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ごご茶
2021年8月8日 16:59
フリマアプリで買ったという黒っぽい表紙の本。あれを読み始めて以来、母さんは別人みたく変わってしまった。「そうなの…今とても辛いんだね」「宿題したくないくらい疲れているんだね」「悔しいから、お友達を叩いちゃったんだね」などと俺が喋る言葉をいちいち粘つく声でおうむ返ししてくる。 やたらベタベタとスキンシップしてくる。 俺が言い返すと拳をブルブルと握りしめて「…ごめんね、お母さんちょ
2021年8月15日 09:39
私はあの子達みたいに可愛くもない。 勉強も運動も習い事も全部苦手。 性格は暗く消極的で無気力。 それでも素敵な仲間と出会い、触れ合う中で成長していく主人公なの。 …ねぇ先生?見てるんでしょ?早くストーリーを展開させて!***** __原稿用紙の中のパッとしない主人公を見てもいまいちインスピレーションが湧かない。 いい子過ぎぬ方が読者受けも良いとキャラ設定を考えてみたものの、
2021年8月8日 16:16
私は、町はずれにある寂れた市営団地の屋上にいた。入り口横の蛍光灯がぼんやり光っている。月のない秋の夜長を照らすには少し頼りない光だ。 小さい頃、友達とよくここに忍び込んで遊んだっけ。みんな立派な大人になって忙しくも充実した日々を過ごしていると聞いた。変わらないのは私とこの古ぼけた屋上くらいだろう。所々錆びてペンキが剥がれた手すり。その少し浮き上がった白い一片をパリリと爪で引っ掻いてみる。
2021年8月8日 16:49
あれは私、真鍋チヒロが小学2年生の時。 当時の私は控えめで気の優しい、ちびまる子ちゃんでいえばたまちゃんのような子供で、それなりに楽しい学校生活を送っていた。 道徳の時間、確かテーマは「人に優しく」みたいなよくあるものだった。教科書の話を一通り音読した後、皆で意見を出し合う。「他人をいじめてる人っていうのは段々段々目つきがキツくなって、顔つきも意地悪になってくるから分かるんだよ。顔に、
2021年8月31日 08:40
小さい頃、母は怒ると凄い剣幕で怒鳴り、私を締め出し鍵をかけた。このまま棄てられるかもしれない…という絶望と恐怖。何が怒りのきっかけになるか分からないので常に怯えて過ごした。 やがて私は大人になり母になる。我が子に決してあんな思いはさせまいと誓った。叱る時も丁寧に理由を説明し、常に努めて冷静に対応した。それでも息子はヤンチャ盛りでなかなか指示が通らない。育児で悩む事が増えた。昔の私はあんなに怯