないが、
「もし、残業になってお惣菜買うハメになったら全てが無駄になる。」
(お惣菜買うなら自炊は何もしたくない…0か100かのタイプである)
ちなみに休日バージョンはこちら。
「もし、旦那が『今夜は外食すっか!』と言い出したら全てが無駄になる。」
(外食するなら私も絶対それに便乗したい)
そう考えると、どうもイマイチ思い切って朝から準備できないのだ。
それともう一つ、砂抜きの時の塩分濃度、これが毎回分からない。
元々算数ができない子供であった。◯%の塩水を作れと言われてもまずは一瞬固まるのである。
滅多にやらないせいもあって、スマホで検索しながらおっかなびっくり海水と同じおよそ3%濃度(になってるはず)の塩水を作る。
思えば、私の人生において海水の塩分濃度に思いを馳せるのなんて、砂抜きの時くらいじゃなかろうか。そう考えると少し素敵…かもしれない。
●我が家で貝の味噌汁が拝める日
そんなこんなで私の時間と心によっぽど余裕がある日しか貝の味噌汁は登場しない。
…そう、まさに会社を有給で休んだ今日みたいな日!
今日の貝はアサリ。
スマホ検索で作った塩水に、軽くこすり洗いしたアサリをザルごとダイブ。
ジャーン!
水が深すぎると溺れて死んじゃうから、浸かる程度でね(ネットの受け売り)☆
あとは上からホイルをかけて暗くして、そっと放置。
しばらく置いて様子を見てみると…
ベローン!!
うおー!
ウネウネのびのびしてるー!
時々ピュッと水吐き出してるー!
なんだか見てはいけない秘密を覗き見するような妙なテンションになる私。
帰宅した小一息子も喜んでいる。
そう、彼は地味に貝の味噌汁が好きなのだ(滅多に出さなくてごめんね)。
その後、ひとしきりアサリをツンツンした息子がポツリと
「このアサリ達はもうすぐ死んでしまうんだね…。」
ドキッとした私。
「そうだねぇ…。息子がちゃんと食べて自分の一部としてしっかり使ってあげなきゃねぇ。」(説明下手すぎ)
そして何故かアサリの運命を思い抱擁する母子…。
こういう、作りながら生き物の観察もできちゃう。それがお家で貝の味噌汁を作る醍醐味かなぁ…とか思ったり思わなかったり。
さあ、もう砂も抜けてるだろう。
レッツ!
…しまった!貝の味噌汁に気を取られて他のメニューをろくに考えてなかった…!
ナンヤカンヤドタバタグツグツグツグツ…
そして完成!
味噌汁には何種類もの具材をぶっこむ主義だが、なんとなく貝の味噌汁の時は手間暇かけた貝を活かそうとしてしまう。
…とか言いつつ今回も未練がましく
「ワカメだけ、ワカメだけでもぉぉ〜!ついでにネギもちょこっとぉぉ〜!」
とやってしまった(なんなんだ)。
●いただきます!
まずはお汁をひとくち…はぁ美味しい。
他の具材では味わえない貝特有の旨味がお口いっぱい広がり…たまりません。まさに海の恵み。
次はプリンとした貝の身を取り外してパクリ。
「私、今貝を噛み締めてる…!」
という確かな弾力感。
関係ないけど、たまに身が取れちゃって貝殻だけになってるヤツがいっぱい入ってると切なくなる…。
見ると、息子も無心で身を取り外している。
(我が家では)貴重な食材だから、ありがたみも増すね☆
砂抜きもバッチリできてて一安心。
●see you again!
そんなこんなで貴重な貝の味噌汁をおいしくいただいた本日の我が家なのでした。
他の味噌汁の時には考えることのないアレコレをたくさん考えながら、色々めんどくさいハードル(自分が勝手に上げてる)を乗り越えて作れば、思い入れもひとしお。
貝の仲間たち、またいつかお会いしましょう(誰か作ってくれるなら週一ペースで食べたいよ)!
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