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15秒で読める!140字創作小説
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2021年4月の記事一覧

【140字小説】…と死んだ爺ちゃんが言ってました

【140字小説】…と死んだ爺ちゃんが言ってました

文の最後に「…と死んだ爺ちゃん(婆ちゃん)が言ってました」をつけると許される傾向あるよね。それって本当。爺ちゃんがあの世から君を後押ししてくれてるんだ。
でも気を付けて。君の爺ちゃんが生きてるのにこれを使った場合、代償として爺ちゃんの寿命減っていってるから。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】良い母親

【140字小説】良い母親

良い母親は毎日手作りおやつで子供達を出迎えます。

良い母親はなりふり構わず子供の為に昼夜駆け回ります。

良い母親は子供が迷い悩んだ時愛に溢れた適切な助言をします。

良い母親は常に笑顔で仕事家事育児に全力投球です。

良い母オヤハコワレマシ…タ…ザザザ…。
#140字小説 #短編 #創作 #小説 #スキしてみて

【140字小説】ザリガニ

【140字小説】ザリガニ

___ザリガニになりたい。

願った途端、私は美しい青ザリガニになっていた。

研究室でザリガニを愛おしそうに世話する彼に恋をした。これで彼は永遠に私の奴隷。

数年後、研究室でザリガニを愛でる男。そこへ妻が弁当を届ける。

青ザリガニは今日も元気に鋏を振り上げる。
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【140字小説】破壊的生物

【140字小説】破壊的生物

閉め切った窓の外を大量の白い影が飛び交う。
異常発生したアメリカシロヒトリの亜種、アメリカシロフタリが街を埋め尽くしたのだ。
奴らは人をも襲った。
生き残った僕らの壮絶な戦いをここに記したかったが、アメリカシロフタリという破壊的な文字数がそれを許さない。
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【140字小説】ゲーセン奇譚

【140字小説】ゲーセン奇譚

休日、ゲーセンのベンチ。騒音の中、風景の一つとして何をするでもなく座ってられるこの空間が好きだ。

プリクラのJK、音ゲーの陽キャ、メダルゲームの主婦。誰も僕を気に留めない。

隣にメダルバケツを抱えた裸足の子供が座って言った。

「お兄さんも死んでるの?」
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【140字小説】スタンス

【140字小説】スタンス

いかにも公園デビュー風なママがおずおずとこちらを見ている。
女児を連れた今風のお洒落ママだ。
擦り寄られても困るので敢えて目を逸らす。

1ヶ月後、あの時のママがママ友達と輪になり楽しげに談笑している。

…これでいい。
孤高のぼっちママである私は一人頷いた。
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【140字小説】大勝負

【140字小説】大勝負

「服なんて機能性兼ね備えたUNIQLOで充分」と豪語してた母が急にブランド服を買ってきた。

…ああ明日は母をイビリ倒した元・父&爺婆に会う日か。母なりの意地って訳だ。俺もとことん付き合うぜ。

「最高の息子演じてやんよ!」

「ばーか、あんたは元々最高の息子よ!」
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【140字小説】規格外ヒーロー

【140字小説】規格外ヒーロー

赤と青どっちがいい?

_緑!

選択肢にない回答をする級友が嫌いだった。絶対、人と違う事言っちゃう自分に酔ってるよな。

ある日

こいつハブるのとお前がハブかれるのどっちがいい?

_俺とこいつでてめーらをハブる!

選択肢にない回答する級友に、僕は救われた。
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【140字小説】我が家のカレー

【140字小説】我が家のカレー

昼休みに同僚が「カレーに入れる肉は何か?」で盛り上がっていた。

俺はぼんやり思い出す。

こだわりのないお袋が作る我が家のカレーは毎回肉が違って、牛豚鶏、小間切れだったり挽肉だったり。

ただ必ずルーは決まってた。

久々食いてぇな、バーモントカレーの甘口。
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【140字小説】綺麗事

【140字小説】綺麗事

「神様は乗り越えられない試練は与えない」

俺はそんなの綺麗事の詭弁だと思ってる。

…でも。

今だけ信じていいかな。

今夜が山だと言った医者の言葉、乗り越えてくれよ、お袋。

明日の朝、「あんたはまた調子のいい事ばかり言って…」って笑ってくれよ。
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【140字小説】我慢して頑張ってたんやん

【140字小説】我慢して頑張ってたんやん

帰宅すると居間でお袋がママ友と話していた。
「男所帯だから食費大変でしょ?」

「全然!うちの男達は食が細くて作り甲斐がないの。」お袋は笑う。

俺はすかさず茶化した。
「うちの料理、美味くないからなー」

その夜からお袋は家を出て、二度と帰らなかった。
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【140字小説】乳酸菌

【140字小説】乳酸菌

「殿!あのような食っちゃ寝している怠惰な将軍の為に殿が危険を犯し莫大な費用をかけてまで江戸(胃)へ向かう必要は御座りませぬ!」

「分かっておる…しかし例え愚かな行為と分かっていても武士には行かねばならぬ時がある。特に外様である儂は…っ!」

new参勤交代、である。
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【140字小説】アントワネット的アドバイス

悪天候で物流がストップし、スーパーは品薄だ。薄々予想していたが牛乳コーナーも空っぽ。
帰宅後それを真理衣に愚痴ると、
「牛乳がなければ豆乳を買えばいいじゃない。」
なるほど確かにアレなら常温長期保存可。牛乳的使用可。私は希望を胸に再びスーパーへ向かった。
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【140字小説】行かなくちゃ

【140字小説】行かなくちゃ

日暮れが随分早くなったな、と思いながらカーテンを閉めていると、背後で彼女がソファに座り直し唐突に言った。
「夢から醒めたの…もう行かなくちゃ。」

足早に立ち去る彼女に僕は叫ぶ。
「買い物行くなら肉まんもお願い!あとほっぺにヨダレの痕ついてるよ!」
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