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英文法解説 テーマ6 分詞 第1回 現在分詞と過去分詞って時制の話じゃないんだよ!

 こんにちは。プロ予備校講師のタナカケンスケです。今回から新テーマ「分詞」の解説に入ります。「不定詞」「動名詞」と続いてきた準動詞シリーズも、ようやく大トリ「分詞」まできました。今回から全6回に渡って、しっかり基本から解説していきたいと思います。

時制の分野で登場した分詞の使い方

 まず、分詞には「現在分詞形」と「過去分詞形」の2種類があります。これまでも、進行形、完了形、受動態で、その2種類の語形を使ってきたのでなじみはあると思います。

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 ちなみに、過去分詞形のことをVp.p.と表記するのは、V(動詞)のPast Particle(過去分詞)の略ですが、実は現在分詞も英語ではPresent Particleなので、Vp.p.と表記されてもおかしくないのですが、見た目を考慮して、Vingとするのが慣例です。不思議な世界ですね。確かに、過去分詞形の場合、規則動詞だけでなく不規則動詞もあるので、必ずしもVedと書けないからなんでしょうが…。

現在分詞と過去分詞の違い(ステップ1)

 話が少しそれたので、元に戻しましょう。現在分詞と過去分詞は、進行形や受動態、完了形で用いられる、動詞の語形ですが、実は、それ自体は「時制」と全く関係ありません。名前に、現在・過去と付いているので、現在形や過去形の一種かと思われがちですが違います。むしろ、「進行」「態」といった概念と関係があります。まずは、簡単に両者の違いをまとめてみましょう。

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 この違いに関しては、be動詞とともに用いられた場合がもっとも分かりやすいと思います。

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 (1)は過去進行形の例文で、(2)は過去形の受動態の例文です。それぞれ現在分詞と過去分詞が用いられていますが、時制に関しては、(1)も(2)も過去時制です。時制と分詞は無関係で、be動詞がどちらもwasなので過去時制です。簡単な例ですが、まずは、現在分詞・過去分詞自体は時制とは関係がない、ということをしっかり確認してください。今後、分詞の使い方として「限定用法」「叙述用法」「分詞構文」などの解説をしていきますが、いずれのケースでも、分詞自体は時制とは無関係です。

現在分詞と過去分詞の違い(ステップ2)

 さて、ここまでは進行形や受動態で用いられる分詞は、それぞれ「している(進行)」「される・た(受動)」というはたらきを持つということを見てきましたが、「完了形」はどうでしょう?have/has/hadと過去分詞形(Vp.p.)を組み合わせると完了形になります「テーマ2 時制 第4回「完了形がよく分からない人へ①」」を参照)が、過去分詞形を用いているのにもかかわらず受動の意味を持ちません。

 また、自動詞というのは直後に目的語を取らないので、受動態になることもありません。例えば、I walked in the park.「私は公園を歩いた」という文は受動態になることはありません。つまり、自動詞は過去分詞形として用いても、受動の意味になることはないということになりますよね?

 このようなことを考慮して、現在分詞と過去分詞をもう一度まとめ直すと次のようになります。

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自動詞と他動詞の区別も考えながら、例文で確認していきましょう。

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 (1)は自動詞danceが用いられている現在進行形の例文です。(4)は、be動詞+過去分詞形になっていますが、goは自動詞で受動態にならないので、ここでは完了形になります。実は、このように、「be動詞+自動詞の過去分詞形」は「完了」の意味を持つのは意外と盲点となるので要注意です。(5)は、他動詞finishが用いられている現在完了形の例文です。

現在分詞と過去分詞の違い(ステップ3)

 このように、自動詞と他動詞を考慮すると、単純に「進行」「受動」という区別だけでは対応できないので気を付けたいところです。さらに、「「テーマ3 受動態 第3回「日本語では「する」「している」なのに英語では受動態!?」」でも触れたのですが、surpriseやsatisfyのように「させる」系の動詞の過去分詞形にも気を付けなければいけません。すこしおさらいしましょう。

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 もちろん、「驚かせる」→「驚かせられる(受動)」→「驚く」というように、そもそも受動の意味だったのをより日本語として分かりやすく解釈するために「する」と訳していますが、surprisedも受動態であることには変わりないのですが、一応、こういったタイプの動詞も考慮して、現在分詞と過去分詞をまとめてみます。

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 「させる」タイプの動詞を中心に例文で確認していきましょう。

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 (6)では、「させる」タイプの動詞satisfyを現在分詞として用いることで、主語である"the show"の性質を表しています(「満足」という感情を投げかける側ということです)。(7)では、同じく「させる」タイプの動詞boreを現在分詞として用いることで、修飾している"person"の性質を表しています。


 「させる」タイプの動詞の現在分詞形は、必ずしも「モノ・物事」と結びつくわけではなく、このように「人」を表す名詞の性質も表せるので注意が必要です。(8)では、「させる」タイプの動詞inureを過去分詞として用いることで、主語である"I(私)"の感情を表しています。

 以上、ここまでが、現在分詞と過去分詞の基本的なはたらきの違いになります。まずは、分詞自体は「時制」とは無関係であること、そして、自動詞か他動詞かによって、現在分詞や過去分詞にしたときに意味が異なることを理解することが重要です。これらの理解を土台にして、次回から、具体的な分詞の用法を紹介していきたいと思います。

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