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英文法解説 テーマ4「不定詞」 第1回 準動詞って何?① ~不定詞の名詞用法~

 こんにちは。今回からは「不定詞」について解説していきたいと思います。「不定詞」というのは、「動名詞」や「分詞」とともに、「準動詞」というグループにカテゴライズされる、「to+動詞の原形」という語句のかたまりのことです。ちょっと「準動詞」という聞きなれない用語が出てきたと思った人もいるかと思いますので、まずは簡単に「準動詞」について解説していきたいと思います。

準動詞とは?

 通常、「動詞」というのは、時制を変形させたり態を変えたりすることで、V(述語)の位置に用いることができる品詞になります(テーマ1「品詞と文型」第1回「品詞を理解するのはコスパが良い」を参照してください)。その「動詞」を変形させることで、他の品詞のはたらきを持たせたものが「準動詞」と言うわけです。「動詞」のはたらきを「変化」させたことで、「準」という語が付いたのです。

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 例えば、「run(走る))という動詞は、run-ranという時制上の変化だけでは、V(述語)としてしか用いることができませんが、「『走ること』は楽しい」というように、「主語」として用いたいときには「名詞のはたらき」を持たせる必要があります。その際、利用するのが、不定詞と動名詞です。不定詞の名詞用法または動名詞の名詞用法を利用して、To run/Running is fun.とすれば良いのです。

他にも、「『走っている』人」というように、名詞を修飾したいときには、この場合は「現在分詞の形容詞用法」を利用して、a running personとすれば良いのです。

 これが、「準動詞」のベースとなる考え方です。網羅的に説明しようとすると、上記の表の「〇」がついている箇所を全てつぶしていく必要があります。しかし、それだけではなく、例えば「名詞の機能」を持つ不定詞と動名詞の使い分け「形容詞の機能」を持つ不定詞と分詞の使い分け「副詞の機能」を持つ動名詞と分詞の使い分け、に関しても詳しく説明する必要があります。

 というわけで、長い道のりになりそうですが、まず今回は、「不定詞の名詞用法」のみに絞って解説していきたいと思います。

不定詞の名詞的用法の基本

 「名詞のはたらき」をする不定詞の使い方ことを、「不定詞の名詞用法」と言いますが、もう一度「名詞のはたらき」についておさらいしておきましょう。

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つまり、不定詞の名詞用法とは、一般化すると以下のようになります。

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不定詞(名詞用法)が主語になる場合

 S(主語)として、不定詞が用いられるケースというのは、第1文型~第5文型の全てで見られます。もちろん、文頭の主語に位置に不定詞が置かれっぱなしでも文法上は問題ありませんが、「テーマ1 品詞と文型 第10回「形式主語構文と形式目的語構文」」で説明したように、主語だけが重くバランスが悪くなることが多々あるので、その場合、形式主語Itが用いられ、本来の主語(=真主語と言います)である不定詞が文末に置かれることで、形式主語構文になることがあります。

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不定詞(名詞用法)が目的語になる場合

 O(目的語)として、不定詞が用いられるケースというのは、第3~5文型で見られます。第3文型の場合は、他動詞の後ろで用いられますが、「動名詞」との使い分けがポイントになります(テーマ5 動名詞 で詳しく解説します)。

 第4文型の場合は、S+V+O1+O2における“O2”の位置で用いられるのですが、これは、promiseという動詞を使った第4文型でしかほぼ見られないパターンになります。

 第5文型の場合は、これもテーマ1 品詞と文型 第10回「形式主語構文と形式目的語構文」で説明したように、形式目的語構文の形になります(ただし、形式主語構文と異なり、Oの位置に不定詞を置きっぱなしにはできないので注意してください)。S+V+O+CのOの位置に不定詞があると、バランスが悪くなるので、形式目的語itを置き、本来の目的語(=真目的語と言います)である不定詞が文末に置かれます。

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 (3)のintendは「を意図する」という他動詞です。「~することを意図する」という直訳から「~するつもりだ」という意味になります。(4)の第4文型の文は、S+V+O+to Vなので一見第5文型のようですが、OとCに「隠れたSV関係が」がありません(「彼女がバッグを買う」じゃ変ですよね)。promiseという動詞に特有に見られるパターンなのですが、「O1(彼女)に」「O2(バッグを買うこと)を」「約束する」となっていて、一般的な第4文型と同じ意味構造をしていることが分かります。(5)は形式目的語構文です。「「to communicate with him」=「easy」だと分かった」という意味関係があり、SVOCだと分かると思います。

不定詞(名詞用法)が補語になる場合

 C(補語)として、不定詞が用いられるケースというのは、第2文型で見られます。第5文型(SVOC)でもC(補語)が用いられていますが、この場合は「形容詞用法の不定詞」と考えていきたいと思います(議論の余地があるところなのですが…)。第2文型(SVC)でCの位置に名詞用法の不定詞が用いられる、ということは「S=C」という関係が見られるということなので、「Sは~することだ」と訳すことになります。

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 His dream = to become a Youtuberという関係が成り立っていることが分かると思います。

名詞用法の判断

 ここまでが、名詞用法の不定詞の使用例となりますが、気を付けてほしい点が一つあります。それは、訳して「~すること」になるから名詞用法なのではなく、S,O,Cとして用いられるから名詞用法だ、ということです。不定詞の各用法を識別させる問題というがよく教科書の例題などにあるのですが、用法を識別することが目的なのではなく、あくまでは各用法を見極めることは、正しい解釈をするための手段だということです。

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 「訳してみました。そしたら、「~すること」だと分かりました。ということは、名詞用法です」というのは本末転倒だということです。文中のどの位置でどんなはたらきをしているのかを把握したうえで、「~すること」と解釈するのが良いと思います。慣れてくれば、いちいち「~すること」と訳さなくても、名詞のかたまりとして頭の中で処理することができるようになってくるはずです。

 不定詞の導入回ということでやや長くなりましたが、「不定詞の名詞用法」に関しての解説はここまでです。次回は、「不定詞の形容詞用法」について詳しく解説していきたいと思います。ご期待ください。


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